hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

高収益は、経営者の勲章

2012-08-08 | 企業経営
今日は、「稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方(日経ビジネス文庫)」を引用することで、企業経営について学びたい。なお、『 』が引用となる。

本日のテーマは、「第一章 高収益の基盤を築く」から高収益体質をつくる方法について学ぶ。


●高収益にはどのくらいの利益率が必要か

『京セラ創業1年目は、売上高に対する税引前利益率が約10%であった。当時、大手製造業の利益率は数%程度であったが、それでは経営環境が大きく変化していく中で、安定した経営はできないと考え、製造業の利益率は本来どのくらいあればいいのか、と考えるようになった』

『そこで、着目したのが銀行の金利であった』
『当時の銀行は、まるで鵜飼のようにお金にヒモを付けて泳がせておき、そのヒモを年1回たぐり寄せれば、5%を超える金利がついてくるといった具合であった』
『貸したお金は何もしなくても24時間、勝手に金利を稼いでくれる。一方、製造業と言えば、ヒト、モノ、カネを総動員し、朝から晩まで額に汗して働き、やっと儲けを得るわけである』
『製造業が必死に努力して、金利より低い利益率しか稼げないというのでは、あまりにも情けない』
『そこで、私(稲盛氏)は、「我々は、知的財産を駆使して、従業員の匠の技を用い、額に汗して製品をつくっているのに、銀行の金利程度の利益率しか儲からないのではばかばかしい。我々は、せめて金利の倍ぐらいの利益率、つまり、10%以上の価値を創造すねきである」と考えるようになった』

今では2%前後の低金利であるから、その倍の5%が目標値ということになるだろう。

この発想が、すばらしい。
往々にして、P/Lの前から進んで、最終的に税引前利益率に達することになる。
しかし、稲盛氏はゴールを定めて、逆算する方法で、企業の収益を考えている。
「税引前利益率10%」というゴールを定めることで、戦略が決まる。
市場競争のもとでは、価格は市場で決まるので、高収益を上げたければ徹底したコスト削減を図らなければならない。
結果として利益なのか、それとも計画的な利益なのか、は、そのプロセスは全く異なり、長い目で見ると企業体質に大きな変化が生じるのは言うまでもないことである。


●経営者の勲章

『事業を営む以上、税引前で最低10%の利益率をあげられないようでは経営のうちに入りません。高収益というのであれば、少なくとも15%~20%の利益率がなければならない』
『どんな業種、業態であっても、商売の仕方を工夫し、懸命に努力すれば、10%以上の利益率を上げることは可能である』
『事業により得られる利益は、額に汗して努力した人間の知恵と労働の結晶である。たとえ20%を超える利益率をあげたとしても、決して不当なものではない』
『公正な競争下で、高収益をあげることは、経営者の勲章でこそあれ、非難されるべきことではない』

まさにそのとおりである。

今、日産自動車のIR情報を見てみた。

2011年度連結決算によると
売上は、9,409,026百万円、
税引前利益は529,329百万円、
税引前利益率は5.6%である。

日産を復活させたゴーン社長が非常に高い給与をもらって、新聞などでは批判している。
しかし、この不況下において、これだけの利益を出していることは、その経営能力は素晴らしいものであり、稲盛氏の言葉を借りれば勲章である。

また、2000億円近い納税を行っており、国家に対して非常に貢献している。

新聞やマスコミなどは、一面的な見方ではなく、複眼的に物事をとらえて、大局的な見方をすれば、読者の支持も広がると考える。


●経営の原則は「売上を最大にし、経費を最小にする」

『「売上を最大にし、経費を最小にする」といった非常にシンプルな原則を貫くことで、高収益経営を実現した』
『商売の秘訣は、お客様が納得して、喜んで買ってくださる最高の値段を見抜き、その値段で売ることである。値決めは事業の死命を決する重大な判断であり、最終的には経営者が判断すべきであると考え、そのことを「値決めは経営」であると言っている』
『値決めの判断基準となるのは、新商品のお客様にとっての価値である。つまり、お客様がその値段で買って、十分に価値があると認めていただけるなら、コストの大小にかかわらず、その値段で販売ができる。我々の知的創造活動により付加価値の高い独創的な新商品を生み出し、その商品価値に応じた価格で売ることで、高収益を実現することができる』

続く。