hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

人を動かす その15 しゃべらせる

2012-06-29 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
15 しゃべらせる』から引用する。

●ブログに隠された欲求とは?

ブログの数はいくつあるのだろうか?

私のブログは、「goo」を利用している。
「goo」の利用者は、170万余りいる。
今確認したところ、毎日380人位の人が増えている。
「goo」以外にも、プロバイダは数多くあり、その利用者は数知れない。
ブログ以外にも、Facebookやツイッターでコメントを発信している人は、何人位いるのであろうか?
インターネットには国境がないので、「世界」を一つの単位でとらえるべきであろう。
その数は、何億というブログ、Facebookやツイッターで情報を発信している。
ブログ、Facebookやツイッターがこれだけ発達するということは、何かがある。
その何かが、利用する人間の心をとらえているのだろう。

その何かとは、何か?
それは、「人間の欲求」だと思う。
人間は、基本的には自分で話をしたいのだろう。
「しゃべること」で「他の人と交わっていたい」という欲求を満たしたいのだろう。
「しゃべること」で、「おれはこんなことも知っているぞ」と自慢したい欲求もあるだろう。
さらに、周りの人から「それを認めてもらいたい」欲求もあろう。

D・カーネギー氏もこのことについて、別な言葉を使い説明している。
『友だち同士の間柄でも、相手の自慢話を聞くよりも、自分の手柄話を聞かせたいものなのだ。』

この言葉を借りると、ブログ、Facebookやツイッターに書く内容は、手柄話ということになる。
「自分はこれも知っている、あれも知っている」
「自分は○○に行ってダイビングしてきた」
「○○○横断一人旅をしてきた」
などは自慢話ということか。
であるならば、私のブログも、
「こんな解釈もできる、このようにも考えることができる」
と、自慢話ということになるのか。
そのようには、考えていなかったが、ある面から考えると、正しいのだろう。


●友だちをつくるには?

『フランスの哲学者ラ・ロシェフーこーのことばに、こういうのがある。
「敵をつくりたければ、友に勝つがいい。味方をつくりたければ、友に勝たせるがいい」
その理由として・・・人間は、だれでも、友よりすぐれている場合には重要感を持ち、その逆の場合には、劣等感を持って、羨望や嫉妬を起こすからである。』

『昔は、同僚のなかにただひとりの友人もなかった。それは、彼女が毎日のように仕事上の手柄話を大得意で吹聴してまわっていたからだ。
「わたくしは自分の担当の仕事をりっぱにこなしていたし、また、それが自慢でした」と彼女は講習会で報告した。
「でも、同僚は、わたくしの手柄を喜んでくれるどころか、反発も覚えていたそうです。わたしは同僚から好かれたかった。そこで、この講習会に参加してよく考えた結果、自分のことをしゃべるのはなるべく少なくして、同僚のことばに耳を傾けることにしました。同僚たちにも自慢したい話が山ほどあり、それを話す方が、私の自慢話を聞かされるより、はるかにおもしろいわけで、今はおしゃべりする時間になると、同僚たちに、何か面白い話を聞かせてと、聞き手にまわることにしています。自分のことは、求められないかぎり、話をしないことにしています。」』


私もあるとき、大きく変わった。
そのきっかけは、「傾聴」を学んだときである。
産業カウンセラーの養成講座では、実技を重視する。
そのメインスキルが「傾聴」である。
本来は、クライアントに対するスキルであるが、このスキルは一般にも活用できる。

ひたすら、“聞き手”ではなく“聴き手“に徹することである。
ポイントは、相手の話を心して聴くことである。
人間は、感情の動物であるから、相手の感情面に焦点を当て、聴くことである。

その際、あいづちやうなずきは必要である。
また、キーワードをリピートすることで、相手はより詳しく話してくれる。
たとえば、前記の例であれば、「ダイビング??」とキーワードを利用して質問すれば、相手は自分のことであるから、一生懸命に話してくれる。
さらに、感情面に焦点をあてて、「最初に、○○に出会った時の気持ちはどう?」と聞けば、その時の素晴らしさ、ワクワク感・ドキドキ感を限りなく話してくれるだろう。

話すことで、相手は満足し、あなたを良き聴き手としてとらえ、あなたの評価は高まるであろう。


●真の原因を引き出す方法とは?

『相手を説得しようとして、自分ばかりしゃべる人がいる。相手に十分しゃべらせるのだ。あいてのことは相手が一番よく知っている。だから、その当人にしゃべらせることだ。
相手のいうことに異議をはさみたくなっても、我慢しなくてはいけない。相手がいいたいことをまだ持っている限り、こちらが何をいってもむだだ。大きな気持ちで辛抱強く、しかも、誠意を持って聞いてやる。そして、心おきなくしゃべらせてやるのだ。』

業務診断や業務支援を行う場合、使えるテクニックである。
たとえば一部をとらえて、その部分だけ指摘したとしよう。
仮にその指摘した問題がよくなっても、改善されるたかといえば、そうでもない。
指摘した問題以外にも、様々な原因があり、指摘は、その一つにすぎないことも多々ある。
本当の問題点は、お客様が一番知っている。
しかし、話をしたがらない場合もあるし、お客様自身が気づいていない場合もある。
そこで、お客様に色々な角度から質問をすることで、お客様に数多く話してもらい、様々な情報を得る必要がある。
たいていの場合、その話の中に、真の原因が隠されていることがある。

その真の原因を見つけて改善することができれば、効果が出てくる。

いかに、お客様に話をさせ、情報を引出し、真の原因を見つけるかにすべてはかかっている。


●結論

『人を説得する原則6』

『相手にしゃべらせる』


人を動かす その14 ”イエス”と答えられる問題を選ぶ

2012-06-28 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
14 “イエス”と答えられる問題を選ぶ』から引用する。

●魔法のテクニックとは?

『人と話をするとき、意見の異なる問題をはじめに取り上げてはならない。まず、意見が一致している問題からはじめて、それを絶えず強調しながら話を進める。お互いに同一の目的に向かって努力しているのだということを、相手に理解させるようにし、違いはただその方法だけだと強調するのである。
最初は、相手に“イエスといわせるような問題ばかりを取り上げ、できるだけ、”ノー“といわせないようにしておく。』

『相手にいったん“ノー”といわせると、それを引っこめさせるもは、なかなか容易なことではない。“ノー”といった以上、それをひるがえすのは、自尊心が許さない。“ノー”といってしまって、後悔する場合もあるかも知れないが、たとえそうなっても、自尊心を傷つけるわけにはいかない。言い出した以上、あくまでもそれに固執する。だから、はじめから“イエス”と言わせる方向に話を持って行くことが、非常に大切なのだ。』

『話し上手な人は、まず相手に何度も“イエス”と言わせておく。すると、相手の真理は肯定的な方向へ動き始める。これはちょうど、玉突きの玉がある方向へころがりだしたようなもので、その方向をそらせるには、かなり力がいる。反対の方向にはね返すためには、それよりもはるかに大きな力がいる。』

『こういう真理の動きは、きわめてはっきりした形をとる。人間が本気になって、“ノー”というときには、単にその言葉を口にするだけでなく、同時に様々なことをやっているのだ。各種の分泌腺、神経、筋肉など全組織をあげて、いっせいに拒否体勢を固める。そしてたいていの場合、ごくわずかだが、あとずさりするか、ないしはあとずさりする準備をする。ときによると、それがはっきりわかる程度の大きな動作としてあらわれることもある。つまり、神経と筋肉の全組織が拒否の体勢をとるのだ。
ところが、“イエス”という場合は、こういう現象はまったく起こらない。身体の組織が、すすんでものごとを受け入れようとする体勢になる。それゆえ、はじめに“イエス”と多く言わせるば言わせるほど、相手をこちらの思うところへ引っ張っていくことが容易になる。』

『人に“イエス”といわせるこの技術は、きわめて簡単だ。それでいて、この簡単な技術が、あまりもちいられない。頭から反対することによって、自己の重要感を満たしているのかとおもわれる人がよくいる。生徒にしろ、顧客にしろ、その他、自分の子供、夫、あるいは妻にしても、はじめに、“ノー”といわせてしまうと、それを“イエス”に変えさせるには、大変な知恵と忍耐がいる。』


●様々な可能性とは?

この手法は、ソクラテス式問答法である。
2500年前の賢人が用いた手法を使わない手はない。
コーチングを勉強した際、この手法について学んだ記憶がある。
が、本で読んだ知識だけであり、実際に使っていないし、習慣にもなっていない。
ということは、この手法を身につけることで、可能性は大きく開ける。

自分が対象とする相手に対して、100の“イエス”質問をつくることで、その効果を高めることができる。
D・カーネギー氏が言うように、生徒用、顧客用、自分の子供用、夫用、あるいは妻用をつくり、シュミレーションすることである。

ということで、経営者用の00の“イエス”質問をつくってみた。


●経営者に対する100の“イエス”質問

◎経営理念・経営方針について

001 会社の理念を明確にしたいですか?
002 経営方針を明確にしたいですか?
003 会社の理念に、自ら賛同していますか?
004 会社の理念に、社員に賛同してもらいたいですか?
005 会社の理念を社員全員に共有してもらいたいですか?
006 会社の理念を踏まえて、行動してもらいたいですか?
007 会社の経営方針に従ってもらいたいですか?
008 尊敬の念を持って、接してもらいたいですか?
009 未来永劫、企業として存在したいですか?
010 社会から尊敬される企業になりたいですか?
011 納税を多く行い、社会に貢献したいですか?
012 社員により多くの給与を払い、社員に喜んでもらいたいですか?
013 協力会社と共に成長したいと思いますか?

◎経営戦略について

014 自社の強みを把握したいですか?
015 自社の弱みを把握したいですか?
016 事業機会を把握したいですか?
017 事業脅威を把握したいですか?
018 自社の強みを強化したいですか?
019 自社の弱みを克服したいですか?
020 強みを事業機会に活かしたいですか?
021 自社製品のポジショニングを明確にしたいですか?
022 自社の現状を把握したいですか?
023 同業他社を把握したいですか?
024 顧客のニーズを把握したいですか?
025 顧客のシーズを把握したいですか?
026 自社の目的を明確にしたいですか?
027 自社の目標を明確にしたいですか?
028 現状と目的との差、課題を明確にしたいですか?
029 課題を確実にクリアしたいですか?
030 課題クリアのための計画をつくりたいですか?
031 全体年度計画をつくりたいですか?
032 部門の年度計画をつくりたいですか?
033 計画には、人・モノ・カネが含めたいですか?

◎人材育成について

034 自主的に活動する社員を採用したいですか?
035 自主的に活動する社員に育ってもらいたいですか?
036 自主的に活動する人材育成プログラムを欲しいですか?
037 社員が自主的に活動する場作りは必要ですか?
038 コミュニケーション能力が優れた社員を採用したいですか?
039 コミュニケーション能力にたけた社員に育ってもらいたいですか?
040 コミュニケーション能力にたけた人材育成プログラムを欲しいですか?
041 社員がコミュニケーション能力を発揮する場作りは必要ですか?
042 考えて行動する社員を採用したいですか?
043 考えて行動する社員に育ってもらいたいですか?
044 考えて行動する人材育成プログラムを欲しいですか?
045 社員が考えて行動する場作りは必要ですか?
046 協調性のある社員を採用したいですか?
047 協調性のある社員に育ってもらいたいですか?
048 協調性をマスターする人材育成プログラムを欲しいですか?
049 社員が協調性を発揮する場作りは必要ですか?
050 個人能力を会社に役立てる社員に育ってもらいたいですか?
051 社員の個人能力を会社に役立てる人材プログラムを欲しいですか?
052 社員の個人能力を会社に役立てる必要がありますか?
053 社員の個人能力を会社に役立てる場作りは必要ですか?
054 結果をだす社員を採用したいですか?
055 結果をだす社員に育って欲しいですか?
056 結果をだす社員づくりの人材育成プログラムを欲しいですか?
057 結果をだす社員づくりの場づくりは必要ですか?
058 モチベーションの高い社員に育って欲しいですか?
059 チャレンジ精神のある社員に育って欲しいですか?
060 自分で計画を立てられる社員に育って欲しいですか?
061 PDCAを回せる社員に育って欲しいですか?
062 業務改善できる社員に育って欲しいですか?

◎組織構造について

063 戦略に基づいた組織を作りたいですか?
064 適切な的得資源(人・モノ・カネ・情報)を配置したいですか?
065 各部門に、会社の方針・戦略に従い、自主的に目標を定めてもらいたいですか?
066 各部門に、計画を定めてもらいたいですか?
067 各部門に、適材適所の人員配置をしたいですか?
068 各部門に、ベクトルを合わせて活動してもらいたいですか?
069 各部門に、目標計画値を必達してもらいたいですか?
070 部門間で、コミュニケーションを活性化してもらいたいですか?
071 自部門のみならず、他部門の成果も考慮して、活動してもらいたいですか?
072 各部門内で、PDCAを回してもらいたいですか?
073 部門間で、双方のPDCAの確認を行い、 全体最適に向けて行動してもらいたいですか?
074 PDCAサイクルをより早く回してもらいたいですか?
075 PDCAサイクルを、部門のみならず個人レベルに至るまで回してもらいたいですか?
076 率先して、発明・発見を、してもらいたいですか?
077 率先して、改善・提案を、してもらいたいですか?
078 改善・提案を行う場づくりをしたいですか?
079 発明・発見を行う場づくりをしたいですか?

◎顧客満足について

080 顧客に貴社の製品を、知ってもらいたいですか?
081 顧客に貴社の製品に対して、興味を持ってもらいたいですか?
082 顧客に貴社の製品に対して、欲しいという欲求を持ってもらいたいですか?
083 顧客に貴社の製品を、記憶してもらいたいですか?
084 顧客に貴社の製品を、購買してもらいたいですか?
085 顧客に貴社の製品を使って、満足してもらいたいですか?
086 顧客に貴社の製品を、引き続き購入してもらいたいですか?
087 顧客に貴社の製品の良さを、他の人に勧めてもらいたいですか?

◎財務分析について

B/Sに関する事項
088 流動比率を改善したいですか?
089 当座比率を改善したですか?
090 固定長期適合率を改善したいですか?
091 売上債権回転期間を改善したいですか?
092 買掛債務回転期間を改善したいですか?
093 棚卸資産回転率を改善したいですか?
094 棚卸資産回転期間を改善したいですか?
095 有形固定資産回転率を改善したいですか?

P/Lに関する事項
096 総資本対経常利益率を改善したいですか?
097 総資本対事業利益率(ROA)を改善したいですか?
098 自己資本当期純利益率(ROE)を改善したいですか?
100 資本投資効率を改善したいですか?
101 売上高対営業利益率を改善したいですか?
102 売上高対総利益率を改善したいですか?
103 売上高対経常利益率を改善したいですか?
104 売上高対当期純利益率を改善したいですか?
105 総資本回転率を改善したいですか?
106 経営資本回転率を改善したいですか?
107 棚卸資産回転率を改善したいですか?
108 固定資産回転率を改善したいですか?
109 労働生産性を改善したいですか?
110 労働分配率を改善したいですか?
111 一人当たりの売上高を改善したいですか?
112 一人当たりの経常利益を改善したいですか?
113 売上原価比率を改善したいですか?
114 売上高販売管理費比率を改善したいですか?
115 売上高人件費率を改善したいですか?
116 売上高対金融比率を改善したいですか?

C/Fに関する事項
117 営業活動CFを改善したいですか?
118 投資活動CFを改善したいですか?
119 財務活動CFを改善したいですか?

CVP分析に関する事項
120 CVP分析で損益分岐点を把握したいですか?
121 経営安全率を高めたいですか?
122 変動費の削減を図りたいですか?
123 固定費の削減を図りたいですか?
124 売上数量の増大を図りたいですか?
125 販売単価の引上げを図りたいですか?

金融機関に関する事項
126 メインバンクや他の金融機関との関係を強化したいですか?
127 借入金の条件を改善したいですか?
128 支払い利息の条件を改善したいですか?

100の質問であったが、少し超えてしまった。
これ以外にも、IT関連や購買業務等についても質問はできる。
機会があったらつくりたいと考えている。

私の課題は、これらの質問をいかに早く習慣化するかである。


●結論

『人を説得する原則5』

『相手が即座に“イエス”と答える問題を選ぶ』

人を動かす その13 穏やかに話す

2012-06-27 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
13 穏やかに話す』から引用する。

●穏やかに話す効果とは?

『腹がたったとき、相手を思いきりやっつければ、さぞかし胸がすくだろう。だがやっつけられたほうは、同じように胸がすくだろうか?
けんかごしでやっつけられて、気持ちよくこちらの思いどおりに動いてくれるだろうか?

ウッドロー・ウィルソン大統領はこういう。

「もし、相手がこぶしをかためてやってくれば、こちらも負けずにこぶしをかためて迎える。だが、相手が、“お互いによく相談してみようではありませんか。そして、もし意見の相違があれば、その理由や問題点をつきとめましょう”とおだやかにいえば、やがて、意見の相違は思ったほどでもなく、お互いに忍耐と率直さと善意を持てば、解決できることがわかる」』

『相手の心が反抗と憎悪に満ちているときは、いかに理をつくしても説得することはできない。子どもを叱る親、権力をふりまわす雇い主や夫、口やかましい妻、こういった人たちは、人間は自分の心を変えたがらないということを、よく心得ておくべきだ。人を無理に自分の意見に従わせることはできない。しかし、やさしい打ち解けた態度で話し合えば、相手の心を変えることができる。』


●昔の思い出

場所は、新潟県の上越地区。ここは、スキー場で有名である。
湯沢、石打、上越、浦佐等、日本を代表するスキー場がある。
ご存知と思うが、スキー場の下にはトンネルが掘られており、上越新幹線が走っている。
この新幹線は、湯沢から浦佐付近まで、トンネルの中を走っている。
実は、一つのトンネルではない。
トンネルとトンネルの間には、“沢“がある。その”沢“をシェッルターで囲っている。
雪深い越後では、“沢”は、雪の吹きだまりになってしまう。
そのために、沢にかかる橋梁をシェルターで囲い、雪から防護している。
湯沢から浦佐までには、数多くの“沢“があり、多くの橋梁がかかっているが、すべてシェルターで囲っているために、大きなトンネルのように見える。

私は、その新幹線工事で働いていた。

当時、自分に厳しい上司T氏がいた。
T氏は、毎日、120%の目標をたてて全力で突っ走っていた。
どんなに遅くまで仕事をしても、朝はすっきりした顔で仕事を開始する。
当然、部下も引っ張られ、職場で働く人々にも厳しさを求めていた。

関連会社で働く人々に対しても、威厳があり、一目置かれる存在であった。
工期が押しせまり、軌道工事が差し迫っていた。
軌道工事は、別業者であるために、その場所を確保する必要があった。
増員して行えば、楽にできることであるが、雪の降る山の仕事であるので、そう簡単には人が集まらない。
そこで、金曜日の晩に夜勤工事を行い、対処することになった。
今でこそ、都会では、夜勤工事が通常行われている。
しかし、当時、山の中での夜勤工事は例外中の例外であった。

その旨を職長のK氏に話したところ、「夜宿舎に来て、みんなの前で話してほしい」とのことであった。
ある夜、T氏と二人で、職長のK氏が泊っている宿舎に行った。
私は、そこでの光景を今でも覚えている。
今まで厳しかったT氏が、正座をしてK氏に対して話し始めた。
その話し方は、事務所での話し方とは、全く異なり、K氏に対して尊敬の念を持って話している。
T氏の話し方があまりにも違うので、今でもはっきり覚えている。
K氏は農家出身であり、の男手を集めて、工事に参加している。
別の言い方をすれば、K氏は“の長”である。
T氏は、K氏が“の長”であることを、当然知っていたのであろう。
そこで、元請け会社のT氏が、“の長”K氏に対して、心からお願いする態度を示すことで、“の長”であるK氏の立場が相対的に高められたことになる。
その結果、K氏は、の中で、必然とその立場が高められたことになった。

T氏が工事内容を説明し、最後に膝を正して頭を下げて
「お願いしたい」
それを受けて、K氏は
「わかった。全力でやる」

一生忘れることができない「大人のやりとり」であった。


●「太陽と北風」から学ぶことは?

私の好きな寓話にイソップ物語の「太陽と北風」がある。
太陽と北風が腕比べをする寓話である。

『北風が「僕のほうが強いに決まっている。あそこにオーバーを着た老人がいるだろう。僕が君よりも早く、あの老人のオーバーを取ってみせる」といばった。
太陽は、しばらく雲のうしろに隠れた。北風は勢いよく吹いた。だが、北風が吹けば吹くほど、老人はますますしっかりとオーバーで体を包んだ。
北風は精根尽きて、吹きやんでしまった。そこで太陽は、雲間から顔を出し、老人にやさしく微笑みかけた。しばらくすると、老人は額の汗をふいてオーバーを脱いだ。

太陽は、やさしい親切なやり方は、どんな場合でも、厳しい都からずくめのやり方より、はるかに効果のあるものだと北風に諭した。』

『イソップは、久リーサスの王宮に仕えていたギリシャの奴隷だが、キリストが生まれる六百年も前に、不朽の名作“イソップ物語”を書いた。
その教訓は、二千五百年前のアテネにおいても、また現代のボストンにおいても、バーミンガムにおいても、同じ真実である。
太陽は北風よりも早くオーバーを脱がせることができる。新設、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる』

いつの時かだったか覚えていないが、もの心ついた時だと思う。
祖母が、毎日、イソップ物語を読んでくれた。
この「太陽と北風」や「アリとキリギリス」は好きな寓話である。
「太陽と北風」は、何回聞いたことだろうか?
確かに、「太陽と北風」は何度も聞き、知っている。

しかし、「知っている」けれど、「実行していない」時期が長かったようである。
相手の立場を考えずに、自分の意見を主張することは、北風の行為に似ている。

今、過去を振り返ってみると、反省することが多い。
過去を否定することは簡単であるが、否定からは何も生まれない。
過去をどのように捉えるかで、将来に託すことが可能となる。

今回の場合、一番思うことは「知っていること」と「実行すること」とは違うことである。
勉強することは、「知っていること」であり、実務で経験することが「実行すること」になろう。

このようにブログを書くことで、過去を振り返ることができ、その結果を将来につなげることができると信じている。


●結論

『人を説得する原則4』

『おだやかに話す』

人を動かす その12 誤りを認める

2012-06-26 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
12 誤りを認める』から引用する。

●先に「誤りを認める」ということは?

『私は、観念して、警官の発言を待たずに先手を打った。
「とうとう、現行犯でおさえられましたね。私が悪いのです。何もいうことはありません。先週、あなたから、二度とこういうことがあれば罰金だと注意されたばかりですから」。
「うん、だが、まあ、あまりに人がいないときには、こんな小さな犬のことだし、つい放してみたくなるのも人情だろう」。
警官の声はおだやかだった。
「まったくそのとおりです。だが、法律は法律です」。
「しかし、まあ、こんな小さな犬は、だれにも危害を加えないだろう」。
警官は、そういって意義をとなえる。
「いや、リスにかみつくかもしれません」。
「それは君、考えすぎだよ。それではこういうことにしたら、どうだ。坂の向こうへ連れて行って、はなしてやるんだよ。そうすれば、私の目も届かないからね。それで万事解決ということにしよう」。
警官も人間だ。やはり自己の重要感がほしかったのである。私は自分の罪を認めたとき、彼の自負心を満足させる唯一の方法は、私を許して太っ腹を見せることだったのだ。
だが、もし私がいいのがれをしたとすれば、警官と議論をすれば、どんなことになるか、読者もご承知のはずだ。
警官と渡り合うかわりに、私は、先方が絶対に正しく、自分が絶対に悪いと認めた。即座に、いさぎよく、誠意をこめて、認めた。すると、お互いにゆずりあいがはじまり、わたくしは相手の身に、相手は私の身になって話し合い、事件はめでたく解決したのである。』
『自分が悪いと知ったら、相手からやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいたほうが、はるかに愉快ではないか。他人の非難よりも、自己批判のほうが、よほど気が楽なのだ。
自分に誤りがあるとわかれば、相手のいうことを先に、自分で言ってしまうのだ。そうすれば、相手は何もいうことがなくなる。十中八、九まで、相手は寛大になり、こちらの誤りを許す態度に出るだろう。』

かなり長く引用した。
この引用の中に出てくる“私”は、筆者ではなく、“D・カーネギー氏”のことである。
自分の誤りを即座に認め、マイナスをプラスに変えたすばらしい話である。
このようなことが、誰にでもできるのであろうか。
少なくとも、私にはハードルが高い。
私は、D・カーネギー氏の立場であれば、何かと理由をつけて、警官に逆らってしまうだろう。
その結果、相手の心証を悪くし、罰金を払うことになる。
しかし、D・カーネギー氏は人格者であるため、“誤りを認める“ことができたのである。

今回、大量に引用することで、“誤りを認める“ということを学んだ。
しかし、いざというときに使うことができるかは疑問である。
“誤りを認める“ということは、単なるにテクニックではなく、人格者ゆえに使える高等テクニックである。


●トップの責任とは?

一昨日、TVの見ていたところ、東電の福島原発の事故報告書に関するニュースが流れていた。
そこで、東電はどのような立場を取るか、注目していた。
例のごとく、「あくまでも、政府の計画通り実行している。津波は想定外である。」
このような主旨を繰り返していたと思う。
一言、「私の責任です」と言えないのだろうか。

その昔、Y証券が破たんした際のことである。
当時のトップのインタビューで、
「悪いのは、トップである私の責任です。従業員は悪くありません。悪いのはすべて私です。」
非常に印象が強いメッセージとして、はっきり覚えている。
さらに、その社長は、関連する上場する企業を回り、「今後、Y証券はなくなりますが、貴社に従業員の将来を託したい。ぜひお願いしたい」と頭を下げ、すべての従業員の就職のフォローを行ったと聞いている。
問題は色々あっただろうが、このすがすがしい光景と逸話は、覚えている。

話を戻す。
企業が不祥事を起こした場合、どのような態度を取っているだろうか?
TVなどを見ていると、経営陣がそろって頭を下げている光景を目にする。
その後、「すべてはトップの私の責任です。申し訳ありません。」という言葉は聞こえてこない。
言い訳を繰り返し、その結果、企業の破滅に導くことになるのだが。

経営トップになる方々であるから、様々な経験を積み、また立派な人格者だと思う。
しかし、いざとなった時に、多くの経営者は、誤りを素直に認めることができない。
それだけ、“誤りを認める“ということは、高等テクニックなのであろうか?


●「誤りを認める」と、歴史上の人物になれる?

D・カーネギー氏は、南北戦争の南軍の総司令官ロバート・リー将軍の伝記から引用している。
ゲティスバーグの戦闘で、部下のビケット将軍がおこなった突撃の失敗の攻めを、リー将軍が一人で背負った話である。
『彼は、兵士たちに向かって
「これはすべて私が悪かったからだ。責任はわたくし一人にある」とわびた。
このことばを口にするだけの勇気と人格を備えた将軍は、古今東西の戦史を通じて、そうざらに見あたらない。』

D・カーネギー氏は、歴史を紐解いて、「誤りを認める」ということの難しさと素晴らしさを説こうとしている。
逆にいえば、多くの人々ができないテクニックを使えるようになれば、それだけ人間的にも成長したということであり、それ相応の人格者ということになる。


●結論

『人を説得する原則3』

『自分の誤りをただちに、こころよく認める』


人を動かす その11 誤りを指摘しない

2012-06-25 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
11 誤りを指摘しない』から引用する。

●子供の質問の仕方とは?

先日、ある研究会にはじめて出席した。
テーマは、前年度の課題研究の発表である。
発表終了後、質疑応答を兼ねた意見交換会である。
最初に、研究会の代表者が、「ズバッ!」と、問題点をあげ、論理の矛盾を指摘した。
その問題点は、誰でもわかることであり、私もその点について質問しようとしていた。
代表者に続いて、私も質問をした。
本来なら、疑問点を2つ3つ用意しておき、前の人(研究会の代表者)の質問と重なることは避け、別な質問をするのが大人の対応である。

しかし、私は、2つの間違えをしてしまった。
最初の間違えは、質問を重ねてしまったのである。
前の方の質問に対して、その答えが納得できなかったのである。
そこで、発表者の気持ちを全然考えもせずに、さらに突っ込んで質問をしてしまった。
発表者は、最初の質疑でかなり落ち込んでいるはずである。
その際のやり取りは、かなりシビアで、問題点をずばずば指摘し、発表者の自尊心を傷つけるようなものであった。
であるため、私の質問は、相手の傷に塩をぬるようなものであった。

二つ目の間違えは、相手が間違っている、ということを前提に、ストレートに質問をしたことである。
例え、質問が重なったとしても、質問のやり方はある。
まして、はじめての参加であるから、紳士的振る舞うのが、大人の世界である。
しかし、私のやり方は拙く、まだまだ未熟であり、発表者に対して申し訳ないと、思っている。


●ベンジャミン・フランクリンの失敗とは?

D・カーネギー氏は、ベンジャミン・フランクリンの自叙伝から引用している。
この自伝で、フランクリンは、いかにして自己の議論好きな悪癖を克服し、有能さと人当たりの良さと外交的手腕にかけては、アメリカ一流の人物になれたか説明している。

『ベン、君はだめだよ。意見のちがう相手に対しては、まるで平手打ちをくらわせるような議論をする。それがいやさに、君の意見を聞くものがだれもいなくなったではないか。君がそばにいないほうが、君の友人たちにとってはよほど楽しいのだ。君は自分が一番物知りだと思っている。だから、だれも君にものがいえなくなる。事実、君と話せば不愉快になるばかりだから、今後は相手にすまいと、皆がそう思っているんだよ。だから、君の知識は、いつまでたっても、今以上に増える見込みはない。今の取るに足りない知識以上にはね。』

『このひどい非難をすなおに受け入れたのが、フランクリンの偉いところだ。この友人のいうとおり、自分は今破滅の淵に向かって進んでいるのだと悟ったあたり、彼は偉大であり賢明だったわけだ。そこで彼はまわれ右をした。従来の傲慢で頑迷な態度を、たちどころに投げ捨てたのである。』

私は、友達に、フランクリンと同じようなことを言われ、その時は改めようと思ったが、まだまだ引きずっている。私も、フランクリンのように、まわれ右をし、投げ捨てなければならないと、改めて思う次第である。


●第二の天性とは?

さらにフランクリンは次のように言っている。
『私は、人の意見に真っ向から反対したり、自分の意見を断定的に述べないことにした。
決定的な意見を意味するような言葉、たとえば、“確かに”とか“疑いもなく”などという言葉はいっさい使わず、そのかわりに
“自分としてはこう思うのだが・・・”
とか
“私にはそう思えるのだが・・・”
ということにした。
相手が明らかに間違ったことを主張しても、すぐそれに反対し、相手の誤りを指摘することをやめた。
そして、
“なるほどそういう場合もあるだろうが、しかしこの場合は、少し事情が違うように思われるのだが・・・”
という具合に切り出すことにした。
こうして、今までのやり方を変えてみると、ずいぶん利益があった。
人との話し合いが、それまでよりよほど楽しく進む。控え目に意見を述べると、相手はすぐに納得し、反対するものも少なくなった。
私自身の誤りを認めるのがたいして苦にならなくなり、また、相手の誤りも、たやすく認めさせることができるようになった。』

まさにこのとおりである。
私は、このように引用することで、多くのことを学んでいる。
今回のテーマ「誤りを指摘しない」も私の課題の一つである。
多くの先人達が、どのように克服したかを知ることは、非常に勉強になるし、励みにもなる。
あとは、経験を積み、考えなくとも実行できるようになることである。

フランクリンもこの点について、述べている。
『この方法を用いはじめたころは、自分の性質をおさえるのにずいぶん苦労したが、しまいには、それがやすやすとできるようになり、習慣さえにもなった。・・・改革を提案すると、みなすぐに賛成してくれたのも、市会を動かすことができたのも、主として、第二の天性となったこの方法のおかげである。』

「第二の天性」
これは習慣である。
はじめはできなくても、繰り返し繰り返し行うことで、だんだんとできるようになり、そのうち習慣にもなる。
つまり、この「第二の天性」はゴルフと同じように、スキルである。
別な表現をすれば、毎日毎日、実践つまりトレーニングを積むことで、少しずつではあるが、レベルアップが可能であり、まさにスキルである。
ということで、「誤りを指摘しない」というのも、「人を動かす」ということも、スキルであれば、最初はできなくとも、ゴルフと同じように正しくトレーニングを繰り返すことで、必ずできるようになる、と信じている。


●大人の対応の仕方とは?

その昔、ISOを担当していた時のことである。
ISO9000は、仕組みの品質を確認するシステムである。
会社全体の仕組みの相関関係を検討した際、矛盾点に気が付いた。
そこで、自分なりに検討して新たな制度を提案したことがある。
しかし、担当役員からは、「検討する」という言葉だけで、私の提案を受け入れてもらえなかった。
今考えてみると、私が性急だったと思う。
相手の立場や理解度を考えずに、自分の考えた制度を推進することばかりを急いでいた。
担当役員に、従来の制度の欠点を素直に認めるゆとりを、持たせる配慮に欠けていたのである。
その結果、案の定、私の案は廃案となってしまった。

今思っても、返す返す残念である。
今であったら、どのように提案するだろうか?

そのヒントが、D・カーネギー氏はにより述べられているので、引用する。

『今度は、まず出席者に問題点を探してもらった。次に指摘された問題点を取りあげて議論し、今後の処置をどうするか、みんなの意見を聞いた。
それから、適当な間をおいて提案を行い、それについて議論してもらい、修正を加えながら固めていった。
会議が終わりに近づいて、私の考えた制度そのものを提示した時は、全員が賛成するところまできていたのである。
この経験から、私は、相手の間違いを頭からきめつけるやり方は、効果がないどころか、結局は、相手の自尊心を傷つけ、みんなからも敬遠され、話し合いもできなくなるのがオチだと悟った。』

もっともな対応である。
このような見方もできるのでないだろうか。
目的は、結果をだすことである。
条件は、相手が納得して賛同を得る必要がある。
しかし、相手は、その制度について理解していない。
であるならば、最初の対策は、相手にその制度について理解し、納得してもらうことである。
そのためには、相手の自尊心を満足させることである。
そうすることで、双方満足して、結果をだすことができる。

つまり、相手の立場を考えて、相手の自尊心を傷つけることなく、結果をだすのが“大人の対応”である。


●結論

『人を説得する原則2』

『相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない』