hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

研修講師基礎講座2回目 3分間メッセージ

2012-07-30 | 研修講師
この講座は、月1回のペースのため、1か月振りである。
速いような遅いような気がする。
やはり、1か月間、間を置くということは遅い。もっと回数があれば、と個人的には思う。
一方で、この1か月間は速かったという感もする。
理由の一つとして、「3分間メッセージ」が頭の中にあったためだと思う。
今回研修の中で、「3分間メッセージ」を行うことが前回の宿題であった。

そのために、試行錯誤の繰り返しで台本を作成し、練習も行い、かなりの時間を費やした。
たかが3分間であるが、されど3分間である。

結果からすると、実りの多い3分間であった。
「実りが多い」ということは、自分の良い点の発見もあると同時に、数多くの課題を発見することができたことである。


●チェックリスト

「フレンドシップ・カード」という、相互チェックリストである。
発表者に対して、受講者メンバー全員がチェックするのである。
約20人にチェックしていただくと、自分の成果や課題点が見つかる。
チェック項目の構成は以下のとおりである。

○態度
・姿勢がよく、好感がもてる。
・熱意が感じさせる。
・ジェスチャー(身振り・手振り)が効果的である。
・アイコンタクト(視線・目配り)が良い。
・表情が明るく、親しみを感じる

○話し方
・言葉が明瞭で、はっきりしている。
・声が大きくて分かりやすい。
・メリハリのある話し方で分かりやすい。
・話の速さが適正である。
・気になるような言葉のクセはない。

○内容・構成
・話の構成が良い
・ポイントが明確である。
・具体的で理解しやすい。
・聞き手の立場への配慮が感じられる。
・時間配分が良い。

○コメント


●評価の分析

全員で20名であるので、評価していただく方は、19名である。
評価は、各項目に対して、良ければ「○」をつける方式である。
自分に対する評価を、エクセルを使い、分析をしてみた。

90%以上の方が「○」をつけていただいた項目は
「話し方」に2項目あった。
・言葉が明瞭で、はっきりしている
・声が大きくて分かりやすい
この評価は、嬉しいことである。
毎朝、トイレでボイストレーニングをしている成果の表れと自己診断する。
トイレのドアに、ボイストレーニング表を貼っている。
自分の課題である、「唇の動き」や「舌の動き」を活性化するために、基礎トレーニング日々行い、「早口言葉」もその練習の一環としている。
「唇の動き」や「舌の動き」もスキルであるので、日常のトレーニングが必須である。
数か月間、毎朝トイレでトレーニングした成果として、素直に喜びたい。

80%以上の評価は
次の2項目である
・熱意が感じさせる
・具体的で理解しやすい
これも嬉しい評価である。
宿題としてでてから1ヶ月間、テーマを考え、内容構成を自分なりに行ってきた。
ビデオに撮影し、自分の結果を改善し、さらに練習をしてきた。
その評価だと思うと、努力の甲斐があったと思う。

一方で、評価の低い項目は
次の3つである。
・アイコンタクト(視線・目配り)が良い。
・表情が明るく、親しみを感じる
・聞き手の立場への配慮が感じられる

「アイコンタクト(視線・目配り)」については、確かに下手である。
今回、自分の発表をビデオ撮影したので、その様子を分析するとよく分かる。
ビデオを見ると目線の動きが、うつろ(?)である。
本来なら、ジグザク法とアイコンタクトを組み合わせて、「ワンセンテンス、一人」で話すことが基本であるが、これは全くできていない。

日常会話でも、人の目を見て話すのが得意でない。
そのため、スピーチする際も、目線が定まらず、結果的にこちらの想いや熱意が半減してしまうことになりかねない。
これでは、講演講師は務まらない。
ぜひ、ジグザク法とアイコンタクトをマスターして、ワンラックアップしたい。
そのためには、言うまでもなく、日々のトレーニングである。

「聞き手への配慮」について
これに関しては、アイスブレイクが該当するかもしれない。
聞き手の気持ちをほぐすために、気の効いた話をするのがプロの技である。
今回の参加者の中には、このアイスブレイクの上手い人が何人かいた。
自分の名前の由来や名前にひっかけてウイットの効いたコメントを言われる方がおり、参考にしたいと思う。


●ビデオからの反省

今回、自分でビデオ撮影したので、そこからの反省点も多い。

・あいさつが情けない
頭の下げ方や言葉に心がこもっていない。
「みなさん、こんにちは。○○です」
とはっきり言うべきあいさつにメリハリが無く、大いに反省すべき課題である。

・手の動きが曖昧
手で何かを表現しようとしているが、何なのかわからない。
自然に出ているのかもしれないが、ただ動かしているのであれば、無駄な動きである。
ビジュアルハンドのトレーニングが必要である。
これは講座の演習の中で、トレーニング課題でもあった。

・物の形状を体で使って表現する時(四角、丸や三角)

・量を表す時(大きい、小さい、増える、減る、伸びる、拡大、圧縮等)
これは、売上の推移、売上向上、経費削減、販路拡大など、コンサルタントとして使える要素が多分に含まれている。

・数字を表わす時
これは多用している。今回のプレゼンでも、腕を伸ばし、指を立てて1・2・3とサインを出すことで、「分かりやすさ、力強さ」の印象を与えることだが、ビデオを見るとメリハリがなく、力強さを感じることができなかった。

・うわずった声
やはり緊張していた。
準備はしていたが、まだまだ不十分である。
先生によれば、どんな人でもあがる。それは『やる気のある証拠』である。

その対策として、
・原稿(レッスンプラン)をしっかり作る
・リハーサルを行う
・前日に声を出す練習をする
・教室には早めに入っておく
・すぐに話しださない。ゆっくりはじめる
・呼吸を整え、挨拶。第一声。
・早めに受講者に作業や発言の機会を提供する
・うなずく人に話す(うなずく人を探す、作る)

自分なりに、上記のことはそこそこやってきたつもりでいた。
しかし、結果として、緊張して声が上ずっていた。
今思えば、「呼吸を整える」ことに関しては、不十分であった。
以前、このブログにも書いたことだが、呼吸を整えるためには、腹式呼吸をすることである。
特に、息を吐くことで、副交感神経を活性化することで、気持ちを落ち着かせることができる。
これもスキルであるから、日々トレーニングをしていたつもりであったが、今振り返ると、かなりサボっている。
湯船の中と通勤途上が練習の場であったはずだが、最近はやっていない。
練習は正直である。
ボイストレーニングのように、毎日練習すれば成果が出るし、腹式呼吸のようにサボれば、結果はそのとおりになる。

そのほかにも、上記にも書いたが、視線の動きやアイコンタクトは意識してトレーニングが必要である。どのようなトレーニング方法を採用すれば、長続きするか検討する必要がある。


●メラビアンの法則

情報伝達の有名な法則がある。

・言葉(話の内容等)
・話し方、言い方(声の調子、高低等)
・ボディランゲージ(態度、姿勢、身振り、視線等)

今回の講座でも登場した。
相手に伝わる割合は、

言葉・・・・・・・・7%
話し方、言い方・・・38%
ボディランゲージ・・55%

この数字からしても、もっともっと身振りやアイコンタクトについて研究し、トレーニングをすべきと改めて思う次第である。


●K先生からのアドバイス

休み時間に、個人的にK先生に相談してみた。
そのアドバイスは、事前準備の方法として、タイムテーブルを作ることである。
1日のスケジュールであれば、タイムテーブルを作る意味は分かる。
先生も講義の中で言われていたことだが、遠方からきている受講者もいれば、帰りの飛行機の予約、さらに終了後、別件を抱えている受講者もいる。決して講演者の都合で時間を延ばしてはいけない、と言われたことは心にストンとおちた。
このアドバイスは、将来の自分の姿を重ねると、肝に銘じる大切なことであった。

さらに、先生のアドバイスは、「3分のメッセージ」の場合でも同じというのである。
20秒単位に、言うべきことを考えて、台本を作るということである。

私の原稿は、当初は、全体の要点をマインドマップで書き出した。
その後に、ブレイクダウンして、台本に近い原稿を仕上げた。
しかし、その中には、タイムスケジュールが入っていなかった。
先生のアドバイスによると、20秒間の各パートをしっかり組み立てることで、全体として完成度が高まる、ということであった。
まさに、そのとおりである。
今回の原稿も来週使い予定があるので、しっかりとタイムテーブルを組み込み、「20秒構成」で磨きをかけたいと思う。

最後の振り返りでは、私しか知らない秘伝「20秒構成」について全員の前で発表した。
情報の共有化ということで、気持ち良く話すことができた。

今回の研修は、実り多い一日であったことは言うまでもない。
改めて、K先生に感謝したい。

日本人の働く意欲は世界最低 その2

2012-07-27 | 企業経営

昨日に続き、
PRESIDENT 2006.7.17号「日本人の働く意欲は世界最低」から引用する。


●上司に対する不満は世界一大きい

日本人の職場環境における不満の中で突出しているのが上司への不満である。
日本人の回答者の40%がマネジメントの質について、「低い」または「とても低い」と評価している。
具体的にどのような点で、不満がるのだろうか?
アンケートでは、次の14項目について調査している。

01 チームワークを支援してくれるか?
02 いい仕事ぶりを評価してくれるか?
03 部下を尊重してくれるか?
04 目標達成のために責任を委ねてくれるか?
05 個人が仕事のイニシアチブをとるよう奨励し権限を与えてくれるか?
06 問題解決の支援を求めた時に速やかに助けてくれるか?
07 新しいアイデアや行動を奨励してくれるか?
08 高めだが実現可能な目標を設定してくれるか?
09 学習の機会となる経験を共有しているか?
10 業績について頻繁にフィードバックしてくれるか?
11 仕事への情熱を掻き立ててくれるか?
12 何が自分をモチベートするのか理解してくれているか?
13 明確かつオープンなコミュニケーションがあるか?
14 学習の機会を与えてくれるか?

この中で、
04、08、11、12、14の項目に対する評価が、他の国に比べて低い。
とくに
11 仕事への情熱を掻き立ててくれるか?
12 何が自分をモチベートするのか理解してくれているか?
が際立って低い。

部下の気持ちは、「成長したい」
が、それを上司はサポートしてくれない、ということだろうか。
つまり、情熱も持って、部下の成長を支援できない上司が多いことを示している。
上司には、部下の成長を支援するスキル、つまりPDCAが備わっていない、ということも、このデータから読み取ることができる。
一方で上司も、成果主義導入で結果を求められており、部下の支援をするゆとりがないのだと思う。
さらに、『IT導入後、組織がフラット化し、昇進の機会が減り、人を指導したり組織をまとめた経験がないまま、いきなり管理職になる例もあり』、リーダーとしての資質がないこともあると、分析している。

もう一つは、会社への不満である。
『従来の日本企業では、従業員は会社に対して忠誠心を誓い、会社もまたその忠誠心に終身雇用と年功型賃金で報いようとする、「相思相愛」の関係にあった。
しかし、グローバル化や長引く不況のために、年功型の賃金体系は崩壊し、定期昇給もおぼつかなくなり、リストラで会社から放出されるたりしている。
そのため、会社と従業員との信頼関係が壊れ、その不満が直接の上司に向かっている』、と分析している。


●部下のモチベーションをあげる方法

逆に、上記の14項目を確実に行なえば、
部下のモチベーションをあげることができるのではないだろうか?

01 チームワークを支援すること
02 いい仕事ぶりを評価すること
03 部下を尊重すること
04 目標達成のために責任を委ねること
05 個人が仕事のイニシアチブをとるよう奨励し権限を与えること
06 問題解決の支援を求めた時に速やかに助けること
07 新しいアイデアや行動を奨励すること
08 高めだが実現可能な目標を設定すること
09 学習の機会となる経験を共有すること
10 業績について頻繁にフィードバックすること
11 仕事への情熱を掻き立てること
12 何が自分をモチベートするのか理解すること
13 明確かつオープンなコミュニケーションをすること
14 学習の機会を与えること

このようにすれば、部下のモチベーションはあがり、上司への不満も解消される。
その結果、働く意欲もわき、自ずと会社の業績も上がるだろう。

日本の企業では、すべてが終身雇用と年功序列型の仕組みが崩れたわけではない。
企業経営は、100走のようにすぐに結果を求められることもあるが、『未来永劫への繁栄』というマラソンのような大きなテーマを抱えている。
欧米流の仕事のやり方を真似することなく、従来の日本型の良い点を残しながら、改善するのがこれからの生きていく方策の一つと考える。


●日本人の働き方

グローバル化や長引く不況が続く中で、一人ひとりが「仕事」について意識を変える必要がある。

『日本人は、「こういう製品を、こういうスペックで、いつまでに作る」「製品に欠陥がある。一刻も早く改良しなくてはならない」といった明確なゴールや条件を設定され、その条件下でどれだけ仕事を早く、巧みにできるかを競わせれば、集中して質の高い仕事をこなす』

『しかし、他者からはっきりしたゴールや方法を示されず、それ自体を定義することが求められたり、従来とは異なる発想でイノベーティブな仕事を求められると、途方にくれてしまう傾向がある』

『決められたことをこなすだけでは売り上げにつながらない。「どこで何を工夫し、どうアプローチをすれば成果につながるのか」を自分で考えて実践する、という肝心な部分が欠けがちだ。これは日本人全般にいえることである』

『誰かに目標を与えられ、そのための環境をお膳立てしてもらい、あとはひたすら頑張る。という状態でも、結果がだせればそれなりに達成感がある。しかし、そのような定型化された仕事はますます少なくなり、頑張るだけでは成果は出しつらくなる。』

『「職場環境」が快適であることは大切であるが、見落としがちなのは、その「環境」には自分も含まれているということ。上司への不満、会社への不満をくすぶらせながら、いやいや会社にしがみついても、何もいいことはない。自分はこの会社で何を達成したいのか。そのために、会社や上司に何を期待するのか。そして自分自身で変えるべきこと、変えられることは何なのか。これらを改めて問い直すことが、より前向きに働くための「環境整備」になるだろう』

かなり引用が続いた。
定型業務から、自分で考える業務に変化していることを察知する必要がある。
いわゆる外部環境の変化である。その変化を誰も止めることができない。
であるならば、自分が変わるしかない、ということである。

このことに気づく人は、自分で考えて、自分を変えることができる。
少しずつであるが、確実に変えられる。
この変化に対応する対応力もスキルと考えれば、今までの人生の中でどれだけ、自分で考えて自分の人生を組み立ててきた人にとっては、容易なことである。
ゴルフに例えるなら、若いころから多くのボールを打ち、練習に励み、コースにでてマネジメントも学びシングルクラスになっている。

一方で、他人に依存してきた人は、これからがスタートである。
まずは、既得権を捨て去り、自分の認識を変える必要がある。
既得権益を捨て去ることは、大きなパワーを要するが、できないことではない。
時間はかかるが、必ずできることである。
将来を見据えて、夢を持ち、チャレンジしてもらいたい、と感じる次第である。

日本人の働く意欲は世界最低

2012-07-26 | 企業経営
手元にPRESIDENTの古い記事がある。

PRESIDENT 2006.7.17には

「仕事に前向きな日本人はわずか2%」
(タワーズぺリン調査)

このようなタイトルに、目が釘付けとなった。
実は、インターネット上で見たのである。
非常に興味深いので、PRESIDENTのホームページなどを調べてみたが、すでに絶版であった。
そこで、大学の図書館に行き、この記事を手に入れたのが一カ月ほど前のことだった。

今、机の山積みの資料から、そのコピーを引出し見ているところである。
この1ヶ月間、何度かみたが、どのようにまとめて良いのかわからなかった。
が、稲盛氏の「人を生かす 稲盛和夫の経営塾」を読むに従い、イメージが結び付いてので、今回はプレジデントの記事を中心にブログを書きたい。


●日本人の働く意欲は世界最低

『日本人の働く意欲は世界最低』

衝撃的なタイトルである。
さらに、

『仕事に前向きな日本人はわずか2%である』

『日本人の4割はイヤイヤ働いている』


このような見出しが並んでいれば、人財育成をライフワークとする私にとっては、捨て置けない記事である。

ただ、この記事は、2006年7月17日号で、今から8年前である。
バブル崩壊後の混沌とした時代であるが、リーマンショック前ということでもあり、今のようなデフレ時代よりは、まだマシであったと思う。

この衝撃的な記事は、世界最大級の人事戦略コンサルティング・ファーム、タワーズぺリンが世界16カ国を対象に行った調査である。

この調査は、「従業員が仕事に対して、自発的、主体的に努力する意志と能力をエンゲージメント(engagement)(愛着心)と定義して次の四つの領域にわたって調べたものである。
・給料に関するもの
・給料以外の福利厚生
・学習と成長の機会
・職場環境(人間関係を含む)

調査対象は、日本のほか、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの16カ国における10代から50代の企業従業員(管理職クラス含む)約8万6千人。男女比率は8:2だった。

最初の調査は、「企業従業員の働く意欲」である。
選択肢は3つ。

・非常に意欲的である
・普通に意欲的である
・意欲的でない

日本人の回答者のうち仕事に「非常に意欲的である」者は、全体のわずか2%であった。
これは、調査対象となった16カ国で最低である。さらに、「仕事に対して意欲がない」と感じている回答者の割合も41%とインドについで多かった。

驚くべき数字、というよりもショッキングな数字である。
一方で、プラス思考で考えると、従業員全員が「非常に意欲的である」ようにすることができれば、会社の業績は一気に50倍になる可能性もある。
少なくても「意欲的でない」従業員を改善することで、2倍になる可能性は十分ある。


●日本人の意欲減退の理由は

『理由は二つある。
一つは組織と個人の関係の変化、もう一つは仕事の質の変化である。
バブル崩壊に伴い、終身雇用制度は事実上崩壊し、会社のために身を粉にして働いても安定雇用という形での見返りは期待できなくなった。
また、急速に進んだ合理化で組織がフラット化し、世代間のスキルの伝承がスムーズにいっていない組織が多い。それが上司への不満、ひいては会社への不満となって表れている』
『仕事の中身も変容した。ITによる業務の効率化が進む一方で、人がするべき仕事はより創造性を求められるものに集約されるようになってきた。
サービス業でも製造業でも、従来のように決められた業務をきっちりこなすというだけでは競争に勝てなくなっていいる。求められるものは、業務のスペック自体を定義し直すことだったり、従来の仕事を全く異なる発想で見直すことだったり、これまであまり使ってこなかった筋肉を動かすことが必要となっている。
こうした職場環境の変化に対するとまどいや不安が日本人の仕事意欲の低さにつながっているのではないだろうか』
プレジデントでは、このように原因分析をしている。

逆にいえば、あえて日本流の経営を行えば、改善される部分も多いのではないだろうか?
尊敬する稲盛氏の京セラのような経営はどうであろうか。
実際にその手法で、日本航空も再生している。

キーワードは、エンゲージメント(engagement)である。
和訳すると、「会社に対する愛着心」である。


●稲盛氏の「従業員の幸せ」に対する思いとは

従業員のモチベーションをあげる経営方法は、何といっても稲盛流である。
稲盛氏の京セラの価値観を見ればそれがよくわかる。

「人を活かす稲盛和夫の経営塾」から引用する。

『京セラという会社は、京セラという会社の中にすむ全従業員、私も含めて、全従業員の物心両面の幸福を追求するために存在します。だから、京セラという会社は高収益を上げ、どんな不況が来ようともビクともしない会社にしていかなければなりません。そのために私(稲盛氏)は先頭を切って、必死に働きます。みなさんも自分の生活を守り、自分の幸福を実現しようと思うなら、私についてきてください。それがいやなら辞めてください。従業員みんなの幸福のために、私と一緒に苦労してくれる人でなければ困ります』

経営者の情熱の表し方で、いくらでも対策はあると思う。


このプレジデントの記事は、まだまだ続く。

「人財育成」「モチベーションアップ」について引続き研究していきたい。

人を生かす 稲盛和夫の経営塾 その3 社員のやる気を引き出す

2012-07-25 | 企業経営
今日、引用するテキストは、稲盛和夫氏:著「人を生かす 稲盛和夫の経営塾」(発行:日経ビジネス文庫)である。
(なお、引用は、『 』で示した部分である)

今日は、「第二章 社員のやる気を引き出す」について検討する。
サブタイトルは、「夢を描き、心に火をつける」である。

●夢は成長の推進力

『人生においても、会社経営においても、将来こうありたいという「大きな夢」を描けるかどうかで、その未来は変わってきます。夢を描くことは、人に希望を与え、明日への活力を生み出す』

夢のある人生。
私には、夢がある。夢があるから、努力する。
その昔、ゴルフに熱中していたことがある。
毎日毎日、100回200回と素振りをしていた。
週末の早朝には、近くの練習場に行き、アプローチを中心に500球くらい打っていた。
その時に、夢とは何であっただろうか?
「ゴルフが上手くなりたい」という気持ちは人一倍強かった。
しかし、プロになりたいとは思わなかったし、大きな大会に出て優勝したいとも思わなかった。
ということは、「上手くなりたい」という目的だけであって具体的な夢を描いていなかったのかもしれない。

今はどうであろうか?
「本を書きたい」これは、夢に向かっての手段の一つである。
夢は、講演講師になり、多くの人々の人生に役立つ講演をすることである。
舞台は、東京国際フォーラムの大会場。
満員の聴衆を前にして、お話をしたい。
私の話を聴いて、一人でも多くの人が、何かを感じて行動に移して、より良い人生のヒントを得てくれたら幸せだと思う。

そのために、プロ講師の養成講座にも通い、日々ブログも書いている。
すでに25万字を過ぎて、講演材料も貯まってきた。

大きな夢、大きな目的があることで、行動が確実に変わってくる。
今まで、ボーッとTVを見ていたのが、課題を持って見るようになる。

夢に一歩でも近づくためには、どうしたら良いのか?
必死に考えるようになる。そこで課題を見つけて全力で取り組む。
課題に取り組んでいる最中に、常に修正を行い、次のステップアップにつなげていく。
夢とは、そのような力があると思う。
私の場合は、人生の夢である。


●仕事の意義を説く

これが会社経営の場合、経営者はどのような夢を語るのだろうか?
稲盛氏は語る。
稲盛氏は京セラ創業まもないころから、大きな夢を描いていたという。
『このを西の京原町で一番の会社にしよう。原町一になったら中京区一。中京区一になったら京都一。京都一になったら日本一。目指すは世界一だ』
『従業員は半信半疑であった。他人から見れば途方もない私の夢でしたが、それでも私はあらゆる機会をとらえて語り続けることで、いつしか従業員も私の掲げた夢を共有してくれるようになった。さらに、その夢に向かって、どんな障害をも乗り越えようという強い意志力が、集団の中に生まれてきた』

これは、経営者の情熱そのものである。
情熱があってはじめて人の心は動き、行動に移る。
従業員の心の火をつけるのは、情熱というマッチであろう。

『創業時の京セラは、他社が断った技術的に難しい仕事しか注文を取ることができなかった』
それでも技術も設備もない会社で稲盛氏は熱く語り続けたという。
『従業員の顔が「よし、やろう」となるまで、私はとことん話をした。従業員の気持ちを「どうしてもやり遂げるんだ」という気持ちまで高めなければ、開発など成功するはずがない。「何としても成功させる」と強い意志を持ち、努力を続ければ、必ず道は開ける。』
『従業員にそのような思いを持って仕事をしてもらうために、仕事の意義を、自分のエネルギーを相手に注入するぐらいの熱意で説き続けるのである。意義や目的に納得できれば、従業員は自ら燃えて、その高い目標にチャレンジするようになる』

まさにその通りだと思う。
一般に創業者は、思いの丈が強い。逆に、思いが強いから、創業者になれる。
今までに何度も書いたことだが、この気持ちや情熱を二代目、三代目がいかに引継ぐことができるかで、その会社の未来は決まるといっても過言ではない。

経営者が、社員の直接話すことで、社員の心も動くだろう。
以前、セブンイレブンの社長であった鈴木氏が、全国の地域の責任者を毎週東京に集めて、研修を行っていた、とそのような本を読んだ記憶がある。
全国から1千人を超す責任者が集まるのであるから交通費だけでもバカにならない。
それでも、経営トップが直接語りかけることで、責任者の気持ちは、大きく揺り動かされる。その結果、その責任者が各店長に熱く語りかけて、各店舗の経営品質を高めているのだと推察する。

昨今、TV会議等で経費削減を行っている会社もあるが、確かに目先の経費は削減することはできる。
仮にセブンイレブンの会議もTV会議で行えば、大幅な経費削減につながる。しかし、各店舗の経営品質を保つことができるか、ということになれば話は別である。

ぜひとも、顔を見ながら、情熱を持って直接話をすることで、心と心が通じる経営を行い、多くの日本の企業が元気になってもらいたい。


●地道な努力を積み重ねる

『大きな夢や高い目標を掲げることは大切である。しかし、現実は、地味で単純と思われるようなことにも、毎日取り組まなければならない』
『どんなに偉大なことも、地味な努力を重ねることでしか達成できない。非常に小さな一歩一歩の積み上げがエベレストを征服するように、全従業員が同じ目標を目指して、一生懸命に仕事に取り組み、地味な努力を連綿と続けていくから、困難と思えるような技術開発ができる。このような地味な努力の集積が、京セラの技術のベースをつくり、今日の発展をもたらしている』

すばらしいことである。
稲盛氏の文章を読むと、頭が下がる思いの連続である。
一般の書物を読むと、「ここどうかな?」と突っ込むことも多々ある。
一方、稲盛氏の本には、「そのとおりである。ここは自分に欠けていることである」と反省させられることばかりである。
稲盛氏の考え方を徹底的に勉強して、自分のモノとして、さらに自分の経験とミックスさせて、自分なりのモノを作っていきたいと思う次第である。


●人は報酬では動かない、心で動く

多くの会社では、どのようにして従業員のやる気を引き出しているのだろうか?
景気が良ければ、それなりに利益も出て、ボーナスもはずむことができるであろう。
しかし、「不況で業績が下がったから、賞与を無しにする」といったら、社員はどのような行動に出るだろうか。
「カネの切れ目が縁の切れ目」と昔からいうように、モチベーションは下がり、少しでも給料の高い会社に転職していくだろう。
さらに、今はデフレの時代である。多くの会社では、業績が芳しくなく、多くのボーナスや給与を払うことができないと思う。
その場合、どうするかである。
経営者の手腕の見せどことである。

稲盛氏は語る。
『金銭で人を釣るのではなく、心の内から燃えるような動機づけを行うことが大切である』
『人は高い目標を掲げ、様々な困難を乗り越える中でこそ、喜びや、やりがいを感じることができる。将来に向かって大きな夢を描き、仕事の意義を明確にし、従業員の心に火をつける。これこそがリーダーに与えられた大きな役割である』

ストックオプション等の金銭で結び付く経営もあるだろう。
成功をすれば、莫大な金銭が入るから、ストックオプションの権利者は一生懸命に仕事をするだろう。しかし、みんながみんなその権利を得ることができるわけではない。
会社を動かしているのは、工場で、現場で、汗水流している従業員である。
彼ら一人ひとりの心に火をつけなければ、会社は動かない。

ぜひ、経営トップには、その大きな役割を実行して、日本を元気にしてもらいたい。

続く。

愛と佳純

2012-07-24 | スキルアップ

「愛と佳純」 昨日のNHKスペシャルである。
福原愛選手と石川佳純選手。日本を代表する卓球選手である。
福原選手は23歳、一方石川選手は19歳、若い二人である。
ロンドンオリンピック直前の二人の心の葛藤を描いたドラマと感じることができた。


●福原選手のPDCA

昨年、2011年1月の全日本卓球選手権女子準決勝。
福原選手に対する相手は、後輩であり、良き友であり、また良きライバルである石川佳純選手である。
初優勝を狙っていた福原選手は、成長著しい石川選手に1-4で敗れた。
石川選手に敗れ、気持ちの整理がつかない福原選手は、そのまま決勝を見ずに帰ろうとした。
そこで、福原選手の中国人コーチに
「なぜ、決勝を見なのだ?そこに石川選手の強さが隠されている」
と諭され、観客席から見ていたという。

そこで、福原選手は何を感じ、何を悟ったかかである。
石川選手は、フォアーハンド主体の選手である。
石川選手は、様々なサービスからくり広げられる3球目攻撃を主体とするパワフルな攻撃を行う選手である。
一方、福原選手は、小学校の時から、バックハンド主戦で戦っている。
小学生の時から卓球台近くで戦う方法であるため、フォアーハンドは、小さく力が弱い。
実際に、TVの映像では、フォアーハンドを打つ時、足の踏み込みがほとんどない。
そのため、パワー不足となり、決定打を打つことができなかった。

そのことに、中国人コーチは気づいていたのだろう。
おそらく、今までも何度もその点には注意しているはずである。
しかし、プレーするのは、福原愛選手本人である。
いくら周りで、とやかくいっても、本人がやる気を出さなければだめである。

そこで、いいチャンスと思い、石川佳純選手の決勝戦を見るように指摘したのである。
石川選手の決勝戦を見ながら、福原愛選手は、悟ったと思う。
石川選手のフォアーハンドの素晴らしさ、福原愛選手には持っていない素晴らしさを感じ取ったと思う。
目の前で、石川選手が初優勝する姿を見て、今まで気づいてはいたが、フォアーハンドの重要性を再認識したと思う。


●福原選手の下半身強化とフォアーハンド

偉いのが、自分の欠点を再認識し、それを課題として取り組んだことである。
ここでPDCAの改善作業が始まる。
原因分析すると、福原選手は、基礎トレーニングが嫌いだという。
そのため、基礎運動力は、全日本クラスの並み以下だということであった。
これは、信じられないことである。
過去には、「ボールを打っていれば体力がつく」、という選手もいたが、全日本クラスになればそんな甘いものではない。まして世界トップを狙う選手としては自覚不足である。
ここからがすごい。
自分の課題がわかれば、徹底的に下半身のトレーニングを行い、フォア―ハンドの練習を実行したことである。1日に3000球を打つこともあるという。そんなに打てば、腕はボロボロになるだろう。それでも彼女は、小学生の時からの負けず根性で頑張ったのである。

印象的なシーンをTVではやっていた。
「腕が痛い。交換する腕があれば買いたい」と針を打つ中国人コーチにグチをこぼしていたことである。この中国人コーチは、メンタル面でも福原選手の良き相談相手だと実感した次第である。
厳しい練習の成果は、今年2012年1月の全日本女子卓球選手権で発揮した。
決勝の相手は、昨年準決勝で敗れた石川選手である。
結果は、福原選手が4-1で勝った。
その内容が、昨年と全然違うのである。
石川選手も顔負けのフォアーハンド攻撃である。
フォアーからくり広げる攻撃は、パワーがあり、破壊力となって得点を稼ぎ、初優勝を勝ち取ることができた。
結果論であるが、もっと早くフォアーハンドを鍛えていれば、はやく優勝できたかもしれない。しかし、あくまでも本人が自分の課題を自覚してやらなければ、結果には結び付かない。
原因分析からはじまった素晴らしいPDCAの事例である。


●石川選手のスランプ克服

石川佳純選手は、スランプに落ちいっていた。
石川選手も福原選手に見習って、反省ノートをつけ始めたとのことである。
昔からつけていると思っていたが、ちょっと意外であった。
反省ノートから導き出された課題は、精神面の強化。
どうすれば、精神的に強くなれるか、がスランプ脱出の方策と考えたようだ。

そこで、伝を使い、体操の北京オリンピックメダリストの富田選手と話をすることができた。
そのシーンをTVではやっていた。
石川選手の話を聞きながら、どうすればスランプから脱出できるか、と模索している様子がうかがえた。
富田選手からの答えは、メンタル面であった。
精神的な切り替えをする必要がある。
切羽詰まった時に、どのように気分を切り替えてリセットし、新たな気持ちで戦うか、ということである。
石川選手は、自分の精神状態を分析し、自分で答えを導き出したことが偉い。
『「今までの自分は、勝たなければならない」と自分を追い込んでいた。結果が出る場合は良いが、結果がついてこない場合もある。そのためにスランプになった。』
そこで、『「試合に負けてもいいや」と考えることで、気分が楽になり、スランプを脱出することができた』、と言っている。

富田選手から一言のアドバイスをもらい、それを自分なりに消化し、改善策を見つけて、その後の結果に結びつけたことはすばらしいことである。
この事例もPDCAサイクルの良い事例である。


●オリンピック裏事情

卓球は、ご存じのように圧倒的に中国が強い。
女子の個人ランキングベストテンには、中国選手が6名、シンガポールが2名、そして日本人が2名である。シンガポール選手は中国からの帰化人であるから、ベストテンで中国人以外は、福原選手と石川選手の2人だけである。
そこで、主催者側が中国選手の独占を嫌い、オリンピックには各国2名しか出場できないのである。
団体戦は、個人ランキングのポイントの合算で決まる。
第一シードは当然中国であろう。第二シードは、シンガポールと日本が争っているとのことであった。第二シードを勝ち取ることで、決勝まで中国と対戦することはない。そうすれば日本のメダルも有望である。そのためには個人のポイントを積み重ねる必要がある。
NHKテレビ「愛と佳純」のメインテーマは、福原選手と石川選手の二人を通じたこのポイント合戦であった。
結果的には、オリンピック前の最新ランキングは、1位から4位までが中国選手。
石川選手が6位、福原選手が7位である。
この結果から、日本は第二シードを勝ち取ることができたのである。
女子団体戦は、非常に有望である。
また、個人戦においても、中国人は2人しかでれないのであるから、メダルの期待も高い。
ぜひ、頑張ってもらいたいと思う次第である。