hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

高収益企業のつくり方 その1 大義名分の大切さを知る

2012-08-04 | 企業経営
今日からは、「稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方(日経ビジネス文庫)」を引用することで、企業経営について学びたい。なお、『 』が引用となる。


●目次の引用

目次を引用することで、本の中身の全体像を掴むことができる。
今回、この本はQ&A方式で書かれているため、中小企業の経営者が日常疑問に思っていること、困っていることに対して、稲盛氏が的確に答えている。また、この目次はポイントを掴んで書かれているので、この目次を読むだけで、高収益のつくり方の真髄を把握することができる。
では、目次を列記する。

序章 会社の存在意義を問う

第一章 高収益の基盤を築く・・・高収益体質をつくる


Q01 自社の拡大、強みつくりための投資は正しいか
A01 利益採算面を向上させ、まずは基盤を築け
Q02 トップとして何を優先課題に取り組むべきか
A02 現場に出て、泥まみれになって仕事に精通すること
Q03 親会社に頼らず、自立の道を拓くには
A03 「知恵」を使って、既存事業に集中して利益を伸ばせ
Q04 OEM主体の事業で収益を改善するには
A04 下請けに徹して、生産性を10倍に上げることを考えよ

第二章 挑戦し続ける企業をめざす・・・多角化の進め方

Q05 小売業の拡大出店政策はこのままでよいか
A05 売上の大きさを追わず、店舗ごとの採算を高めよ
Q06 老朽設備の大規模改修のタイミングは
A06 借り入れを重ねるよりも、パッチワークによりリニューアルを
Q07 シェア拡大のためにM&Aを成功させるには
A07 三方よしの買収が企業のさらなる隆盛をもたらす
Q08 新分野に進出する時の成功の鍵とは
A08 得意技で勝負し、自らの能力の成長にかける

第三章 パートナーシップで経営する・・・労使の立場を超えた企業風土をつくる

Q09 業績が落ちた場合、給与体系をいかに見直すべきか
A09 業績スライド給は逆効果、一律賃下げを理解してもらうほうがよい
Q10 生産性を上げようと残業をさせていないが、それでよいか
A10 全員参加経営とともに、プロの給与体系を導入せよ
Q11 目標管理よる年俸制の問題にどう対処すべきか
A11 すばらしい業績には栄誉と賞賛を与え、報酬で大差はつけない
Q12 会社を守るためにやむを得ず人員削減をするべきか
A12 大善は非情に似たり。窮状を説き、信頼回復に努めよ

第四章 自ら燃える集団をつくる・・・経営者意識を持った人材を育てる

Q13 経営責任を自覚し、積極的な社員を育成するには
A13 小集団に分けて経営者意識を芽生えさせ、指導せよ
Q14 自燃性の幹部を育成していくには
A14 若い人を登用して育てる
Q15 筋肉経営を目指すが、デキの悪い社員をどうすればよいのか
A15 人間性と忠誠心を見極める
Q16 経営管理を徹底し、社員との意志疎通を図るには
A16 アメーバ経営とコンパを組み合わせる

終章 高収益経営を目指す


●第二電電の創業から学ぶ

「会社の存在意義」について、第二電電の創業を例にとって、稲盛氏はその思いを述べている。
『日本経済が電気通信事業の自由化という大きな転換期を迎えた頃(1984年頃)、私は以前から、日本の長距離通信料金の水準が欧米と比較してあまりにも高く、国民にとって大きな負担となり、日本経済の健全な発展を妨げていると考えていた』

当時は、電電公社しかなく、独占状態であった。
今の東京電力より力は強く、あまりにもガリバー企業のため誰もが手出しをすることができなかった。
そこに稲盛氏が率いる第二電電が電電公社に勝負を挑んだのである。
ちょうど、ゾウに挑むアリのような存在で、多くの国民は無謀なチャレンジとして受けとめていたと記憶している。

稲盛氏の回顧録は続く。
『これだけ巨大なプロジェクトなので、安易に着手するのではなく、自分自身の心を確かめるため、「自分が電気通信事業に乗り出そうとする動機は、世のため人のためという純粋な思いなのか。そこに一片の私心もないか」と何度も自分自身に問いかけた。それから、半年間、毎晩寝る前に「動機善なりや、私心なかりしや」と自分に問い続けた。そうしてようやく「私の動機は世のため人にためであり、心に一点の曇りもない」とことを確信するようになった。すると、いかに困難な事業であろうとも、国民のために絶対成し遂げようという勇気が湧きあがり、第二電電の創業を決断することができた』


●大義名分が事業を成功へと導く

『不利な条件の中、新電電のトップを走れたのは、の第二電電の従業員が、国民のために役立つ仕事をしたいという大義名分に燃えて仕事に励んでくれたからである。創業当初から、私(稲盛氏)は、「今我々は、通信事業の自由化という、百年に一度あるかないかの歴史的な転換点に立っている。このチャンスを生かし、国民のために、長距離電話料金を少しでも安くしよう。たった一度しかないこの人生を、意義あるものにしようではないか」と従業員に訴えた。私(稲盛氏)の思いに共感してくれた第二電電の従業員が、意気を感じて懸命にがんばってくれた』

さらに続く。
『そのひたむきな姿を見て、第二電電の代理店の方々が応援をして下さり、さらにお客様もあたたかい声援を送って下さるようになった。こうして、純粋な心を持った人々が第二電電の周囲に集まり、後押ししてくれたので、事業を成功へと導くことができた』

その後、第二電電は、KDDとなり、IDOと合併してKDDI(ブランド名;au)と変化していく。
創業から20数年後の現在では連結ベースで3兆円を超した超優良企業である。

企業経営者は、どのように会社の存在意義、大義名分を考えているであろうか。
稲盛氏のように、私心なく、情熱も持って経営していれば、その会社の従業員は幸せである。

『企業の最高責任者である経営者は、「会社は何のために存在するのか」、つまり会社の大義とは何かということを自らに問いながら、あるべき姿を追い求めなければならない。経営者が大義名分を定め、それを本気で貫き通せるかどうかによって、企業の成否は決まる。まず、経営者が次元の高い目的、大義名分を確立し、その会社の目的、意義を全従業員に示し、理解と協力を求め、経営者自身がその実現に向かって率先垂範することが、会社を発展させる原動力となる』

稲盛氏の考え方は、ものごとの本質をついており、そこから生み出される大義名分、存在意義は素晴らしいものである。
「会社は、経営者の能力以上に大きくならない」と言われる。
経営者が、稲盛氏のような考え方であれば、創業20年で3兆円企業にすることができる。
そうでない企業の場合は、経営者の考え方を変えることで、成長することが可能である。

今回、いかに「大義名分」が大切であるかを学んだ次第である。

続く。