hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

「利益」か 「理念」か

2012-05-21 | 企業経営
会社の真の目的は、本当に「利益の追求」であるのでしょうか。

たしかに、「利益の追求」は大切であります。

多くの会社、いや100社あれば99の会社の目的は、「利益の追求」だと思います。
利益を生み出すことで企業は存続できますし、社員にも給与を払うことができます。
また、株主に対しても配当を行うこともできます。
さらに金融機関への返済も毎月きちんと払うことができ、社会的信用も高まります。


しかし、「企業理念の追求」は、「利益の追求」以上に大切なのではないでしょうか。


なぜならば、理由は3つあります。


一つ目の理由は、
「利益」によって、経営者と従業員が結び付いている場合は「脆い」ということです。

景気がよい場合は、景気の波に乗り、売り上げも上がるので、当然利益もでます。
その結果、ボーナスも多く出せ、社員も喜び一生懸命に働くでしょう。
しかし、景気が悪くなった場合はどうなるでしょうか。
「利益追求」の会社は、景気が悪くなれば、収益が悪化し、ボーナスもだせなくなることが多々あります。
その結果、経営者と「利益」で結ばれた従業員の心は、会社から離れてしまいます。
若者は会社を去り、生活がかかっている家族持ちの中高年は、居残りますが、仕事に全力投球することなく、ただしがみついているだけであります。
そのようなことになれば、さらに負のスパイラルが働き、業績悪化となり、会社滅亡へと最悪なケースになることでしょう。
まさに、昔から言われるように、「金の切れ目が、縁の切れ目」ということです。


二つ目の理由は、
「企業理念」により、経営者と従業員が結び付いている場合は、「絆が強い」ということです。


「企業理念」とは、「将来どのような会社にしたいか」、「会社は何のために存在するのか」、ということを明確にすることであり、「社長の思い」の現れでもあります。

仮に、経営者の考えとして、『「企業理念」は「利益追求」である』、でも、もちろんOKです。
その場合は、半永久的に「利益」があがれば良いですが、途中で頓挫した場合などは、前述したケースになってしまいます。

京セラやマイクロソフトなどの社長の理念に賛同して、プレハブ小屋一つから立ち上げた事例は多々あります。
このような会社は、「利益」ではなく、「心」で経営者と従業員が結びついているため、非常に強い組織です。
武家時代の主君と家臣のような関係で、「命運」をともにする関係です。

経営者の思いが公明正大であり、社会に対してどのように貢献するかということであれば、なおさら良いことです。
つまり、社会において、自分の会社の存在意義が何であるか、徹底的に追求することが必要です。

ある建設会社の企業理念は、「国民の安全・安心のために、より高い技術を提供する」というものです。
すばらしい企業理念です。
これは、建設業という業界の特徴を捉えて、経営者が徹底的に考え抜いた結果だと思います。


三つ目の理由は、
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということです。


これは昔からのことわざで、
「ある事象の発生により、一見すると全く関係の無いような思わぬことに対して影響が出ること」の例えであります。

1.風が吹くと土ぼこりが立つ
2.土ぼこりが目に入って、盲人が増える
3.盲人は三味線を買う(当時の盲人は、職として、三味線の弾き語りを行なっていたため)
4.三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
5.ネコが減ればネズミが増える
6.ネズミは桶を囓る
7.桶の需要が増え桶屋が儲かる

これを企業経営に当てはめてみましょう

1.経営者の企業理念がしっかしりしている
2.従業員は経営者の企業理念に賛同して、経営者と心で結ばれる
3.心で結ばれた従業員は、企業理念に従って、一生懸命に働く
4.従業員が一生懸命に働くことで、生産量も上がり、たくさんの知恵や創意工夫も生まれる
5.知恵が出ると、より良い組織をつくるようになる
6.また、創意工夫をすることで、より効率的な方法を編み出す
7.より良い組織を動かすことで、顧客の要望や潜在的ニーズをつかまえることができる
8.顧客の要望や潜在的ニーズをつかまえることで、顧客満足や顧客感動に結びつき、売上が拡大する
9.より効率的な方法で、原価を抑えることができる
10.売上が拡大し、原価を抑えることで、利益が拡大する

以上のような流れになります。

このように考えますと、いかに「企業理念の追求」が、いかに大切かがわかります。

したがって、企業経営の真の目的は「企業理念の追求」ということになります。

別な言い方をすれば、「企業理念」は建物の基礎にあたり、体の「血液」にあたります。
血液の循環がよくなるように、毎朝朝礼で、経営者自らが繰り返し「企業理念」を述べることで、組織全体に経営者の「信念」「哲学」が行き渡り、明るい未来が開けることでしょう。