hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

稲盛和夫氏の『経営十二か条』

2012-05-05 | 企業経営
前回に続き、稲盛和夫氏の文章から引用する。
今日引用する本は、
『稲盛和夫CDブックシリーズ
いま、「生き方」を問う2
経営に求められる力』

<目次>

経営者がもつべき「自力」とは何か
・まずビジネスとして成り立つか検証する
・「経営十二か条」を着実に実行していく

自分の分身となる「他力」を手に入れる
・経営が成功するカギはパートナーにある
・利害得失で成り立つ関係は長続きしない
・心で結ばれたパートナーシップが大切
・全従業員の信頼と協力は欠かせない

偉大な自然の力を味方につける
・よい思い、よい行いがよい結果を生む
・禅問答で語られる「因縁の法則」
・慈悲と利他の心は感謝の念から生まれる
・煩悩は知性でコントロールせよ
・心の庭をいつも美しく保つ
・自然が力を分け与えてくれるとき
・「自利利他」のすばらしい経営をめざせ


今日は、「経営十二か条」について書きたい。

ビジネスを行う場合、当然のことであるが、「企業の実力は社長によってきまる」と言われるように、何よりも経営トップに力があるかどうか、が一番大切である。
そこで、稲盛氏は、『経営者としての能力として「経営十二か条」を忠実に行っていく力が必要である』と述べている。

一番目は、「事業の目的、意義を明確にする」ということである。

『公明正大の大義名分のある高い目的を立てる必要がある。』
稲盛氏は警告している。
『アメリカなどで、経営者が私利私欲だけでは始めた会社は、パートナーと利害関係だけで結ばれている。
上層部だけで利益を分け合うため、従業員には不平不満が残り、組合ができたり、トラブルが発生する。』
ドラッカー氏のマネジメントも最初に、「企業の存在意義、使命、目的を定めよ」と述べている。
自分中心で、自己の利益追求を目的とすれば、社会や従業員の協力を得ることができないだろう。
そのためには、外部の視点に立って、『大義名分のある高い次元の目的、従業員から共感を得られるような意義、使命を立てる必要がある』

二番目は「具体的な目標をたてる」ということである。

『「うちの会社は今年、こういう売上で、こういう利益を出していこう」と具体的に月々の計画まで立てて、従業員と共有する』ということである。
『月次目標をたて、従業員に説明し、従業員から協力を得られ、ベクトルをそろえるような計画をたて、共有することが必要である。』

多くの会社では、売上目標・利益目標はたてていると思う。
しかし、一番目の目標である「企業の公明正大な大義名分、企業の存在目的」をしっかり立てているだろうか。
「企業の使命」が曖昧であれば、従業員は目先の生活費だけを会社に求めることになり、仕事を通じて働く喜びや心からの協力を経営者に向けることはないだろう。
以前も書いたが、不景気の時この差がでてくる。
会社の業績が芳しくない場合、従業員のベクトルが一致していないと感じた場合、「企業理念」をもう一度謙虚に考える必要があろう。

三番目は「強烈な願望を心に抱く」ということである。

二代目社長の場合はどうであろうか。
もしかすると、「社長になる」ことが目的となっていたら、社長になった時点で、強烈な願望は、達成されたことになる。
すでにゴールに達しているのであるから、パワーは使いきっている。
もしこのようなケースがあったとしたら、その会社の先は見えている。

以前、タオル屋さんの企業診断をしたことがある。
創業者は地域社会で愛される会社を目指し、日夜努力している。
一方、二代目専務は、どうもしっくりこない。
専務の奥さんも、次期社長に対して「辛口評価」をつけていた。

創業社長の別な事例。

強烈な願望を心に抱いている。

昨日、TVでジャパネットタカタの高田明氏が特集されていた。
TVに映る「孫の顔」のすばらしさと感動をセールストークにして、徹底的に顧客の立場に立ち、その効用をアピールしていた。
その結果5,000人の佐世保の街で、1か月に100台のビデオカメラを売ったことがスタートだそうである。
その後、ラジオ通販を経て、今ではTV通販の革命児である。
「家電製品を使うことで、その喜びを通じて社会を明るくする」という大義名分のもと、高田社長の人柄・使命感、心に秘めた強い願望がTVの映像を通じて伝わってきた。
経営者の強烈な願望が、従業員を引っ張っていくことは、高田社長をみればよくわかる。

四番目は「誰にも負けない努力」ということである。

『これは地味な仕事を一歩一歩堅実に、たゆまぬ努力を続けること』である。
例えば、私の場合でいえば、毎日毎日、2000字以上のブログを書き続けること。
書きはじめて約1カ月が過ぎたが、毎日続けることは大変である。
一歩一歩堅実に、努力することで、いつかは大きな花が咲くと信じている。
逆に、努力をしなければ、誰一人として成功することはない。
成功している人は、他人には言わないが、隠れてでも努力している。
努力は、人を裏切らない。

五番目は、「売り上げを最大に、経費を最小に」である。

『利益を追うのではなく、利益は後からついてくる。利益は結果である。
利益を利益として追いかけるのではなく、売り上げを最大にして、経費を最小にする努力をすれば、大きな利益が出てくる』
稲盛氏は、赤字であった日本航空に乗り込み、赤字路線を廃止し、退職者年金を改め、徹底的に「経費を最小」に取り組み、黒字化したことは知られている。
いつか、「日航の再生」について、このブログで書きたい。

六番目は、「値決めは経営なり」である。

『売値を決めること、仕入値を決めること、まさに値決めは経営である。
売値も仕入値も自分で決めることはできない。それはマーケットが決める事であったり、仕入値は仕入れる相手が決める、
しかし、「それでよい」と決めるのはトップである。
どういう条件であろうとも、トップがこの値段でよいと決めた以上は、値決めはトップがするものだといっても過言ではない。』

七番目は、「経営は強い意志で決まる」である。
八番目は、「燃える闘魂」である。
九番目は、「勇気をもって事に当たる」である。

十番目は、「つねに創造的な仕事をする」である。

『今日よりも明日、明日よりも明後日と、毎日のように創意工夫を重ねながら創造的に仕事をしていくことが必要である』
常に世の中は変化しており、顧客のニーズも刻々と変化している。
イノベーションが必要である。
常にクリエイティブな仕事をしなければならない。
取り組むのは従業員である。
そのためには、ベクトルを合わせ心から経営者の理念・使命感に賛同していなければ、従業員は動かない。
一番目の「企業の存在意義」が重要であることの再確認である。

十一番目は、「思いやりの心で誠実に」である。

十二番目は、「つねに明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で」である。

従業員は、経営者の背中を見ている。
ジャパネットタカタの高田社長のように、経営者が純粋な気持ちで、使命感に燃えていれば、従業員は必ず経営者についてくる。
率先して知恵と勇気を振り絞り、創意工夫し、業務を改善する。
その結果、売り上げの拡大が図られ、業務の効率化を図り、経費の最小化となり、自ずと相応の利益が生まれる。

ビジネスの基本を改めて、「経営十二か条」で学んだ次第である。