hakuunの未来ノート

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「2:6:2」理論と「スキル」理論

2012-05-03 | スキルアップ
「2:6:2」理論と「スキル」理論

どのような組織でも、その組織のメンバーは「2:6:2」
優秀な人が2割、中間の人が6割、芳しくない人が2割。
これは、財務省などの高級官僚の場合も当てはまれば、一般ビジネス社会にも当てはまる。
また、学校にも当てはまるようである。

この理論は、組織についても言える。
例えば、ある業界に100社あったとしよう。

「2:6:2」理論に従えば、
業績の良い会社は、2割。
まあまあの会社は6割。
業績が芳しくない会社は2割。

ここで景気動向が変化したとする。

景気が良い場合はどうなるだろうか?
上の2割は、ほっといても、事業機会をとらえて、自らの経営資源を集中的に投資し、その成果として過去最高の利益をあげる。
社員は、当然昇給もするし、目の飛び出るような(?)ボーナスをもらうことになる。
その結果、モチベーションが上がり、業務改善を行うため、経営資源が効率的にまわり、更なる収益アップとなる。
では、中間の6割の企業グループはどうであろうか。
景気の波に乗ることで、経営戦略を見直すことなく、業績の向上を図ることができる。
従業員に対しても、それなりのボーナスが支給される。
しかし、下の2割の企業グループはどうか。
景気の波にも上手く乗れず、当然経営戦略を見直すこともしない。
その結果として、倒産はしなくても、業績は相変わらず芳しくない。

ここで、景気が一気に悪くなった場合はどうであろうか。
上位2割は、外部環境の変化を綿密に分析し事業機会を捉え、自分の強みを再確認する。さらに新たなイノベーションを起こし、顧客視線のマーケティングを行う。結果として、業績アップにつながる。

中間の6割のグループはどうであろうか。
外部変化の流れに流され、経営戦略には触れずに、ひたすら戦術面での改善を行う。
しかし、まだまだ先が見えずに、従業員に対して「知恵をだしで工夫せよ」と叱咤激励する。
結果として、業績が落ち、多くの会社はリストラやボーナスカットという事態になる。

さらに、下の2割は、悲惨である。
環境変化の波に飲み込まれ、様々な手を打っても焼け石に水で、業績は急激に悪化し、倒産とか会社更生法を適用され、従業員は路頭に迷う。

以上が「2:6:2」理論を企業組織に当てはめたケースである。

この理論で、面白い話を聞いたことがあるので紹介する。
ある組織に、入社年度が同じ100人のメンバーがいたとしよう。
一般に、「2:6:2」を当てはめれば、
理論上位2割の20人は、優秀な人。
中間の6割、60人はそこそこの人。
下位の2割、20人は芳しくない人。
となる。
そこで、下位の20人を別のグループとして、組織化する。
そうすると、面白いことに、ここでも「2:6:2」理論が発生する。
つまり、上位2割、4人が優秀なメンバーになる。
中間の6割、12人がそこそこであり、
下位2割、4人が、あいかわらずダメである。

この関係はどのようなことだろうか。
「ただ、このような関係がある」と今までは理解していたが、私なりに考察したい。

一つ目の考察である。
それは、その組織の価値観や判断基準が関係すると思われる。
上位2割の人たちが、組織や会議などで、リーダーシップを発揮して、その組織の結果を求める。
当然、リーダーグループである上位2割の人々の考え方が主流となり、グループを引っ張っていく。
中間の6割の人々は、上位2割のグループの方針に従い、言われたとおり、行うのでそこそこの結果をだす。
しかし、下位2割のグループは、上位2割の価値観や判断基準がわからず、取り残され結果を出すことができない。
結果的には、その組織にとって、お荷物である。

対策として、企業として、平均値を上げたいならば、下位2割のお荷物を別組織にすることである。
そうすれば、下位グループの中でも、「2:6:2」理論が発揮される、というのである。
上位2割のグループに入ってメンバーの価値観や判断基準が採用され、さらに上位者は自分で考えるようになり、別組織としてでも、一生懸命に成果をあげようと努力し、成果をだす。

今気づいたことだが、「子会社への左遷」などもこの一つかもしれない。
子会社の上位2割グループに入ることで、グループを引っ張り、成果をだせば、いつかは親会社に戻れる。
普通であれば、そのまま消え去ってしまう人が、子会社で能力を目覚めさせ、さらに成長することで、親会社でも企業経営ができるようになる。
過去において経営トップになった人が何人もいる。

しかし、多くの企業では、このように別組織にすることは難しいと思う。
その場合の対策として、下位2割のグループメンバーを徹底的に鍛えることである。

このことについては、昔ある上司に聞いたことがある。
同じ入社年度のメンバーであっても、下位2割グループメンバーに対して、マンツーマンで、「箸の上げ下ろしから教える」というのである。要は、下位2割に入るメンバーは基本ができていない。

山本五十六の語録にあるように、
『やってみせ 言って聞かせて させて見せ ほめてやらねば 人は動かじ』
これは、部下の育成方針であるが、特に下位2割は基礎ができていないため、基本から教えることになる。
現場で基礎を徹底的に教えて、やらせてみる。
繰り返しできるまでやらせる。
できるようになればその仕事に対しては、自信を持ち、平均点以上の成果を上げることができるようになる。
ひとつの仕事ができれば、別の仕事も同じように、徹底的に基本と原則を教えてやらせる。
これをくり返し繰り返しできるまでやらせる。

ただ、指導する方は並大抵の努力ではない。忍耐力がいる仕事である。
であるから、指導者の上司は、その点をよく評価する必要がある。
さもないと、指導者のモチベーションが下がり、継続的な指導が不可となり、その結果、また業績低迷につながる。


二つ目の考察である。

「スキル」として捉える。
私は、最近何事も「スキル」と考えるようになった。
例えば、ゴルフは、目標を持ち、毎日毎日、ボールをたくさん打ち、トレーニングを積み、練習を積むことで、上達する。
サッカーも野球も水泳もスポーツはみんな同じである。
毎日トレーニングを積むことで、少しずつではあるが、目標の近づいいく。
であるから、ゴルフの石川遼選手は、調子が悪くても、死に物狂いで練習している。
今は、結果が出ていなくても、いつかは、必ず成果は出る。
大いに期待したい。

音楽や料理も同じである。
多少の才能の差はあるかもしれないが、世の中で名声を受けている人は、徹底的に繰り返し練習を行い、、スキルアップを図っている。
盲目のピアニストと言われる辻井伸行氏。
氏のHPを見ると、
一人のピアニストとして、欧米での演奏活動や日本でのリサイタルについて記載されている。

しかし、「盲目」については何も書かれていない。
よく考えてみると、このようなコメントをする自分が恥ずかしい。

でも、並大抵の努力ではない。
どの世界でも、健常者でさえ、世界で通用するのはわずかである。
ましてハンディのある身である。
そのようなことは、表に出さずに、一人のピアニストとして行動している。
ただただ頭が下がる思いがする。

本当に血の滲み出るような努力を毎日毎日していたに違いない。
その結果として、世界で通用するピアニストになったのであろう。
まさに、「スキル」の見本のような人物である。

文章力もスキルである。
尊敬する齋藤孝氏は、「量は質に変換する」と言っている。
だから、私は、ブログを書くことで、より多くの文字を打っている。
目標10万字に対して、5月2日現在で5万字を超えた。
このペースで行けば、5月20日頃10万字に達成する。
文章力もスキルと考えるから、ひたすらトレーニングを積み、スキルアップを図っている。
文章を書くことで、思考力もアップする。
斎藤氏も言っているが、話し言葉は、消えてなくなるが、文章は文字として残る。
記録に残るので、因果関係を明確にし、論理構成も重要なスキルになる。
このように、思考力もスキルととらえることができる。
毎日、繰り返しトレ-ニングを積むことで、スキルである思考力もアップする。

いくつか事例をあげたが、多くのものは「スキル」と考えることで、説明が可能となる。

同様に、仕事もスキルと考えることができるのではないか。

AさんとBさんの二人、同期入社で同じ部署にいる。
同じ仕事でも、Aさんは徹底的に研究して、改善し、成果をだしている。
一方、Bさんは、考えもしないので、業務改善を行うようなこともない。
ただ、上司に言われたことだけの結果しかできない。

仮に、Aさんは、毎日、昨日の0.5%だけ成長したとしよう。
「昨日の自分」をわずか0.5%だけ超えたと仮定する。
1ヵ月後にはどうなるだろうか。
Aさんの成果の計算式は、1.005×1.005×・・・・・1.005×1.005と30回かける。
つまり、「1.005の30乗」である。
答えは1.2倍。
Bさんは、成長しないから、最初の「1」のまま。
では、6ヵ月後、1年後、5年後、10年後にはどのように変化するだろうか。
6ヵ月後には2.5倍。
1年後には6倍。
5年後には、なんと9000倍である。
さらに10年後には8000万倍である。驚異である。
毎日毎日、0.5%ずつ成長することで、天文学的な数字になる。
まさに、「努力」の賜物であり、「継続は力なり」である。

このように、同じ入社年度のメンバー100人でも、その後の努力の仕方により、自ずと結果は異なる。
1番から100番まの順位がつくのは、当然のことと考える。


では、「企業経営」においても、「スキル」と考えることで納得する。
景気が良い時に表れなかった企業間格差も、特に不景気の際には、その実力の差が顕著に現れる。
日本経済新聞を見てみると、「過去最高の利益」という見出しを目にする。
今どき、「過去最高の利益」をだす経営者は、大会社であれ、小さい会社であれ、その会社を運営している経営者は、企業経営スキルの高い素晴らしい人物である。

ドラッカー氏は、「マネジメント:エッセンシャル版」では、『「基本と原則」は重要である。それを無視する企業は衰退する』、と書いている。

「2:6:2理論」からすれば、『基本と原則』を習得し、自分たちの業界・業務に合わせてトレーニングして、成果を上げている企業が2割ということになるだろう。

このように文字に起こすことで、今まで頭の中で考えていたことが明確になった。
「2:6:2理論」と「スキル理論」、さらにドラッカー氏の考え方が結びついたような気がする。