1年ぐらい前かいな
図書館近くのスーパーの前の駐輪場で分厚いダウンば着こみ自転車に乗って来た御婦人お二人が
大きな声で立ち話しをされていたとです。
ギャハハハとお互いの肩を叩いて笑われるお二人はどこのスーパーでも見られる光景ばってん
おひとりの自転車の前のかごには図書館で借りて来たと思われる本が
数冊、無造作に積み上げられていたとです。
その本の一番上にこの本があったとです。
「刑事のまなざし」薬丸 岳が・・・・・。
別に誰が何を読もうとその方の自由であり他人がそれについて何も言う事は無いとばってん
あまりにも会話の内容と本のタイトルの組み合わせが違い過ぎて印象に残っていた本です。
幼い時、暴漢に襲われ植物人間になった娘さんを持つ刑事の短編集です。
その刑事のまなざしが切なすぎる犯行の動機を見つけるのです。
何かを守る為に犯してしまった犯罪を人の弱さとだけで済ましていいのだろうか・・・・。
そして読み終えた今、一年前にスーパーでお会いした、かつては静かな学校の図書館の片隅で
目立たぬように伏し目がちで静かに本を読んでいただろうと思う厚着のダウンで自転車のご婦人は
どんな気持ちでこの本を読まれたのだろうかと気にはなるところです。