わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート 10月20日 NO.247号】 ~危険と隣り合わせの社会・行政~

2016年10月22日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年10月20日号を紹介したい。



村長レポート 10月20日 NO.247
危険と隣り合わせの社会・行政



 9月中旬まで雨の少ない年でしたが、それ以後天気が悪く、稲刈りなど大変に苦労された方も多かったと思います。そして、村民運動会も当日の朝の雨で中止となりました。天気には逆らえませんが、なかなか思うようにはいかないものです。

 さて、戦後日本は、急激な経済成長を遂げ、山村の生活もかなり便利になりました。さらに便利に、と考える人も多いのでしょうが、それに伴う危険も増えていくことを忘れているような気がしてなりません。そんなことを感じていた矢先、何とも痛ましい事故のニュースを聞きました。その事故は、石川県で起こったマイクロバスとワゴン車の衝突で、中学生二人が亡くなったというものです。10月8目、午前6時40分ころ石川県七尾市中島町笠師の自動車専用道路「のと里山海道」で、石川県珠洲(すず)市立緑丘中学校の野球部員が乗っていたマイクロバスとワゴン車が正面衝突したものです。野球部員は、金沢市で開かれる県大会に出場するために会場へ向かっていました。マイクロバスを運転していたのは、生徒の保護者で源剛一(げんこういち)さん42歳。ワゴン車を運転していた浦さん(45歳)は、5年生のわが子が能登町で開かれるテニス大会に参加するため送る途中だったということです。自動車専用道路は、三遠南信道路と同じですからセンターにポールが立てられていますが、ワゴン車の方がそのポールと接触しているようですから、ワゴン車がはみ出した可能性が高いとみられています。小雨が降っていたようですが、事故の概要は、このようなものです。事故のニュースを聞いて、とても他人事と思えない気持ちになりました。何しろ、中学生2名の命が奪われたのです。泰阜村は、保育園は南北一か所ずつにした時から通園バス、学校は、中学統合の時からスクールバスを運行しております。学校行事も保育園の行事も車で移動しており、学校の部活動では、登録をしていただけば保護者も運転手として認めています。私は、南北間を通行するとき、二車線になったとはいえ、例えば、大俵から左京までの問の谷側を見ながら、子供が乗った車が転落すればどうなるだろうか、という不安を持つ時があります。縁起でもない、と言われそうですが、行政のこの立場にいますと、何が心配でならないか、というと前途ある若者が治療可能なケガならまだしも命を落とすようなことが起こる、ということです。責任をとることが村長の仕事ではありますが、賠償金をいくら用意しても村長を辞任しても命は返ってきません。緑丘中学校の校長談話が中日新聞に載っていますが、「痛ましい事故が起こり、関係者にお詫び申しあげる」というものです。恐らく、言葉がなかったと思います。現在、村の保育園、学校のバス、福祉バスは、振興センター泰阜にその運行を委託しております。受けている振興センターでも、安全には、ほんとうに気を使っていてくれます。当たり前といえば当たり前ですが、これだけは、どんなに気を使っても使い過ぎはありません。

 現在、地方では、自動車が最大の移動手段となっています。特に.山間部では、電車等公共交通が無くなって、地域公共バス、福祉バス等車が公共交通となっています。車が走る以上、事故が起こります。石川県の事故のように、自分の車は、注意していてももらい事故というケースもあります。あってはならない事故といえますが、でも起こらないといい切れない、これが現実です。中学生の死ということで泰阜中学生の顔が頭に浮かび少し感情的になっていますが.両親始め代われるものなら私が・・と思った方もいたと思います。何とも痛ましいことです。

 一方、泰阜村の行政運営は、車なくして考えられません。福祉のサービスもすべて車です。行政の会議も多く送迎を行います。いつの間にか安全が当たり前になっていますが、実は、いつ事故が起こっても不思議はありません。そういう社会に生きていることを改めて考えさせられます。今回の石川県の事故は、正面衝突だったので、運転手のすぐ後とその後に乗っていた中学生が亡くなりました。私は、高速バスに乗る時、前の席だと正面衝突の時はだめだろうな、と思い、後の席のときは、追突されたらだめだろうな、と思います。真ん中は、いま女性専用席です。バスのシートベルトが義務化されましたが、これは法律で決まったからするのでなく、自分の安全のためにするのだ、と言い闘かせてシートベルトをするようにしています。今回の事故でシートベルトに関しては、報道がないので分かりませんが、軽井沢のスキーバス事故では、シートベルトをしていなかった方の犠牲が多かったとの報道もあります。できる安全確保策は、すべてやる必要があります。バスの中でもヘルメットが必要かな、とも思います。同じ日の新聞では、滋賀県でバイクを3入乗りしていた中学生が乗用車とぶつかり、3人とも重体という報道もありました。これは、中学生が無免許でヘルメットもかぶらずということで自己責任といえますが若者がこのような事故に遭っています。

 いま一度いえば、いまの行政運営は、車なくして成り立ちません。自動車が走るということは、命を失う危険とともに生活しているということです。私自身が自分の過失で命を失うことがあっても仕方ありませんが、行政の仕事の中で、村民の皆様にそのようなことがあってはどうしようもありません。便利な社会の中で、皆さんが無事であるように、これは祈るしかありません。








今後も、小さな村の首長の言葉を紹介していく。

代表 辻だいち


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