わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート 6月20日 NO.243 】 ~村の高齢者福祉支援策を見ながら~

2016年06月20日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。2016年6月20日号を紹介したい。
今回は、最後の部分に、村長の言いたいことがまとめられていると想う。


村長レポート 6月20日 NO.243
村の高齢者福祉支援策を見ながら



 今年は、花がきれい、と言ったり書いたりしていますが、天竜川から見る藤の花がしばらくぶりにきれいに咲いた、とく話を天竜ラインの半崎社長から聞きました。確かに、どこでも藤の花が見事でした。そんな話の中で、高齢者の方が「藤の花のきれいな年は、災害がある」と言いますが、飯田下伊那ではしばらく大災害がないだけに、心の中では、そろそろかな、という不安を持っています。梅雨の時期なのか、台風なのか分かりませんが、備えをしなければいけないと思った次第です。
 さて、役所では3月31日で一年度が終わりますが会計処理はすぐできないため、最終精算を5月31日までにやることになっています。27年度分も終わりましたが、その精算の書類をみながら、泰阜村の高齢者福祉では、国、県の支援以外に村単独のお金がたくさん出ていると改めて感じました。泰阜村は、福祉以外の農林業、生活環境整備等にも村単独の補助金があり、いわゆる村単事業の多い村と想っていますが福祉分野もしかりです。特に、高齢化がピークを迎えた昭和60年代からの20年間ぐらいに必要に応じて補助するようになり、それが継続されています。それらの中身と感想を述べます。診療所の窓口負担金です。かつて全国の自治体が競って老人医療費の無料化に取り組んだことがありましたが泰阜村でも無料化の時代がありました。老人医療に関しては、何回か国の制度変更があり、現場も振り回された感はありますが、現在は高齢者本人から診療所の窓口で1回500円。最高月2000円を徴収させてもらいます。その額が平成27年度で約130万円です。決まりでいえばそれでは足りません。足りない分は、村で負担しておりますが、その額は192万円です。つまり、診療所としては、130+192=322万円が本人負担(一部負担金)の収入ですが、うち192万円は村が肩代わりしているということです。高齢者の負担軽減とかかりつけ医として診療所を利用してほしいということで実施しております。介護保険では、要介護認定を受けて、在宅でサービスを受けている皆さんの利用料(サービス額の10%負担が法律)の60%を村が肩代わりしています。この額が26年度で約490万円。サービス量が多くて限度額を超えると上乗せサービスとなります。この分も村で負担しますがそれが1300万円。何とか住み慣れた家で最期を迎えるための支援です。







 以上は、それなりに知られているものです。その他を泰阜村社協に委託して実施していますが、金額が多い順に列挙すれば、配食サービス、お元気デイサービス、介護保険外で独居老人等に対するホームヘルパー派遣、タクシー券補助、介護保険外でのショートステイ受け入れ、外出支援サービス、介護用品(オムツ等指定用品)支援、家族介護者交流事業、その他福祉団体や地域グループの支援、金額は少ないのですが訪問理美容サービス等があります。合計すると村が社協に委託料として支出している金額は、2300万円ほどになります。一部個人負担をいただいいているものもあります。配食サービスでは、必要に応じて一食250円。お元気デイでは、1回500円いたdかいそれは運営費として使われています。昭和60年代から在宅福祉の掛け声のもとで、必要に応じて、自由度の高い泰阜型サービスをやってきたと思っています。確かに、平成12年の回保護保険導入により、全国的にサービスが平準化され、泰阜が特別でなくなりましたが、それでもその時々んい合わせ補助施策も追加、改正してきました。診療所の一部負担金、介護保険の利用料、上乗せ、その他サービス合わせ、また村が直営でやっていると言えるのだろうけれど、心の中に何となくすっきりしないものがあります。

 介護保険以降、世の中でサービスが平準化されたといいましたが、それは法律により介護について一定のサービス事業者として大きくなり、村もほとんどを社協に委託するようになりました。そのため、村も社協もサービスに一定のルールをつくりました。その方が分かりやすいし、何よりそれはいいとか、悪いとかを決めることができるので提供者が楽になります。実は、この楽になったことが大きな問題だと思っています。福祉のサービスは、境目がない仕事です。70歳以上の高齢者が対象、と決めれば69歳11カ月では対象外です。ショートステーは、ベッドがいっぱいでだめです、と断ることもできます。人間が決めたルールに人間自身が縛られていくのです。泰阜村の在宅福祉の歴史は、需要に応じてサービスを提供してきました。必要な人に、必要なサービスを提供するということです。相手は、制度や法律ではなく、サービスを必要とする「人」です。お金や勤務時間やルールは、あとからのことです。これが現場主義の原点だと思っています。最近は、どうもルール先行で、ほんとうの「サービス対象」が見えなくなっているのでは、これが印象です。これは、社協ばかりでなく役場にもいえることです。

 村長がそう思ってできないことがおかしい、となるのですが、その力が私にはないことも事実です。力はないのですが、現場では、十分にルールを熟知し、その上で必要なことはやるという、いい意味での「はみ出し」サービスをやってほしいという願いは持っています。




今後も、小さな村の首長の言葉を紹介していく。

代表 辻だいち






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