わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート2月19日NO.239】 ~予算編成の時期を迎えて~

2016年02月29日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年2月19日号を紹介したい。


村長レポート 2月19日 NO.239
予算編成の時期を迎えて



 いまのところ大雪もなく過ぎていますが、これからどうでしょうか。私の場合、除雪費用があまりかからなくておかげ、という思いがすぐ頭をよぎります。12月から1月如順は、長野県内全体でも雪が少なかったので、県庁の建設部で、今年は除雪費用が少なくていいのでは、という話をしたら、そうではなく、たくさんかかって・・・、それは塩カルの費用だそうです。朝凍りそうなときは、という苦情の電話がたくさんあるそうです。逆に、ちょっと凍ったような日は、早く撒け、といった電話もあるそうです。建設部長の言葉を借りれば、「毎年トンネル一本あけるくらいの費用」がかかっているとのこと。確かに、道路管理者として安全に通行できるために管理は必要ですが、ユーザー側、つまり道路を使う我々も安全運転に注意して、あまり無茶なことをいうのもどうか、と思った次第です。これもお金、県の予算の使い方に関する一例です。自治体の予算は、基本的に税金で賄われていますので、治める国民、住民の皆様の福祉向上に使われなければなりませんが、日本という国が豊かになるにつれ、本来行政でやるべきこと、という理由で、支出がどんどん増えてきました。泰阜村では、まだ道路維持の作業を年3回、皆さんにお願いしております。本来、村道なので、村で維持すべき、といわれれば、その通りですが、お金のない時代に先輩たちがやってきた生活の知恵が残っている例です。





 前置きが長くなりましたが、いま28年度の予算をまとめています。今年も、厳しいな、これが実感です。どこにお金を使うのか、最終的には村長が決めて議会に提案します。お金があれば、どこに使おうかと考えるのですが、残念ながらそのような状況ではありません。もちろん、ほんとうに大変だった平成10~12年ころ、小泉改革で地方交付税が減額され、市町村合併でゆれた平成14~16年ころ、その厳しさを100とすれば、いまは90くらいの感じですが、ここ2年くらい窮屈な予算編成となっています。

 泰阜村では、職員がいま担当している仕事で来年度を考え、仕事を進めるために必要額を算出し、それを積み上げる方式をとっています。つまり、収入ではなく、必要な支出をまとめます。それを足していくと、入ってくるお金が足りなくなります。来年度のことをいいますと、単純に比較すると4億円くらいが歳出オーバーしました。この歳出を減らす仕事が、よくいわれる「予算査定」と考えていただければと思います。長野県でもち最近知事査定というニュースが流れましたが、知事の前に、財政課がチェックし、その後も関係部局で調整をして、最終的に知事が、ということになります。たぶん、二つ重要なことがあっても、どちらかしかできない、これを最終的に知事が決める、といった感じだと思います。もちろん、県の規模ですから知事の意向が反映されるように、少しは財源を確保してあるとは思いますが。

 さて、村の話になりますが、窮屈という理由は、行政を運営するために、どうしても必要な経費(計上経費といっています)が増えているということです。例えば、電気料、コピー代、いまはコンピューター時代でパソコンはもちろん事務を進めるだめの保守経費、ガソリン代などは、どうしても必要です。人件費もあります。そのほか、村が決めてある条例、制度に基づいて、申請があれば支出するための予算も必要です。それらお積み上げていくと、それだけで収入を使い果たすことになる感じです。では、村で実施している道路改良などはどうしている、ですが、ほとんどは、補助金と補助金の足りない部分は起債(借金)を起こすことができるのでそれを使ってやっています。その補助金ですが、いまは、交付金という言い方になっています。泰阜村では、道路など基幹的な基盤整備は、国から交付される「社会資本整備交付金」でやっていますが、この交付金が平成27年度では、村が申請した額の50%しか配分がありませんでした。あらゆる機会を通じてこのことを言ってきましたが、28年度は、40%程度になりそうです。国は、いま赤字国債を発行して予算編成をしておりますが、それをだんだん減らして、最終的には、赤字国債ゼロを目指しております。だんだん減らす目標に沿っているため国の予算も大変に厳しいものになっております。平成27年度、村では、この交付金の要望額で予算を編成したので結局減額することになりました。来年度は、要望額の40%程度を予算化する方向です。となると、建設工事等は、思ったように進みません。

 また、予算編成のたびに思うのですが、泰阜村は、村独自の補助施策がいっぱいあります。特に、高齢者福祉分野では、ほんとうにきめ細かく多くの村単独支援があります。これは、私の方針でやっているのに、予算編成の時は、ほんとうに手厚いなあ、と感心します。子育て、教育、若者定住にも独自施策があります。これも次世代に希望を与えるために必要な予算です。来年度は、赤ちゃん支援ヘルパー(仮称)を考え、また、結婚を機に泰阜で暮らすことになった若い奥さんたちの支援も考えたいと思っています。厳しい中で、それができるのは、福祉の費用が増えていかない人口構成になってきたこともあります。厳しい中でやるのが村長の仕事だ、と言いたいと思います。それを感じて取り組みます。


今後も、折に触れて村長の言葉を紹介する。

代表 辻だいち


【一子相伝のワザなのだ】 ~まあ、いっぺん来てよ、越前に!~

2016年02月28日 | 全国のなかまたち
福井県越前市の民間団体が取り組む「“学び”から始まる地域創生」

今年度はそのお手伝いで、越前市にもう5回目の訪問だ。

まあ、私の故郷が福井県なので、いろいろがちょうど良いのだが。



越前和紙、越前焼き、越前打ち刃物、越前漆器、越前箪笥・・・。

モノツクリが今なお脈々と息づく越前。

今回は、名古屋から来た親子のツアー(1泊2日)の実施現場に同行し、評価をするのが私の役割だ。


▼越前和紙の紙漉き







親子ツアーは、まず1500年の歴史を誇る越前和紙から学ぶ。

紙漉き体験では、やんちゃな子どもたちが縦横無尽に走り回り、喧噪と混沌が入り混じって若干リスキーな状況でもあった。

ところが、次の場ではあれだけ傍若無人だったこどもたちが静まり返る。

一子相伝の伝統技法「墨流し」。

その技法を操る福田さん(おそらく日本でただ一人しかできない)が、こどもたちにデモンストレーション的な簡単なワザを披露してくれたのだ。

福田さんの魔法のような筆先をじっと見つめるこどもたち。

なんやかんやで、やっぱりホンモノは強い。

1500年という時の積み重ねに裏打ちされた強さ。

そんなホンモノの強さが、この越前の地にはちりばめられている。


▼伝統技法墨流し




▼一子相伝の技法を操る福田さん





▼和紙はこうやって乾燥させる





▼この集落には、日本唯一の紙漉きの女神を祀った神社がある




▼紙漉きの神社の屋根が荘厳だった




▼この地域では、和紙職人がナリワイとして20人以上存在する




▼1500年の歴史を誇る産業が、今なおこの地域の暮らしを支えている






集落の皆さんが総出で行う、田舎体験イベント。

私も同行したが、一番のお目当ては越前おろしそばだ。

越前市のお手伝いをさせていただいてから仲良くなった「加藤のおんちゃん」が、私のために作ってくれた。

つくづく想う。

福井のおろしそばは日本一ってね。

いや、ホントですよ皆さん、いっぺん食べに来てよ!


▼見よ、このおろしそば!








▼素敵な時間が流れた






話がそれた。すんません。

越前市の風土には、「学び」が埋め込まれている。

その「学び」を丁寧に掘りおこし、それをカタチにしていくこをとお手伝いするのが私の役割である。

故郷福井のために、役に立てることが、本当にうれしい。

そしていずれ、越前市と泰阜村の人材交流や学びの交流を実現したいと強く願う。



代表 辻だいち


【もうちょっとふんばってみるか】 ~いつまで身体がもつやら。どうかみなさん応援してください~

2016年02月26日 | 泰阜村が大学になる
今日はフシギな光景だ。

大学教員がみんな、受講生の席に座っている。

平日の夕方だ。

もっと少ないかと思っていたらけっこうな数の教員が座っている。

立教大学の来年度カリキュラムについて説明や打ち合わせがあった。

4月から、つまり2016年度から、立教大のカリキュラムがずいぶんと変わるそうだ。

要は、立教の強みをカタチにしたカリキュラムになるらしい。

大幅な編成強化というから興味がある。



非常勤を受け持って5年。

「自然と人間の共生」という授業を受け持ち、泰阜村の自然と向き合って生きてきたひとびとの暮らしの営みと、それを土台にした教育のあり方について、学生たちに伝えてきた。

毎週毎週、渾身の力をふりしぼってきたつもりだ。

今回のカリキュラム編成において、立教の強みを反映する科目をお願いされた。

詳しくはいずれ記すが、私にとってはストライクゾーンの内容だと想っている。






6年目の春、少しだけ役割が増える。

立教の看板であるリベラルアーツ教育のため、もうちょっとふんばってみようと想う。

でも、また毎週毎週、東京か。

いつまで身体が持つやら。

みなさん、どうか応援してください。


代表 辻だいち


【野暮用で神戸に来た】 ~ゆっくり歩くのは阪神大震災以来かも知れない~

2016年02月25日 | 震災支縁=支え合いの縁を紡ぐ
野暮用で神戸に来た。

ゆっくり神戸の街を歩くのは実はなかなかないことだ。

思い起こせば、おそらく阪神大震災以来だろう。

地震が起こってすぐに来たけれど、交通機関が寸断されていて、西宮か芦屋から先が長かった。

あの時、この街は歪んでいた。

平衡感覚を失うほどだった。

三半規管が反応して吐き気が続いたものだ。

この街から、暮らしの学校「だいだらぼっち」に被災児童を受け入れた。

もう20年以上も前のことか。

彼らがもう30歳になるとは。

ということは、この街をゆっくり歩くのも20年ぶりということになる。





神戸市役所の最上階から街を眺めた。

とてもあの甚大な被害を出した震災の街とは思えない。

でも、きっと本質的な復興はまだまだなんだろうな。

あの時を忘れないように、街のあちこちにモニュメントがある。

あの瞬間と、それを乗り越えたこともまた、神戸の街を物語る歴史なのだ。

こうして街を歩くと、生まれ変わろうと挑戦し続けようとする神戸の風土のチカラを感じる。













この街のソコヂカラに学ぶことは多い。

ああ、久しぶりに、神戸から受け入れた被災児童たちに会いたくなった。

30歳になったんだから、いろいろ人生を語れるかな。

今度、連絡してみよう。


代表 辻だいち


【これもまたブーメラン】 ~「学びを」を伴って思い切り投げだされた仲間たち~

2016年02月23日 | ひとねる=自律のひとづくり
福岡では嬉しい再会があった。

目の前にいるのは、南信州泰阜村の職場で共に汗と涙を流した仲間たち。

今は、それぞれ故郷に帰って素敵な活動を展開している。

彼らには、九州大学の集中講義でゲストスピーカーとして来てもらった。

池田龍介(バン)君は、鹿児島県の離島・与論島で活躍中だ。

彼の詳しい活動はこのサイトを参照いただきたい。


片山健太(けんちき)・薫子(かおるこ)夫妻、長崎市で活躍中。

こちらも詳しい活動はこのサイトを参照いただきたい。





彼らの身体とココロには、泰阜村に暮らすひとびとの歴史が確かに流れている。

数年間といえども、その歴史が彼らの血肉となっている。

地域を愛する教育、暮らしに立脚した教育を、これでもかと自分のモノにし続けた泰阜の日々。

その日々の営みを纏って、彼らはブーメランのように、泰阜村の1700人のひとびとから思い切り投げ出された。

いや、実は、彼らの故郷の与論島や長崎から、彼らは強く投げ出されていたのだ。

彼らは、強くうねる意志に、様々な価値観を巻き込んで、今、それぞれの故郷に着地した。

きっと彼らの地道で丁寧な営みは、「学び」を伴って地域を質的に変えていくだろう。

そして、いつか地域を越えて一緒に仕事をするようになるだろう。





学生に熱く語る彼らの姿と、その後の久しぶりの飲み会でのはじける笑顔に、そのことを確信した。

福岡での再会、とりわけ社会に出ようとする学生たちへの学びの場での再会は、私の人生の質を高めていく。

今夜は、ずっと微笑んでいたかもしれない。


代表 辻だいち