わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。
2016年2月19日号を紹介したい。
いまのところ大雪もなく過ぎていますが、これからどうでしょうか。私の場合、除雪費用があまりかからなくておかげ、という思いがすぐ頭をよぎります。12月から1月如順は、長野県内全体でも雪が少なかったので、県庁の建設部で、今年は除雪費用が少なくていいのでは、という話をしたら、そうではなく、たくさんかかって・・・、それは塩カルの費用だそうです。朝凍りそうなときは、という苦情の電話がたくさんあるそうです。逆に、ちょっと凍ったような日は、早く撒け、といった電話もあるそうです。建設部長の言葉を借りれば、「毎年トンネル一本あけるくらいの費用」がかかっているとのこと。確かに、道路管理者として安全に通行できるために管理は必要ですが、ユーザー側、つまり道路を使う我々も安全運転に注意して、あまり無茶なことをいうのもどうか、と思った次第です。これもお金、県の予算の使い方に関する一例です。自治体の予算は、基本的に税金で賄われていますので、治める国民、住民の皆様の福祉向上に使われなければなりませんが、日本という国が豊かになるにつれ、本来行政でやるべきこと、という理由で、支出がどんどん増えてきました。泰阜村では、まだ道路維持の作業を年3回、皆さんにお願いしております。本来、村道なので、村で維持すべき、といわれれば、その通りですが、お金のない時代に先輩たちがやってきた生活の知恵が残っている例です。
前置きが長くなりましたが、いま28年度の予算をまとめています。今年も、厳しいな、これが実感です。どこにお金を使うのか、最終的には村長が決めて議会に提案します。お金があれば、どこに使おうかと考えるのですが、残念ながらそのような状況ではありません。もちろん、ほんとうに大変だった平成10~12年ころ、小泉改革で地方交付税が減額され、市町村合併でゆれた平成14~16年ころ、その厳しさを100とすれば、いまは90くらいの感じですが、ここ2年くらい窮屈な予算編成となっています。
泰阜村では、職員がいま担当している仕事で来年度を考え、仕事を進めるために必要額を算出し、それを積み上げる方式をとっています。つまり、収入ではなく、必要な支出をまとめます。それを足していくと、入ってくるお金が足りなくなります。来年度のことをいいますと、単純に比較すると4億円くらいが歳出オーバーしました。この歳出を減らす仕事が、よくいわれる「予算査定」と考えていただければと思います。長野県でもち最近知事査定というニュースが流れましたが、知事の前に、財政課がチェックし、その後も関係部局で調整をして、最終的に知事が、ということになります。たぶん、二つ重要なことがあっても、どちらかしかできない、これを最終的に知事が決める、といった感じだと思います。もちろん、県の規模ですから知事の意向が反映されるように、少しは財源を確保してあるとは思いますが。
さて、村の話になりますが、窮屈という理由は、行政を運営するために、どうしても必要な経費(計上経費といっています)が増えているということです。例えば、電気料、コピー代、いまはコンピューター時代でパソコンはもちろん事務を進めるだめの保守経費、ガソリン代などは、どうしても必要です。人件費もあります。そのほか、村が決めてある条例、制度に基づいて、申請があれば支出するための予算も必要です。それらお積み上げていくと、それだけで収入を使い果たすことになる感じです。では、村で実施している道路改良などはどうしている、ですが、ほとんどは、補助金と補助金の足りない部分は起債(借金)を起こすことができるのでそれを使ってやっています。その補助金ですが、いまは、交付金という言い方になっています。泰阜村では、道路など基幹的な基盤整備は、国から交付される「社会資本整備交付金」でやっていますが、この交付金が平成27年度では、村が申請した額の50%しか配分がありませんでした。あらゆる機会を通じてこのことを言ってきましたが、28年度は、40%程度になりそうです。国は、いま赤字国債を発行して予算編成をしておりますが、それをだんだん減らして、最終的には、赤字国債ゼロを目指しております。だんだん減らす目標に沿っているため国の予算も大変に厳しいものになっております。平成27年度、村では、この交付金の要望額で予算を編成したので結局減額することになりました。来年度は、要望額の40%程度を予算化する方向です。となると、建設工事等は、思ったように進みません。
また、予算編成のたびに思うのですが、泰阜村は、村独自の補助施策がいっぱいあります。特に、高齢者福祉分野では、ほんとうにきめ細かく多くの村単独支援があります。これは、私の方針でやっているのに、予算編成の時は、ほんとうに手厚いなあ、と感心します。子育て、教育、若者定住にも独自施策があります。これも次世代に希望を与えるために必要な予算です。来年度は、赤ちゃん支援ヘルパー(仮称)を考え、また、結婚を機に泰阜で暮らすことになった若い奥さんたちの支援も考えたいと思っています。厳しい中で、それができるのは、福祉の費用が増えていかない人口構成になってきたこともあります。厳しい中でやるのが村長の仕事だ、と言いたいと思います。それを感じて取り組みます。
今後も、折に触れて村長の言葉を紹介する。
2016年2月19日号を紹介したい。
村長レポート 2月19日 NO.239
予算編成の時期を迎えて
予算編成の時期を迎えて
いまのところ大雪もなく過ぎていますが、これからどうでしょうか。私の場合、除雪費用があまりかからなくておかげ、という思いがすぐ頭をよぎります。12月から1月如順は、長野県内全体でも雪が少なかったので、県庁の建設部で、今年は除雪費用が少なくていいのでは、という話をしたら、そうではなく、たくさんかかって・・・、それは塩カルの費用だそうです。朝凍りそうなときは、という苦情の電話がたくさんあるそうです。逆に、ちょっと凍ったような日は、早く撒け、といった電話もあるそうです。建設部長の言葉を借りれば、「毎年トンネル一本あけるくらいの費用」がかかっているとのこと。確かに、道路管理者として安全に通行できるために管理は必要ですが、ユーザー側、つまり道路を使う我々も安全運転に注意して、あまり無茶なことをいうのもどうか、と思った次第です。これもお金、県の予算の使い方に関する一例です。自治体の予算は、基本的に税金で賄われていますので、治める国民、住民の皆様の福祉向上に使われなければなりませんが、日本という国が豊かになるにつれ、本来行政でやるべきこと、という理由で、支出がどんどん増えてきました。泰阜村では、まだ道路維持の作業を年3回、皆さんにお願いしております。本来、村道なので、村で維持すべき、といわれれば、その通りですが、お金のない時代に先輩たちがやってきた生活の知恵が残っている例です。
前置きが長くなりましたが、いま28年度の予算をまとめています。今年も、厳しいな、これが実感です。どこにお金を使うのか、最終的には村長が決めて議会に提案します。お金があれば、どこに使おうかと考えるのですが、残念ながらそのような状況ではありません。もちろん、ほんとうに大変だった平成10~12年ころ、小泉改革で地方交付税が減額され、市町村合併でゆれた平成14~16年ころ、その厳しさを100とすれば、いまは90くらいの感じですが、ここ2年くらい窮屈な予算編成となっています。
泰阜村では、職員がいま担当している仕事で来年度を考え、仕事を進めるために必要額を算出し、それを積み上げる方式をとっています。つまり、収入ではなく、必要な支出をまとめます。それを足していくと、入ってくるお金が足りなくなります。来年度のことをいいますと、単純に比較すると4億円くらいが歳出オーバーしました。この歳出を減らす仕事が、よくいわれる「予算査定」と考えていただければと思います。長野県でもち最近知事査定というニュースが流れましたが、知事の前に、財政課がチェックし、その後も関係部局で調整をして、最終的に知事が、ということになります。たぶん、二つ重要なことがあっても、どちらかしかできない、これを最終的に知事が決める、といった感じだと思います。もちろん、県の規模ですから知事の意向が反映されるように、少しは財源を確保してあるとは思いますが。
さて、村の話になりますが、窮屈という理由は、行政を運営するために、どうしても必要な経費(計上経費といっています)が増えているということです。例えば、電気料、コピー代、いまはコンピューター時代でパソコンはもちろん事務を進めるだめの保守経費、ガソリン代などは、どうしても必要です。人件費もあります。そのほか、村が決めてある条例、制度に基づいて、申請があれば支出するための予算も必要です。それらお積み上げていくと、それだけで収入を使い果たすことになる感じです。では、村で実施している道路改良などはどうしている、ですが、ほとんどは、補助金と補助金の足りない部分は起債(借金)を起こすことができるのでそれを使ってやっています。その補助金ですが、いまは、交付金という言い方になっています。泰阜村では、道路など基幹的な基盤整備は、国から交付される「社会資本整備交付金」でやっていますが、この交付金が平成27年度では、村が申請した額の50%しか配分がありませんでした。あらゆる機会を通じてこのことを言ってきましたが、28年度は、40%程度になりそうです。国は、いま赤字国債を発行して予算編成をしておりますが、それをだんだん減らして、最終的には、赤字国債ゼロを目指しております。だんだん減らす目標に沿っているため国の予算も大変に厳しいものになっております。平成27年度、村では、この交付金の要望額で予算を編成したので結局減額することになりました。来年度は、要望額の40%程度を予算化する方向です。となると、建設工事等は、思ったように進みません。
また、予算編成のたびに思うのですが、泰阜村は、村独自の補助施策がいっぱいあります。特に、高齢者福祉分野では、ほんとうにきめ細かく多くの村単独支援があります。これは、私の方針でやっているのに、予算編成の時は、ほんとうに手厚いなあ、と感心します。子育て、教育、若者定住にも独自施策があります。これも次世代に希望を与えるために必要な予算です。来年度は、赤ちゃん支援ヘルパー(仮称)を考え、また、結婚を機に泰阜で暮らすことになった若い奥さんたちの支援も考えたいと思っています。厳しい中で、それができるのは、福祉の費用が増えていかない人口構成になってきたこともあります。厳しい中でやるのが村長の仕事だ、と言いたいと思います。それを感じて取り組みます。
今後も、折に触れて村長の言葉を紹介する。
代表 辻だいち