わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

求心力が働いている

2015年07月30日 | 泰阜村のソコヂカラ
今日は忙しい。

新聞社が3社が、山賊キャンプの取材。

ブロック誌の中日新聞。

長野県内の地方誌の信濃毎日新聞。

ローカル誌の南信州新聞。


すべて、信州こども山賊キャンプの取材である。


▼隣の農家に、キャンプのこどもたちが野菜をもらいにいく




▼川への飛び込みを取材する中日新聞社。





前回紹介した、企業が研修として新入社員をボランティアに派遣していること。

300人のボランティアのうち実に100人が、大学の正規授業の単位として参加していること。

全国から集まるこどもたちの中に、泰阜村のこどもがいること。しかもそれは、NPOグリーンウッドが無料招待する泰阜村の小学校6年生であること。

山村留学:暮らしの学校「だいだらぼっち」の卒業生が、山賊キャンプのボランティアとして何人も参加していること。

なんとイタリアから長期滞在(1か月半)しているボランティアがいること。

キャンプで消費する莫大な量の野菜は、ほとんどが村内の農家ネットワークが栽培していること…


▼農家のおじいさんを取材する、信濃毎日新聞社と南信州新聞社の記者。




▼もちろんこどもたちも取材された。






と、このように、取材の切り口は多種多様だ。

山賊キャンプの奥深さと幅広さを改めて痛感する。

泰阜村に「学びの求心力」が働きつつある。

ここは、学びのパワースポットかもしれない。


▼ようこそ、山賊キャンプへ!






さて、どのような記事になるのか。

あとは記者のセンスに期待しよう。



代表 辻だいち


考えることをあきらめるな

2015年07月28日 | 泰阜村が大学になる

「この授業はなぜか小学校の頃の授業を想い出してしまう授業で、とても聞きやすかったです」

立教大学「自然と人間の共生」の最終講義で、学生からのリアクションペーパーに記されていたコメントだ。





この講義は、南信州泰阜村のように、自然と向き合って生き抜いてきた人々の暮らしの営みや文化を紹介することを通して、自然と人間の関係性を考えることが目標の講義である。

90分の講義のために、毎週毎週往復10時間をかけて東京まで通い続けた。

そこまでして講義をしに来ることに、興味を持った学生がたくさん履修してくれた。

その数、約300名。






このコメントの背景には、おそらくワクワク感やドキドキ感があったのではないか。

それはやはり講義が「楽しかった」に違いない。

私の話法やパフォーマンスが「楽しかった」のではない。

知らない事を知ること、新しい視点を獲得すること、価値観が産み出されること。

それが「楽しかった」のだろう。

つまり、「学ぶこと」が「楽しかった」のだ。

私が学生に外から与える「楽しさ」ではなく、学生たち自らの内から湧き出た「楽しさ」

学ぶ楽しさとは、内発的なほとばしる想いなんだと、改めて学生たちの踊るようなコメントから教えられた。




この授業の目標は、自然と人間の関係を「考える」ことである。

そのためには、人間と人間の関係や、人間と社会の関係もあわせて考えることが求められる。

春学期(前期)の講義の最後に、学生たちに7つの炎のメッセージを送った。


1.楽しさの質を問え

2.高学力であれ ~他社との関係性を豊かにする学力こそ~

3.自発的であれ ~市民公益の時代へ~

4.素敵な大人であれ

5.自律的であれ 

6.野心的であれ ~小さな力を信じることに~

7.考えることをあきらめるな ~





それぞれについて、ここでも深く伝えたいが、今回は7の「考えることをあきらめるな」について学生に送ったメッセージを。


「欧州のかつての独裁政権は、戦争に突入する際にまず知識人を迫害した。

 大学教授や学生を拘束したり虐殺したり。

 そうなのだ。

 暴走する権力は、虐殺とまではいかないが、虎視眈々と待っている。

 国民があきらめることを。

 学生が思考停止することを。

 若者が沈黙することを。

 学生諸君、健全な批判精神を持ち続けよう。

 自分は小さな力かもしれないが、しかしあきらめてはいけない。

 考え続けよう。

 考えることをあきらめてはいけない」





ほんの少しだけ、最後のリアクションペーパーを写真で紹介したい。

14回の授業の感想である。

オマケで学生諸君の率直な「つぶやき」も紹介した(笑)


▼そうそう、ちゃんと考えることが求められてるのだ





▼覚えることも大事だけれど、やっぱりそれ以上に考えることが大事だよな!




▼未来について考える。いいね。がんばれよ。応援してる。




▼ためになったならよかった。人生にいかせよ!




▼全く異なるの?(笑) 楽しく授業受けてくれてありがとう!




▼おいおい、大丈夫か・・・? 一度泰阜村においで




▼俺は立派でも素敵でもないよ。俺を支える泰阜村の人々が素敵なんだよ!





▼「自発的であれ」。そうそう、しっかり考え続けろよ!




▼自分で考える授業だからおもしろいのだ。こちらこそありがとう!




▼遠くから通い続けた甲斐がありました。ありがとう!





▼健全な批判精神を持つことは学生の特権! 考えよう!




▼楽単位・・・(笑)




▼小さな力を信じることが、きっと社会を変える。





▼きな臭い話だけれど、考える自由が奪われると社会が崩壊するぞ。がんばれ!




▼あきらめないこと。それが大事。






健全な批判精神を身にまとい、彼らはきっと次の社会を野心的に創ってくれるだろう。

学生諸君、一緒に授業を創ってくれてありがとう!

学生諸君、がんばれよ!!


代表 辻だいち

学びのうねりが広がる

2015年07月26日 | ひとねる=自律のひとづくり
信州こども山賊キャンプが始まった。

8月下旬までの期間中に、全国から1100人のこどもと300人の青年ボランティアが集う。

国内でも有数の規模のキャンプという評価を受けている。

規模もそうだが、青年の育成システムやボランティアマネジメント、地域への経済波及効果や地域再生の意識向上効果、NPOの経営やソーシャルビジネスという視点もまた、評価が高まる視点でもある。




様々な視点を持つこの山賊キャンプ。

ここ10年、大学などの高等共育機関が実習先として山賊キャンプを位置付けている。それついては、また別の機会に紹介する。

今回は、山賊キャンプの運営について、NPO団体や自治体、企業が等が、研修させてほしい、という依頼が増えてきたということである。

今年もまた、そういった研修が相次いでいるのだ。



7月中には、北陸と九州の団体が、スタッフを派遣してきた。

北陸は、自然体験活動を進めるNPO団体や、地域再生を進める協議会。

九州は、教育による地域再生を進める地域団体と公民館など。

両団体のスタッフとも、まずはキャンプの現場スタッフの役割を担ってもらった。

いわゆるOJT(On Job Training)である。

研修なので、もちろん3泊4日の現場体験の前後に、導入とふりかえりやまとめの講義を持つ。

なぜ山賊キャンプなのか。

なぜそこでそのようにこどもと向き合うのか。

なぜそこでそのようなマネジメントを行うのか・・・。

3泊4日の学びが、前後の講義を通して、彼らの腑に落ちていく。


▼研修狩猟後に、北陸の研修者と一緒に。





秋~冬には、彼らに対して次のステップの研修を行う。

泰阜村までまた来てもらうか、それぞれの団体の所在地までこちらから行くか。

相互訪問を繰り返しながら、相互理解が進み、新たな社会を創る土台ができあがる。



今年は、ある企業が職員研修の一環として山賊キャンプのボランティアに派遣をしてきた。

小さな山村の教育事業が、全国の地域創生の最前線に立つ人々や、企業の現場の最前線に立つ人々の役に立つ時代が来ている。

山賊キャンプにボランティアとして参加するだけではなく、前後の講義などを通して学びの質を高めたい団体や企業の方がいたら、ぜひ活用いただきたい。

もちろん有償ではあるが、投資に対する効果は大きいと自負している。

日本最強のキャンプの研修、検討してみてはいかがだろうか。



信州泰阜村で、こどもだけではなく、学生や社会人、そして地域の人々が、自発的に産み出す「学びのうねり」が、全国に広がっていく。

素敵な学びが縦横無尽に広がっていくことをうれしく想う。


代表 辻だいち


現在、過去、未来

2015年07月24日 | 泰阜村が大学になる
さて今日も泰阜村のスーパー猟師:ケサトさんの家にいる。

連日朝夕と続いた田んぼのヒエ抜き作業完了のプチ打ち上げ。

草取りを一生懸命がんばってくれた山村留学卒業生と、山賊キャンプに実習参加中の北海道教育大学の学生を連れて行った。



▼もう12年も前の写真。この中に、12年前の彼がいる。わかるだろうか?





卒業生は12年前に暮らしの学校「だいだらぼっち」に参加していた。

その当時、小学校の登下校の途中にケサトさんの家の前を通っってた。

「帰り道に、ケサトさんに肉をもらった」

「トラックの荷台でイノシシをさばくのを見せてくれた」

あの頃の思い出が鮮やかによみがえってくる。

そういえば、私の拙著「奇跡のむらの物語」に掲載されているイノシシをさばいている写真をよく見ると、彼がいた。

そうか、この写真の時のことか、と微笑ましい。



北海道教育大学の2人は、これから就職活動だという。

ケサトさんは、諭すようにゆっくりと、自分がなぜこういう人生を歩んでいるかということや、後悔なんて全くなくて楽しい日々だということを、話してくれた。

これから社会に出る2人にとって、きっと自分の人生を考える素敵な時間になったに違いない。



▼スーパー猟師の作るシシ鍋は、ほんとうにうまい。




▼鹿の革で創られた名刺をもらって大喜び。





ここ5年で、ケサトさんを全国各地に連れ出している。

沖縄本島北部、国頭村では、集落の皆さんに大歓迎された。

震災直後、福島県いわき市に行った時は、復興作業員と勘違いされた(笑)

今年は同じく福島県の飯舘村に知人を訪ねて行った。

ケサトさんは、常に「刺激があっていい。こういう縁をもらえたのがうれしい」と言ってくれる。

今度はまた、沖縄に連れて行こうと想う。

ケサトさんを待っている人がいる。

そして、いよいよ北海道にも上陸しようかとも考えている。



現在、過去、未来。

素敵な時間と縁が紡がれていく。

だからお客さんが来ると、こうやってケサトさんの家に連れて行くのかもしれない。


▼毎年100人の大学生が2泊3日で泰阜村に滞在する。その大学の先生と(一昨年)。





▼駒沢大学の先生、日中市民NPOのスタッフ、山賊キャンプにボランティアに来たアメリカの学生と(一昨年)。




▼昨年、北海道教育大学から実習に来た学生たち。




▼肉食系女子(笑)




▼アメリカの大学教授、九州の教員、山村留学の卒業生、長期滞在のボランティアと(昨年)




▼この学生も北海道から(実習ではない)






英気を養った若者たち。

さあ、いよいよ山賊キャンプの現場に出ていく。

ケサトさんが生きてきた泰阜村の風土を、ケサトさんに代わってこどもたちに伝えてほしい。

がんばれよ!


代表 辻だいち

五感の学び

2015年07月22日 | 自然のソコヂカラ
田んぼ。

この時期は、毎朝、毎夕の草取り。

梅雨明けの今は、信州といえども朝晩もけっこう暑い。

でも、日中にやるよりはマシということで、朝夕にやる。

南信州の風習「朝づくり(朝飯前の一仕事)」の意味が、身体でわかる。



▼信州の朝は、心地よい



ここ数日は、スタッフ以外の若者も一緒に草取り。

この日一緒に作業をしたのは山村留学の卒業生。

2人とも信州こども山賊キャンプのボランティアでやってきた。

なのに、田んぼの草取りまでやってくれるのだから本当に感謝だ。

今回は、稲に良く似たヒエを抜く作業。

彼らはきっと、はたから見てると草取りが簡単そうに見えたのだろう。

ところがこれが、きついのなんのって。

「前を向くな、下を向け!」

前を向くと果てしなく遠いゴールに心が折れそうになる。

だから下を向くのだ。

ただひたすらにヒエを抜く作業に、2人とも「農家ってすげ~!」とつぶやいてた。


▼前を向くな、下を向け!



▼農家ってすげ~!




こちらは昨日から来た北海道教育大学の女子学生2人。

同じく信州こども山賊キャンプのボランティアに来ている。

とはいえ、こちらはボランティア自体が大学の実習単位になる。

泰阜村に夕方に着いて、いきなり田んぼに連れていかされて草取り。

それでも文句ひとつ言わないのだからたいしたものだ。

今日もまた合言葉は「下を向くな、前を向け!」ではなく、「前を向くな、下を向け!」なのである。


▼こちらもまた、前を向くな、下を向け!




この田んぼは、信州子ども山賊キャンプのキャンプ場の近くにある。

草取りがしんどくて顔を上げるといつも、こどもたちの歓声が聞こえる。

蝉が鳴き、風渡る稲がそよぎ、川のせせらぎがきらめく。

この集落に30年間にわたって奏でられてきた、原色のようにきらめく音だ。

この音が、耳からではなく、田んぼを踏みしめる足の裏から聞こえてくるようだ。

この土地の歴史を足の裏から学ぶ。

彼らや彼女たちにとって必要な、土からの学び。

五感の学びが心地よい。



代表 辻だいち