わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート 9月20日 NO,246】 ~平成27年度の決算を見ながら~

2016年09月27日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年9月20日号を紹介したい。



村長レポート 9月20日 NO.246
平成27年度の決算を見ながら


 8月28日に第21回目の高原ロードレース大会が開催されました。何しろ、昨年は、大会が行われた午前中がどしゃ降りで大変でした。今年も台風の影響でまた雨か、と思ったのですが、雨が降らずほうんとうにホッとしました。参加者は、若干少なかったのですが、いい大会ができました。実行委員、前日から運日、片づけにご協力いただいたみなさん、沿道で応援してくれた皆さんに感謝申し上げます。

 さて、9月は、議会定例会が開かれ、主に前年度の決算を審議、承認を求める月です。現在は、決算に基づく健全化判断比率報告書も提出することになっています。この健全化判断比率は、4つの指標の数字を出し、自治体の現在の財政状況、将来を判断するものです。もう古い話になりますが、北海道の夕張市の実質上の破たんを受け、新たな法律ができました。自治体の会計といっても、けっこう複雑で、見掛け上黒字決算でも、その中身は、わからないところがあります。泰阜村でいえば、平成2年から6年に実施した南簡易水道の本管工事、北簡易水道の工事に多額の投資をしましたが、水道に関するお金は「水道会計」という別の会計で処理されます。そのため借金は、水道会計の書類に載るだけでした。多額の借金返済は、本会計(村の一般会計)から水道会計へお金を出して返す計画だったのでその通りやってきました。そのため、本会計から水道会計へ入れるお金は「借金返済」ではなく、繰入金という名目なので、本会計の借金には入っていなかったのです。夕張市でも同じように病院や観光施設は、別で処理していましたが、合わせてみたら大変でした。平成18年の法改正で、泰阜でいえば、水道の借金も通常の借金も合わせる方式となり、借金の比率で夕張が全国1位、泰阜は、全国で9位になりました。借金返済の率を「実質公債比率」という数字で表しますが、全国9番目の泰阜は、28.2%でした。この話は、何回も書いてきましたが、あれかれ10年たって、8.4%になりました。少ないとはいえませんが10%以下にというのが国の指導ですから、いわゆる標準的な自治体の仲間になった、ということです。決算のことになると、まず財政健全化法の4つの指標がどうか、私自身が気になりますので、この報告をしたくなります。将来負担比率もマイナス55.8%、残りもマイナスで、実質公債費率とともに世間並になりました。

 次に、「財政力指数」です。知っている方も多いと思いますが、各自治体が1年間の行政運営するために1,000円かかるとしたら、自分のお金がいくら用意できるか、という指数です。1,000円に足りない分を国が所得税や法人税、酒税など集めた税金を調整し、地方交付税として県、市町村に交付します。1,000円以上のお金を用意できるところ(長野県でいえば、軽井沢町、ダムができた南相木村も)は、交付税が交付されない「不交付団体」となります。首都圏には、多くの不交付団体があります。では、泰阜村はどうか、平成27年度決算で160円です。26年度は、150円でした。この10円違いは、数字のマジックのようなものです。だいたい150円から160円くらいの数字になります。ただ、消費税、自動車重量税等地方の分も入っている税金が地方譲与税という形で入ってきますが、それを含めると200円を少し超えるくらいになります。170円の残り830円は、地方交付税を中心に国、県等から入る財源となります。泰阜村の財政力指数は、と問われたら、0.17と答えることになります。

 次は、一般会計の決算総額からみた一人当たりの行政経費です。一般会計の支出総額は、22億851万6千です。泰阜村の人口は、平均すると1730人くらいになります。一人当たり約127万円となります。27年度は、村民一人あたり127万円のお金をかけて村の行政を運営したことになります。この経費は、人口が多い自治体ほど安くなります。つまり、規模が大きいほど一人当たりの経費が安く、いわゆる効率的です。この効率論で進められたのが平成の大合併だと思っています。泰阜のような集落が分散した過疎の山村では、行政運営そのものにお金がかかることは必然です。したがって、行政サービスをお金、効率だけで論じることがおかしいと思います。ただ、動きとしては、効率的な行政運営が求められているように感じるこの頃です。

 この9月の議会の開会のあいさつで、この効率が求められる最近の社会に関し、これは危ないのではないか、と言ったことを述べました。経済のことはわかりませんが、最近は、経済のグローバル化も進み、市場経済、お金中心主義といえばいいのでしょうか、お金がお金を生み出す経済学が世界を動かしています。その中で、格差が拡大し、富める者と富めない者の差が大きくなってきました。がんばれば成功した時代とは違い、どうしようもない閉塞感を感じている人も多いと推測されます。それがアメリカ大統領選挙で、強烈な指導者が何かを壊して何かを変えてくれるのではとの期待からトランプ候補を支持し、組織や権力と闘っているように見える東京小池百合子知事に共感しているようにみえてなりません。それは、もしかしたら、効率だけを求めるような思想や社会に反発しているようにも映ります。非効率なもの、例えば、働けなくなった老人、自治体でいえば、過疎の山村、このようなものを排除した方がいい、というような市場経済を認めることはできません。この閉塞感への反発が人間尊重社会構築につながってほしいと思います。









今後も、小さな村の首長の言葉を紹介していく。

代表 辻だいち


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