わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート3月18日 NO.240】 ~ これからの医療・介護は?~

2016年04月12日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年3月18日号を紹介したい。



村長レポート 3月18日 NO.240
これからの医療・介護は?



 3月14日には、雪が積もり、役場周辺は、雪国といった感じでした。集落によっては、除雪作業もしていただいた所もあり、そう簡単には、春は来ないなあと思いました。さて、新年度も控えて慌ただしい中ですが、この2月に「飯伊医療圏地域医療構想調整会議」の第一回目が開催され、新聞にも小さな記事で載りました。この委員は、18名で構成されておりますが、広域連合市町村を代表して私が委員になっております。当日都合が悪く欠席しましたが今後何回か開かれます。そんな会議があったことを受けて、これからの医療のこと、介護のことを改めて考えています。

 医療・介護の大きな課題は、昭和22年から24年生れの人たち、堺谷太一が命名した「団塊の世代」ですが、この皆さんが75歳に突入する10年後以降を国としてどう乗り切るか、ということです。私も同年代ですが全国で700万人といわれます。いま一年間に生まれる子供の数が100万人前後ですから、3年間で300万人です。その倍以上です。この皆さんが75歳以上に突入するのが10年後で、2025年問題といわれています。その後約30年間、この皆さんの老い、死に対応しなければなりません。現在でも、毎年、一兆円ずつ増える医療費、介護費用も増え続けているのに、10年後の費用は、どうなるのでしょうか。消費税で対応すれば、税率を30%以上にしなければならない、といわれています。

 そんな時代を想定しながら、国では、平成26年の通常国会で「医療介護総合確保推進法」という法律を成立させました。この法律で、都道府県ごとに、「地域医療構想」を策定することになりましたが、その医療構想は、2025年に向けて、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療重要と病床の必要量を推計し、定めるもの、ということです。法律解説を引用していますので、役所流表現ですが。この地域医療構想は、2次医療圏単位でつくることが原則で、飯田下伊那全体が2次医療圏の単位になっていますので、その構想会議が作られたということになります。国は、この地域医療構想を策定するためのガイドラインを示していますが、この構想の底辺に流れるのは、700万人を送るために、医療費や介護費用をいかに安く、低く抑えていくか、そのための国の方向を示した、ということです。






 いまの日本の医療では、保険証を持てば、どこの医療機関へ行っても受信でき、フリーアクセスという言われ方がされています。しかし、風邪を引いた、腹が痛いといったこと(もちろんどんな病気が隠されているかわかりませんが)で大学病院や大病院を受診されては、本来の重度、専門的治療等果たすべき機能が発揮できない、といった指摘がされています。医療機能の分化は、最近よく言われますが、現在は、それぞれの医療機能の果たすべき機能が見えにくい(国の表現)ため、これをある程度はっきりさせよう、という方針です。いまの方向では、4つに分類、(1)高度急性期機能(2)急性期機能(3)回復期機能(4)慢性期機能、です。現在は、(1)と(2)が多くなっていますが、これを今後の地域の必要量を推計し、平均化させるといったことです。
 基本方針は、病院のベッド数は余り増やさず、介護施設も含め在宅医療を推進する。慢性期の方が多く利用する病床(ベッド)は、収入も低くなり、あまり持ちたくない病院が多いと思うのですが、そうはいっても介護施設の不足もあり、ある程度の数は、確保したい、といったところでしょうか。

 いろいろな問題があります。まず、「病院」という言葉から受ける印象は、いつ倒れても救急車で運んでもらい、緊急治療がされるというイメージがあると思います。急性期機能を持たない病院となれば、救急車で運ばれる患者もないし、緊急を要する様な患者も来ない、となれば、そこで働く医師が集まるだろうか、という意見もあります。しかも、慢性期は、医療点数も低く抑えられます。ただ、患者数に対する看護師等の配置基準も下げられますのでスタッフの数も抑えられます。飯田下伊那でも、やはり、回復期、慢性期のベッド数が少ない現状です。

 第一回目の会議では、現状で問題ないのに国が示す構想に従う必要があるのか、といった趣旨の意見が多かったようです。確かに、2025年問題は、都市の問題です。一律的な国の方針で対応するのでなく、その地域にあった方法で乗り切ればいい、と思いますが、長野県としての構想を策定するのに、なかなか難しい問題です。

 介護についても、介護費用を抑えるために、軽度の部分が市町村対応になっていきます。自治体によって差が出るのかもしれません。また、特養入所も原則要介護度3以上となります。

 こんな時代に中で、我々世代は、どう老後を迎えたらいいでしょうか。まずは、かかりつけ医を持つことです。村の場合、診療所を利用するのが一番です。次は、いつまでも健康などという幻想を持つことなく、60歳を過ぎたら、倒れて障害をもったあと、どこで暮らし、どういう人生を送るか、という準備をしておくことが必要です。そして、生きている限り、いずれは死ぬ、という事実を受け止めなければなりません。長生きより、短くても生きた時間を充実させる、そんな時代になりました。



今後も、折に触れて村長の言葉を紹介する。

代表 辻だいち



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