わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【学校の先生方、ぜひ一緒に!】 ~校長先生の研修会で講演してみて~

2016年09月30日 | 日本初!教育で立つ村
地元の泰阜小学校で講演をすることになった。

4月の「あんじゃね支援学校」の懇親会の際、校長先生にお願いされた、らしい(笑)

すっかり失念していた。

「辻さん、今度の講演のことだけど・・・」と先日電話が校長先生からあり、最初は「???」だった。

校長先生、ごめんなさい。

これから気をつけます。



さて、その講演だが、広域校長会研修ということで県内の校長先生たちが45人ほど集まっていた。

われわれNPOグリーンウッドが取り組む1年間の山村留学は、地元の小中学校の理解や受け入れ態勢がないと、取り組み自体が非常に困難
になる。

つまり、地元小中学校との連携・協働が必須、ということだ。

その点において、他の事業、例えば夏休み期間に開催するキャンプとは違うところである。

集まった校長先生の中には、これまでの赴任先で山村留学を導入している地域もあるという。

なので山村留学の制度や仕組み自体には、ある程度理解のある聴衆ということになる。







ずいぶんと前(おそらく20年くらい前)にも同様の研修会に呼ばれたことを記憶している。

しかし、そのときは「お前らが教育って言うな」とか「なんでこんな若造に学ばにゃならんのだ」と、とにかく怪訝そうに見つめられていたものだ。

さすがに20年の時を経て、今回はそういう雰囲気ではなかった。

食い入るように話を聴き、私の「提案」、つまりNPOの提案にもうなづいてくれる校長先生を見ると、隔世の感がある。
私は本気で提案した。

学校や民間の垣根を越えて協働し、「学び」をど真ん中において社会課題の解決をはかっていこう、と。

小さな山村から質の高い「提案」をしていこう。

その提案を実践していくこと、それが未来への希望である。

学校の先生方、ぜひ一緒に!




代表 辻だいち


【この村が大学になる】 ~やっとここまで来たぞ!~

2016年09月29日 | 泰阜村が大学になる
泰阜ひとねる大学(名古屋短期大学バージョン)。

1年生全員(約90人)が2泊3日で泰阜にステイして、学ぶ。

村民全体の実行委員会で担当する。

もう7年目になる。








この1年生の学生たちに、私は前期(4~9月で)に授業を持った。

「自然と生活」という授業だ。

担当は、私、ということになるが、村のひとびとを数名、ゲストで連れていった。









1年生の3割の学生は、夏休みには山賊キャンプでボランティアに参加する。

これは国内研修という実習(単位)に位置づいている。

担当は、NPOグリーンウッドということになる。



そして今日、1年生全員が2泊3日でやってきた。

この2泊3日の学びを効果的にするために、前期の授業やキャンプのボランティアがあるといってもいい。

つまりは学びの連続性を確保する仕組みである。

もちろん、それぞれにも明確な学びがあることは言うまでもない。




この学びの連続性は、この後も続く。

11月には、大学祭が行われる。

その学祭には、学生を受け入れた家庭など村民がたくさん押しかける。

学生たちは、泰阜村と関わって得たここまでの学びをブースで展示する。

村民はこれまたブースを設置して、特産品を販売する。

担当は、一応、村観光協会になっている。

「久しぶり~!」

という声が飛び交う中で、互いの学びが増幅されていく。




これだけでも、名古屋短期大学と泰阜村が協働して、1年をかけて学生を育てる仕組みになっている。

だが、これだけでは終わらない。


2年生には、再び私の授業がある。

生活とリスクを扱う授業だ。

1年生の連続的な学びを通過した学生が、再び受講することになる。

これも担当は、私である。




そして今年からは、2年生のゼミ活動が、毎月泰阜村で学んできた。

集落の課題解決を目的のひとつとし、村、NPO、集落、大学が、力を合わせて学生を育ててきた。

ちなみに担当は、地域おこし協力隊などの若者チームである。















そして今年の年末に、2年間の学びの報告会が泰阜村で開催される。

小さな村の行政、住民、NPO、そして大学が協働して、2年かけて若者をひとねる(「育てる」という意味の方言)仕組み。

この構想が「泰阜ひとねる大学」だ。

構想というよりは、もう着実に実践になっている。


やっとここまで来た。

この村が、大学になる。

その日はもう近い。


代表 辻だいち


【養護教諭のタマゴたちに】 ~地元の飯田女子短期大学の後期授業が始まった~

2016年09月28日 | 泰阜村が大学になる
立教大に続き、地元の飯田女子短期大学の後期授業が始まった。


養護教諭(保健室の先生)のタマゴたちに、「日常に潜むリスク」について、実践者の立場から伝える。

2010年からだから、もう7年目を迎える授業だ。

講義とはいえ、少人数の履修学生なので、進め方は完全にワークショップ形式の授業である。

いわゆるアクティブラーニング形式だ。

普段は一方的に聞くスタイルの授業が多いのか、学生さんは参加型スタイルの授業は「あっという間に終わる」らしくそうで、なんだか楽しそうだ。








学内の授業だけではなく、泰阜村にも来てもらう校外実習もあるので、学生さんは今から楽しみだという。

そういう、肌で触れ、頭で考え、学びを生み出す、そういう授業を学生は求めているともいえる。

講義室で多くの学生に伝えるのも楽しいが、少人数でじっくりと一緒に学び合うスタイルが私にとっては本当に楽しい。

一所懸命な彼女たちの姿勢に、私も学ぼうと想う。



後期は毎週東京と信州で講義。

体力勝負である。



代表 辻だいち


【村長レポート 9月20日 NO,246】 ~平成27年度の決算を見ながら~

2016年09月27日 | 泰阜村長からのメッセージ
わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年9月20日号を紹介したい。



村長レポート 9月20日 NO.246
平成27年度の決算を見ながら


 8月28日に第21回目の高原ロードレース大会が開催されました。何しろ、昨年は、大会が行われた午前中がどしゃ降りで大変でした。今年も台風の影響でまた雨か、と思ったのですが、雨が降らずほうんとうにホッとしました。参加者は、若干少なかったのですが、いい大会ができました。実行委員、前日から運日、片づけにご協力いただいたみなさん、沿道で応援してくれた皆さんに感謝申し上げます。

 さて、9月は、議会定例会が開かれ、主に前年度の決算を審議、承認を求める月です。現在は、決算に基づく健全化判断比率報告書も提出することになっています。この健全化判断比率は、4つの指標の数字を出し、自治体の現在の財政状況、将来を判断するものです。もう古い話になりますが、北海道の夕張市の実質上の破たんを受け、新たな法律ができました。自治体の会計といっても、けっこう複雑で、見掛け上黒字決算でも、その中身は、わからないところがあります。泰阜村でいえば、平成2年から6年に実施した南簡易水道の本管工事、北簡易水道の工事に多額の投資をしましたが、水道に関するお金は「水道会計」という別の会計で処理されます。そのため借金は、水道会計の書類に載るだけでした。多額の借金返済は、本会計(村の一般会計)から水道会計へお金を出して返す計画だったのでその通りやってきました。そのため、本会計から水道会計へ入れるお金は「借金返済」ではなく、繰入金という名目なので、本会計の借金には入っていなかったのです。夕張市でも同じように病院や観光施設は、別で処理していましたが、合わせてみたら大変でした。平成18年の法改正で、泰阜でいえば、水道の借金も通常の借金も合わせる方式となり、借金の比率で夕張が全国1位、泰阜は、全国で9位になりました。借金返済の率を「実質公債比率」という数字で表しますが、全国9番目の泰阜は、28.2%でした。この話は、何回も書いてきましたが、あれかれ10年たって、8.4%になりました。少ないとはいえませんが10%以下にというのが国の指導ですから、いわゆる標準的な自治体の仲間になった、ということです。決算のことになると、まず財政健全化法の4つの指標がどうか、私自身が気になりますので、この報告をしたくなります。将来負担比率もマイナス55.8%、残りもマイナスで、実質公債費率とともに世間並になりました。

 次に、「財政力指数」です。知っている方も多いと思いますが、各自治体が1年間の行政運営するために1,000円かかるとしたら、自分のお金がいくら用意できるか、という指数です。1,000円に足りない分を国が所得税や法人税、酒税など集めた税金を調整し、地方交付税として県、市町村に交付します。1,000円以上のお金を用意できるところ(長野県でいえば、軽井沢町、ダムができた南相木村も)は、交付税が交付されない「不交付団体」となります。首都圏には、多くの不交付団体があります。では、泰阜村はどうか、平成27年度決算で160円です。26年度は、150円でした。この10円違いは、数字のマジックのようなものです。だいたい150円から160円くらいの数字になります。ただ、消費税、自動車重量税等地方の分も入っている税金が地方譲与税という形で入ってきますが、それを含めると200円を少し超えるくらいになります。170円の残り830円は、地方交付税を中心に国、県等から入る財源となります。泰阜村の財政力指数は、と問われたら、0.17と答えることになります。

 次は、一般会計の決算総額からみた一人当たりの行政経費です。一般会計の支出総額は、22億851万6千です。泰阜村の人口は、平均すると1730人くらいになります。一人当たり約127万円となります。27年度は、村民一人あたり127万円のお金をかけて村の行政を運営したことになります。この経費は、人口が多い自治体ほど安くなります。つまり、規模が大きいほど一人当たりの経費が安く、いわゆる効率的です。この効率論で進められたのが平成の大合併だと思っています。泰阜のような集落が分散した過疎の山村では、行政運営そのものにお金がかかることは必然です。したがって、行政サービスをお金、効率だけで論じることがおかしいと思います。ただ、動きとしては、効率的な行政運営が求められているように感じるこの頃です。

 この9月の議会の開会のあいさつで、この効率が求められる最近の社会に関し、これは危ないのではないか、と言ったことを述べました。経済のことはわかりませんが、最近は、経済のグローバル化も進み、市場経済、お金中心主義といえばいいのでしょうか、お金がお金を生み出す経済学が世界を動かしています。その中で、格差が拡大し、富める者と富めない者の差が大きくなってきました。がんばれば成功した時代とは違い、どうしようもない閉塞感を感じている人も多いと推測されます。それがアメリカ大統領選挙で、強烈な指導者が何かを壊して何かを変えてくれるのではとの期待からトランプ候補を支持し、組織や権力と闘っているように見える東京小池百合子知事に共感しているようにみえてなりません。それは、もしかしたら、効率だけを求めるような思想や社会に反発しているようにも映ります。非効率なもの、例えば、働けなくなった老人、自治体でいえば、過疎の山村、このようなものを排除した方がいい、というような市場経済を認めることはできません。この閉塞感への反発が人間尊重社会構築につながってほしいと思います。









今後も、小さな村の首長の言葉を紹介していく。

代表 辻だいち


【考えることをあきらめてはいけない】 ~立教大学の秋学期(後期)が始まった~

2016年09月26日 | 泰阜村が大学になる
今日から立教大学で後期授業が始った。

「自然と人間の共生」という授業。

自然と人間の関係性がどうあるべきかを「考える」のがこの授業の目標だ。

その達成のための教材として、泰阜村での自然と向き合う人々の暮らしや、その暮らしを土台にした教育活動を紹介する。

後期は新座キャンパス。









秋学期もまた履修学生が300名までふくれあがった。

教室は超満員。

ちょっと圧倒された。

そんなに人気があるのかな、この授業が。

学生さんに「なぜこの授業を履修したのか?」という理由をリアクションペーパーに記入してもらった。

「ちょうどこの時間が空いていた」

「単位を取りやすいと先輩から聞いた」

正直に書いていいよと言いましたが、本当に正直な学生だ。

なるほど、人数が多いわけだ。



一方で次のような理由も多かった。

「シラバスでの授業内容を見て、ヒトメボレしました」

「往復10時間もかけて講義をしに来るという驚きと、そんな先生がやる講義は面白そうだったから」

「片道で何時間もかけて新座まで足を運んでいるということを聞いて衝撃を受け、「受けたい!」「会ってみたい!」と単純ですが思ったからです」

そりゃそうだよな、私が学生でも、そんな先生に興味を持つと想う。

ワクワク感が、学生を衝き動かしたのかもしれない。



そして次のような理由もあった。

「私は自然が正直嫌いです。なぜ山奥に住むのか理解できません。なので、全く知らない山村の暮らしに興味を持ちました」

「自分が地方出身ということもあり、自然に興味があった。自然とのかかわり方を知りたい」

「最近は、災害により自然の恐ろしさを知った。今後自分が自然とどう向き合うか、良い機会になると思ったから」

年を追うごとに、若い世代が持つ「自然観」が脆弱になるのを感じる。

東日本大震災はおろか、熊本地震さえも、支援やボランティアの熱は冷め、いつの間にか報道も少なくなってしまった。

自然災害から学ことは多いが、やはり若い力が今後の社会について想いを巡らせ、知恵を絞り、考え抜くことが大事だと想うのだ。

一度も被災地に足を運んでない学生がほとんだが、そんな学生でも考えることはすぐできる。




「一方的に教え込まれる授業ではなく、考えることを大事にする授業内容だから」

こんな理由も多く見受けられた。

そう、考えよう。

今後、自然と人間の関係がどうあるべきなのかを。

現状から一歩出よう。

考えることをあきらめてはいけない。




「教室内が良い環境に包まれていたと感じました」

授業後の感想は、考えることで場があたたまることを感じた言葉が並んだ。

さあ、300名の若い力と、毎週毎週、未来について考えようと想う。


代表 辻だいち