わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

【村長レポート 5月20日 NO.242】 ~国の財政と村の行政運営~

2016年05月27日 | 泰阜村長からのメッセージ

わが泰阜村の村長が、就任以来毎月毎月、村民に向けて発信する「村長レポート」。

2016年5月20日号を紹介したい。




村長レポート 5月20日 NO.242
国の財政と村の行政運営



 本震があとからとう平成28年熊本地震は、大きな被害となりました。亡くなられた皆様には心からお悔やみを申し上げ、同時に被害に遭われた皆様にお見舞い申しあげます。村では町村会を通じ義援金を贈り、個人の方々には日赤を通じ義援金を集めさせてもらっています。被災地とはいろいろなルートを通じ情報交換をしていますが、現在のところ具体的な支援としては、NPOグリーンウッドと連携し、夏のキャンプに熊本を中心に余震が続く地域の子どもたちを招待する方向で検討しています。一方、泰阜村では、桜の花ばかりではなく藤の花を始め、花が大変きれいで新緑に映え美しい春を迎えています。大変ありがたいことです。

 さて、この5月9日に長野県全体で組織する水道(簡易水道含む)協議会で、厚生労働省、総務省、長野県選出の国会議員に対し、水道事業の補助金確保の要望活動をいたしました。昔流にいえば、陳情です。水道は、77全市町村で給水事業を行っておりますが、施設の老朽化もありその更新、また熊本地震でも断水など大変でしたが施設の耐震化等の事業を計画し、国から補助金を受け実施しています。泰阜村の簡易水道も計装装置(水源、排水地からの流量などをコンピューターで管理)などを中心に老朽化対策で5か年計画をつくり国の補助を受けて現在事業を行っております。この補助金が県全体でいうと、市町村の要望額の約60%しか交付されない、役所流にいえば、6割の内示しかなかった、ということです。要望した補助金を想定して予算を立てていますので、それが減らされると予定どおりの仕事ができません。やるとすれば、足りない分を自分で出すことになります。我々の言い分としては、国のルールに従い5年計画をつくり、それを認めてもらって改修工事を始めたのだからその約束を守ってほしい、ということです。実は、ここ2年ほど、水道以外でも、このような要望活動が続いています。い飯田下伊那(南信州広域連合)では、新しいゴミ焼却炉(稲葉クリーンセンター)を建設中で、平成28年度、29年度が本格工事です。この焼却炉の補助金も6~8割の内示で、そのうち所管の環境賞へ要望に行くことになります。また、道路、住宅等の社会資本整備交付金も同様です。このようにすべての補助金、交付金が要望額通りになりません。

 なぜか。原因は、国が決めた「財政健全化目標」にあります。この目標は、3点で、(1)国・地方を合わせた基礎的財政支援(プライマリーバランスと言われます)について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比を半減 (2)2020年度までに黒字化 (3)その後債務残高対GDP比を安定的に引き下げる、ということです。2010年度の赤字の対GDP比は、マイナス6.6%でした。これを半減させるということは、3.3%にすることになるのですが、2015年度(昨年度)マイナス3.0%となり、目標を達成したということです。GDP比の赤字率といってもよくわかりませんが、政府としては目標達成と言えることになりました。

 いま日本では、国・地方合わせ1035兆円の借金があります。国民一人あたり約860万円になります。なぜそうなったのか。一言でいえば、収入は増えず、支出だけ増えて、足りない部分を借金してきたからです。1990年(平成2年)国の歳出は、66.2兆円でした。25年後の2015年(平成27年度)は、96.3兆円です。税収はどうか、1990年は60.6兆円。2015年は、途中で消費増税があったものの、59.5兆円です。つまり、税収は変わらず、歳出は、30兆円増えています。その30兆円のうち、20兆円は、社会保障関係費(医療、介護、年金)でう。この足りない部分を借金で賄ってきたため、毎年借金が膨らんできました。平成28年度予算は、96.7兆円で過去最高額ですが、借金である赤字国債は、30兆円台に抑えられております。これにより、平成27、平成28年度は、国の財政健全化目標が達成されたということになります。この目標達成のために、あらゆる歳出が抑えられています。公共事業関係費は、対前年並みですが、ピークより40%も減少した中での前年並みです。






 いま地方の行財政を運営する立場にいて感じるのは、予想以上に国の財政が厳しい、というか、財政をつかさどる財務省が徹底して歳出削減を考えているという印象を受けます。歳出削減で大ナタを振るうといっても、大きなものでなければ大ナタになりません。まずは、30兆円を超える支出の社会保障費をどう削減するか、これは消費増税との絡みがありますがまずここです。次に、約16兆円の地方交付税があります。地方交付税も小泉改革の時に、5兆円減らされたことがありますが、社会保障費の次は地方交付税が危ないと想っています。なぜなら財務省は、国より地方の財政の方がいいと判断んしているからです。今まで地方団体プラス総務省と財務省の力関係で何とか前年並みを確保してきましたがこれからが正念場です。

 要望活動をしている水道とかゴミ焼却炉といった生活に直結した補助金は、ここ2~3年、補正予算でほぼ100%まで復活し、何とかつじつまがあってきました。今年は、熊本地震のこともあり不透明です。その他、公共事業関係は復活しません。道路等は、事業の先送りでしのぐことも可能ですが村が提供している福祉、教育等の住民サービスは、先送りできません。実に、やっかいな財政問題です。


今後も、小さな村の首長の言葉を紹介していく。

代表 辻だいち


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