600 あってはならないこと(2) シナリオ2 イージス艦悪役シナリオ (全て推量です。小説と考えてください。) イージス艦の速度は10ノット(時速18.5km)だったとされているが、オートパイロットのままであったというから、速度も20ノット(時速37km)の巡航速度のままだったのを隠しているということもある。 漁船は20~30分前から捕らえていたというからレーダーレンジ(ロングレンジで20km)の限界から遭遇するまでを23分とすると、相対速度は時速52kmになる。 漁船の速度を8ノット(時速14.8km)とすると、イージス艦この間の平均時速は20ノット(37km)だったことになる。 | |
イージス艦からするとレーダーで船の集団があることを知るのは。こちらもやはり、23分前(午前3時44分頃)、距離20kmだ。 見張りに、船影が何かを確認させる。 12分前(午前3時55分)は、見張り員が双眼鏡で、漁船であることを確認した時間なのだ。 この時、両者の距離は10.5km。 2分後、10ノット(時速18.5km)に減速した。 このとき、交替ワッチもブリッジに上がって来ていた。 ブリッジには両ワッチだけでも20人ぐらい居たことになる。 4~8ワッチ(通常ベテランが担当する)がきていた。 意見が分かれた。「鋼鉄の自衛艦にぶつかってくる馬鹿はいない。」と不満げだ。4~8ワッチのベテラン組みは前を切られるのを不名誉とする精神が若いのに比べてより強かった。 こんなやり取りの間にも数分が過ぎていく、一分間に約1km、お互いの距離はなくなっていく。 四隻全部をやり過ごすと、かなりの信号待ちをするような気がした。 信号が赤になる前に、交叉点に入ろうと加速するようなものである。 「黄色は注意して速度を落とせではない。サッサと渡れだ。!」半分冗談のように言いながら、 「ワッチ交替!」4~8ワッチの上級仕官が宣言した。 「漁船に舐められてたまるか!全速前進!」 豪胆なカッコイイ号令に、笑い声が起こった。 「危ないですよ!」、交替を告げられた0~4ワッチの若い士官が悲鳴を上げた。 若い士官の慌て振りを横目に、オートパイロットのまま、操舵輪を握ってポーズを取った。 艦はエンジンを全開にし、一旦落とした速度10ノット(時速18.5km)から30ノット(時速55.5km)に上げた。 交替した上級士官の位置からは清徳丸はすでに艦に近くなり過ぎて見えて居なかった。ブリッジの右舷の見張りからしか見えなかったのだ。 ドスンと衝撃があった。 ブリッジの見張りは投光器を付けて海中を照らした。何か白っぽいものが通過した。続いて二隻の漁船が通り過ぎた。 異音から、10秒足らずで、左舷の見張りと右舷の見張りがほとんど同時に飛び込んできた、 「右舷、浮遊物の他、漁船二隻通過、白い浮遊物らしきものを見ました。」 「左舷、船一隻が通過しました。」 「全部で、四隻でした。!」0~4ワッチの士官が大声で言った。 「全力後進!」 全力前進から全力後進など滅多にない。船の一生のうちでも、試運転を除いては、ほとんど無いと思われる。 右舷見張りから「何で、加速したのですか!」と納得できないという目付きで非難するような質問が飛ぶ。 「だから、危険だと言いました。!」0~4ワッチの若い士官だ。 清徳丸が自分の頭の中になかった上級士官は、 「お前が報告していないではないか。!」と右舷見張(4~8ワッチ)に言った。 しかし、4~8ワッチにしてみれば、 右舷見張り(0~4ワッチ)からは、4隻居ることが既に伝えられ、危険回避措置として半速に一旦減速されているから、4隻の存在をブリッジが確認していると思い込んでいる。 4~8ワッチは午前4時の交替なので、上級士官にはまだ自分の口からは報告はしていない。 しかし、加速指令を発したのは、若い士官も承知の上で、全てを承知の上で、レーダーも近距離レンジ(多分5km)に切り替えて、レーダー上でも判断して、確信してそういう回避行動を取ったのだろうと判断したから、4隻の存在を上級士官が認識していないとは、そのときまで露思っていなかった。 それよりも、加速したことで、漁船側がどう反応するか目が離せなかったのだ。 休息中の艦長が緊急連絡を受けてブリッジにアテンドした。 完全に停止するまで、艇を下ろすのは危険である。 その間、この間に起こったことの報告を受けた。 防衛庁に連絡する要点をメモさせた。 艦名、艦長名、「衝突事故発生」、日時、北緯、東経、 事故時のワッチ責任者氏名。 15分後の4時22分後、艇を下ろして舳先(へさき)を点検させた。 舳先に衝突の跡がある。 救助艇から無線で報告が入る。「衝突の跡があります。!」 点検に行ったものから報告を受け、ビデオカメラで撮影した映像を見て納得した。 4時33分防衛庁に報告を入れた。 |
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臨場感あふれてます。
こんな場面が繰り広げられたのでしょうね。
この後の石破さんのシナリオも見たい気がします。
昨日のコメント拝見しています。
ちょうど学生運動の終焉の頃、学生だったので
アメリカの存在は、どうしてもどうしてもさめた目で見てしまいます。
でもguuchanさんのお話の仕方、
そうか、そういう見方もあるんだと素直な気持ちで読ませていただきました。ありがとうございました。
あまり深入りしだすと、虻蜂取らずになってしまい、徐福が遠くなってしまいます。
しかし、興味のある読者が一人でもあると、書きたくなってしまいます。
日米関係は、根底においてアメリカが拒否権を持っている関係だと思っています。
敗戦以来、その関係は続いています。
それは、まだまだ続く神が与えられた日本の運命、すなわち摂理だと思っています。
そういう考えもあるということを、わかっていただけてありがとうございます。
素直にうれしいです。
早く 元気になってください....
そして よくよく日記を見ると パ-ト2でした...
何時も 絵ばかり見てました...ハッ..ハッ..ハ.
ソゥソゥ 内容は御見事でした....隠しカメラの用に
正確な 描写でした....御見事でした.
又 遊びに 来ます.
なんて言葉が有りますね。
しかし、実際は違っていても、こういうようにして事故が発生しないとも限りません。
魔が差した。何であんなことをしたのかと悔やんでも悔やみきれないことをしてしまうのです。
こういうものを、どうしたら、防げるでしょう。
専門知識って、どれくらいから言うのですか?
自衛隊に若者が入らない事態が続いているようです。
特に海が厳しいようです。
昨日の瀬戸内海の例でもわかるように、民間はほぼ外国人です。
しかし、こんなことが起こったら、口が裂けても言わないのではないでしょうか?
対策を採る時、こういうことも含めて対策が取れるでしょうか?
事故の真相を知れば、他艦の乗務員にも注意を促すことが出来るでしょう。
しかし、それを隠して、対策やら教育をしようとすると、心底にまで達しない総花的なものにしかならず、また再発することを恐れます。
自衛隊に若者が集まらない。
何故でしょうね?