フランスの大統領選挙が上位2名の決選投票となり、現大統領のマクロン氏が当選したという。前回は圧勝だったというマクロン氏にあと一歩まで追いすがったのは "極右政党" と呼ばれる「国民連合」を率いる女性、ルペン党首だった。
仮にルペン氏が選ばれていれば、国際政治におけるフランスの行動も変わり、フランスの国際的役割が大きく変化していくことになったのだろう。現在のウクライナ情勢を巡ってNATO(北大西洋条約機構)の有り方にも、波紋を投げかけることになったはず。米国で未だ影響力を失わないトランプ元大統領とその考え方を持つグループとも影響し合い、主要な国々がそれぞれ自国主義に傾いていく流れを作る要因になったかも知れない。
今回は、一応、その流れをくい止めた格好になったが、次にドイツの総選挙やロシアとウクライナの戦争の行方次第では、予想以上にヨーロッパの安定性が揺らぎ兼ねないという不安を、改めて提起した選挙になった。NATOやEUの急速な東方拡大は、ロシアとの摩擦とは別に、外からは見えずらい形でEU・NATO内部の不安定要素を創り出しているのかも知れない。もしそうならば、それが今後のウクライナの状況にどんな影響を及ぼすかという漠然とした不安も残ることになる。