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日本民藝館「つきしま かるかや」展・続き

2013-08-14 | art
昨日に続き、日本民藝館「つきしま かるかや」展のこと。
展示してあった絵巻物、物語絵、説話画など、素朴表現が
なされた作品ばかりなんだけど、「かるかや」(サント
リー美術館蔵)以外はすべて日本民芸館の所蔵品。

故柳宗悦(1889-1961)がその多くを収集したものだ
というから、その眼力にただただ驚く。昭和初期だしね。

矢島新さんがカタログに寄稿したなかで「日本民藝館のコ
レクションは柳が日本文化の根幹には無作為の素朴を愛す
る精神が流れていると考えていたことを、雄弁に語ってい
る」と書いてはるが、茶器だけでなく絵画にも同じ姿勢で
向き合っていたのだろう。

「つきしま」は彼らが1936年日本民藝館を開設する前年、
昭和10年に見て、直ちに購入を決めたとか。「こんなにも
無法に幼稚に描かれながら、まがいもなく美しい画境」と、
柳宗悦は高い評価で紹介したそうだ。



「つきしま」以外にも興味深い絵が多かったけど、その一
つ「浦島絵巻」。玉手箱から白煙が円弧を描いて太郎を直
撃し、一気に老ける絵もいいでしょ。16世紀の絵巻物。

一種の変身なんだけど、白粉のように顔がくしゃくしゃと
なってる様がなんとも味がある。絵巻の最後には竜宮のお
姫様が亀になって、太郎のそばに戻ってくる絵があるんだ
けど、首から頭だけが女性の亀もなんともユーモラス。



地獄図もいくつか展示してあったが、この「十王図屏風」も
なかなか傑作。8屏の屏風それぞれに閻魔大王はじめ十王が
上半分に鎮座して、下半分は各種地獄が描かれている。

 
「十王図屏風」17世紀 江戸時代

特にこの地獄絵。屏風に描いたとは思えない、マンガの様な
素朴感満載。この手の絵は、読み書きできない人の布教用だ
ったそうだが、地獄への恐怖が起こっただろうか?記号の様
な人間だから余計怖さが増したのかも。


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