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新刊「プルトニウム消滅!」のご案内(2)使用済み核燃料の画期的な処理方法

2012年08月09日 | エネルギー政策

運営委員の森中定治です.

先ほど,8月12日(日)夜締切の未来のエネルギーをどうするか,「エネルギー・環境会議」へのパブコメを出しました.
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf#search='%E3%82%A8%E3%83%8D

熔融塩炉で使用済み核燃料の,地層処理なしの画期的な処理が可能です.
以下に投稿した意見(抜粋)を添付します.
手前味噌ですが,新刊「プルトニウム消滅!」は,原発反対派にも擁護派にも一読の価値があるでしょう.

森中 定治
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原発のためのトリウム熔融塩炉ではなく,原子炉として熔融塩炉のもつ大きな意味を,殆ど誰も知りません.
使用済み核燃料は,六ヶ所村の再処理施設に2860トン,全国の各原発の貯蔵プールに合計14170トン,併せて17030トンあります(東京新聞2012年3月9日朝刊,原発と使用済み核燃料の貯蔵量).現在は,再処理によってこれらの使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出してリユースし,一方残った高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にして地下に埋める(地層処理)というのが政府の方針です.
しかし,原発の燃料はたった数パーセント燃やしただけで使い終わります.燃え残りのウランやプルトニウムを再処理しあらためて燃料を作り直しても,また数パーセント燃やしただけで使い終わります.危険な作業を何度でも繰り返さなければなりません.効率が非常に悪いことは一般人でも直感的に分かります.でもこうするしか,プルトニウムに対する公的な対処ができないから,やむを得ないのでしょう.そのうえ,NUMOがいくら金を積んでも地層処理を引き受ける市町村はなく,この方針は結局は破綻するでしょう.日本学術会議も,10万年もかかる核のゴミの地層処理は方針転換が必要であり,一から考え直せと6月上旬に提起(東京新聞2012年6月18日朝刊)し,8月末には原子力委員会に対して報告書をまとめる予定です.

どうにもなりませんね.何か画期的な方法はないのでしょうか.

ウラン燃料は重量比で,燃料であるウラン235が3-5%,無用のウラン238が95%以上です.それを燃やすと,ウラン235の燃え残りが1%,ウラン235が連鎖反応によって消滅し核転換された様々の金属(核廃棄物)が4%,ウラン238から生まれたプルトニウムが1%,残り94%がウラン238となります.ウラン238は連鎖反応をしないので,一部が中性子によってプルトニウムに核転換する以外,殆どそのまま残ります.現在の方針では,核廃棄物のなかから燃料用としてプルトニウムを取り出すことになっていますが,プルトニウムを燃やす「もんじゅ」が現在までの長い研究の経緯において,全くうまく行っていない現状を考えると,不可能のように思えます.
しかし,だからといってプルトニウムの混じった核廃棄物を地下に埋めるというのも,現代人の富の謳歌によって生まれたゴミを未来の世代に押しつけ,我々の本来の責任を果たしたことにならないし,また深く考えてもいないと思います.プルトニウムを未来に残すのは,核戦争の芽を未来に残すことです.それで良いのでしょうか.

ウランにフッ素をくっつけてフッ化体にするとウランはガスとなり,連鎖反応によって生まれた様々の金属(核廃棄物)と分離します.すると,核廃棄物の95%を占めるウランが単体として分離されます.ウランの他にも一部ガスとなりますが,沸点が異なるので,それらも分離できます.分離されたウランはそのほとんどがウラン238であり,放射性ゆえ注意は必要ですが核弾頭にはなりません.残り5%,プルトニウムと種々金属の混合物を,そっくり熔融塩炉に入れ消滅させます.分離されたウランを地上で保管すれば,地層処理は無用になるでしょう.
今まで,燃料としてプルトニウムを取り出すことばかり考えていたため,こういったアイディアは生まれませんでした.しかし,未来の人々に対してどうすれば責任を果たせるか?その最も有効な方法は?というふうに,現代人の私益のためではなく未来の世代の利益に目的を変え,さらに熔融塩炉を用いることと組み合わせれば,いろいろなアイディアが出てきます.こんなアイディアは固体燃料を用いる軽水炉では絶対に出てきません.液体燃料であればこそ,膨大な使用済み核燃料の処理を一挙に解決できる可能性が生まれます.予算が付けば研究は加速されるでしょう.
しかも,核弾頭のプルトニウムも実際に消滅させることも可能です.オバマ大統領のプラハでの演説「核なき世界」の通り,核兵器の廃絶を机上の空論から現実問題へと移行させる要の技術です.
新刊「プルトニウム消滅!」を読んでよくお考えください.