ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(54)『連絡船“鈴吉丸”』

2024年02月24日 19時28分24秒 | 日記
ちいチャンの町の桟橋に、朝と夕方、連絡船“鈴吉丸”が来ます。
街に用事のある人や、高校へ行く人、荷物を受け取ったり送ったりする人が、
この“鈴吉丸”を利用します。
宅配業者のなかったこの頃、遠く離れた家族に、魚やカニを送ったり、また遠
く離れた家族から、ちいチャンの町の家族へ、荷物を送ったりするのに、この
“鈴吉丸”は便利でした。
朝に送った魚やカニが、その日の午前中には受け取り主の手に渡るのですから、
まさに!産地直送です。
荷物には、荷札を付けます。
荷札には、送り主と受け取り主の住所と名前を書き、荷札に付いている針金を
荷物を結んでいる紐にくくりつけます。
送り主は受け取り主に、前もって電話で連絡をしておきます。
船の着く頃に、桟橋で船の着くのを待って、荷物を受け取ります。
“鈴吉丸”は、ずっと沖から汽笛を鳴らし、もうすぐ桟橋に着くよ、と知らせ
ます。
ボーーーーー!!!ボーーーーー!!!
そして、小さく見える船が、だんだんと近づき大きくなります。
“鈴吉丸”が汽笛を鳴らすと、外で遊んでいた子供達は、
「鈴吉が来た!」
と、言って、桟橋に走ります。
だんだんと大きくなる“鈴吉丸”に手を振りながら、走ります。
“鈴吉丸”が着いた桟橋は、船に乗る人降りる人、荷物を受け取る人送る人、
漁の準備をする漁師さん、届いたばかりの荷物の山、で活気づきます。
そんなにぎやかさが、子供達は好きです。
“鈴吉丸”は、桟橋を離れる時、また、汽笛を鳴らします。
ボーーーーー!!!ボーーーー!!!
大きい姿がだんだんと小さくなり、やがて波間に隠れます。
ちいチャンは、“鈴吉丸”が、小さくなって見えなくなるのを見ると、少し
さびしい気持ちになります。
朝も夕も、“鈴吉丸”を見送る時は、見えなくなるまで見ています。
朝も夕も、“鈴吉丸”が見えなくなると、少しさびしい気持ちになります。
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