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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

リベンジPCR

2008-03-14 | その他あれこれ
・今日は雨(!)ということで、技術スタッフも大部分は室内作業中である。検討会説明会に備えての準備に忙しいところだったが、昨日の夕方にリベンジPCRをした結果を見るために、午後から電気泳動をしてもらう。ピペッティングも繰り返しているうちに、次第に段取りが良くなる。Iくんの手つきも板についてきたようで、アプライはだいぶ上手になった。

・電気泳動から染色した後、みんなでUVイルミネーターの前に集まる。スイッチを入れる。緊張の一瞬。「・・・」。おっとっと、マーカー3本だけがくっきり。「ううむ、こんなはずでは」ということで2枚目撮影。今度は後半の4サンプルがびしっとバンドが光っている!皆さん、”これが増幅するということか”と妙に納得している。なぜかライラックはダメで、増幅しているのはシャクナゲである。

・3枚目はやはり増幅なし、で最後の4枚目である。今度は2枚目よりもさらに増幅がよく、ライラックとシャクナゲのバンドパターンの違いもよく分かる。いやあ良かった。で、「結局、ライラックは?」ということなのだが、さすがにこれだけ穴が開いていると何がなにやら分からん。そこで、Oさんの画像や当方の以前の画像を見せつつ、識別の方法を説明。納得していただいたところで、研修のオプショナルツアーも終了である。

バスケットの新体制スタート

2008-03-13 | その他あれこれ
・Lさんからの連絡でトドマツ種子散布論文を投稿したとのこと。タイトな時間の中で、Lさん、Kさんとのやりとりで何とか仕上がった。今回の最終調整では、昨日の空き時間にLさんと電話連絡できたのが助かった。気持ち的にもすっきりで、ようやく肩の荷が降りた、という感じ。ほとんどの指摘事項には対応したつもりなので、いい結果を期待したいところだ。

・午後7時からミニバスケットの総会。会長としての最後の任務である。総会にはほぼ全員が出席してくれた。新体制も承認され、チーム名も新たにスタートすることになった。会長として1年間を勤めてきたわけだが、合宿やボーリング大会など、いくつか新しい試みをやったり、練習試合を組んだり、色々と忙しかったが、育成会の雰囲気がよくて実に楽しかった。

・全然仕事で関連のない人たちと、”共通の目的に向かって一緒に何かをやる”というのは、今までにあまりない経験だったので実に新鮮であった。全てが終わるとなるとほっとする反面、一抹の寂しさがあるのも事実である。総会終了後、誘われるままに打ち上げに突入。新チームの活躍が楽しみである。

小さな恐竜

2008-03-12 | その他あれこれ
・11日から13日は本学の体験ゼミということで、学生20名を迎えての実習。当方は12日からの参加である。12日はスノーシューを履いて、樹木園の裏山を鹿道をGPSでトレースしながらポイントを探るという一種のサバイバル的(?)な実習となった。4班に分かれての行動だが、とにかくスノーシューにみんな悪戦苦闘している。



・鹿の足跡は簡単に分かるだが、糞の大きさや形で、ある程度の年齢やサイズが分かる。Oさんいわく、雌雄で形が異なり、長細いのが雄で、丸っこいのが雌だそうで、これは当方も初めて聞いた。よくよく注目すると、子供のサイズはかなり違うので少なくとも3頭以上いただろう、などということがよく分かる。学生の一人が発表していたが、まさに隊列をつくって移動していたことがよく分かった。

・この辺では、ササはかなり食われている。タラノキも同様である。しっかし、あの鋭いとげをへっちゃらとはすごいねえ・・・。オヒョウの食痕は古いものしかないが、オヒョウとハリギリが癒合しているように1箇所から生えているところでは、見事にオヒョウだけが食われていた。



・鹿道にいざなわれるままに登っていくと、急に視界が開ける。数年前の強風によって木がバタバタと倒されている。ハイランド富良野でカラマツがひっくり返っていたときの風らしい。そこからは引き返し、横にずれていくと最後は4班と合流。



・お昼を樹木園で焚き火をしながら食べる。こうした体験も学生にとってはかなり新鮮だったようだ。焼き芋ができればもっといい!という意見には納得させられたのだが、確かに、少しだけ、”お楽しみタイム”みたいなものがあってもいいのかもしれない。

・東山での造材現場を見学後、講義室にてGPSデータをダウンロードして、デジカメ画像をリンクさせて、班でのディスカッション。班にもよるが、あーでもない、こーでもない、となかなか熱い議論が展開されている。鹿が角をとぐのは何故か?ということについて、面白い仮説が提唱されたり、却下されたり・・・。なかなか頼もしい。それにしても当世の学生たちはパソコン慣れしているのか、GPSからのダウンロードなどの作業は、しゅしゅっとやってしまう。

・ジンギスカン後(ビール無しのジンギスカンは結構つらい・・・)、ふくろうのペレット(丸ごと飲み込んだネズミなどの骨を吐き出した塊)を解体して、ふくろうが何を食べていたかを観察するという実験(?)を行う。Mさんによると、これはアメリカの小学校1年生の授業で行われ、とても人気の高い授業の一つだそうだ。



・当方も完全に学生とともにやってみると、これが実にはまる!頭蓋骨が2つも出てきたときには、おおっと感動してしまった。骨からコケみたいに付着した毛などのカスをうまくはがせたときには妙な快感がある。当方にしてみると、卒論でさんざんやった埋土種子の検出に似ている。学生たちもはまり込んだまま一向に終わろうとせず、結局、2時間以上やり続けた学生もいたらしい。



・持ってかえって、後日、子供に見せると、骨をルーペで眺めて”わおっ”と感動している。ちょうど小さな恐竜の化石のように見えるらしい。なるほどねえ。

マスクに関する考察

2008-03-11 | その他あれこれ
・3月になって,東京地方のスギ花粉の量もいよいよ本格的になっているようだ。今回は滞在中に大量に吸い込んで,発症してしまうのだけは避けようということで,ミクロ粒子を99%カットする(という)マスクをつけてみる。立体構造というだけでなく,細部に色々と工夫がなされているらしく,息苦しくないこと,眼鏡がくもりにくいことなどが特徴として挙げてある。

・慣れないせいか,やっぱりマスクをするのは抵抗がある。だいぶ改善されたとはいってもそれなりには息苦しいし,やっぱり眼鏡も曇る。なんと言っても,「何か悪いことをしている人」みたいに見えるんじゃないか,という余計な想像をしてしまうのである。というわけで,信号待ちのときなどに隣にマスクの人が来るとなんだか安心してしまったりする。もちろん,“同病相憐れむ”という感情が後押しをしていることもあるのだろうけれど・・・。

・そうしたプレッシャーをはねのけて着け続けたマスクのおかげか,当方の鼻は最悪な状態にはならずに済んだようである。最近はマスクにもカラフルなものとか色々とあるらしいが,まさか当方がかわいいシールつきのマスクをするわけにもいくまい。先日TVのニュースで鼻の穴に直接入れるフィルターのようなものが紹介されていたが(着けているかどうかが他の人には分からないようにできているらしい),使い勝手はどうなのだろうか・・・。

山本周五郎賞作品

2008-03-10 | 研究ノート
・旭川空港までのバスの中で帚木蓬生著の閉鎖病棟を読む。この小説は前回の出張で購入し、途中まで読んだままでストップしていたものである。この小説の前半は少々気だるい感じでページをめくる手はあまり進まなかったのだが、後半のスピード感はちょっとすごい。

・バスの中でいつしか流れる涙を押さえ切れないままに、最後まで読みきってしまった。何が涙を誘うのか未だによく分からないのだが、静謐な主人公の語り口が淡々と語りかけてくるものに体の中の何かが応答しているのかもしれない。

・トドマツ原稿の修正案とコメント案をプリントアウトしたものを携えて機内の人になった。修正案とコメント案を見比べながら、一つ一つ検討をしていく。羽田で昼食を食べつつ、修正案とコメント案をそれぞれにバタバタと改訂し、LさんとKさんに送信。最後は時間との闘いになりそうである。

アカデミー

2008-03-09 | その他あれこれ
・昨晩、NHKのBS2でアカデミー賞授賞式の模様が報道されていた。結果は既に知っているのだが、ショウそのもののの華やかさやスピーチが面白くて毎年楽しみにしている番組である。今年は、80回目ということだったのだが、授賞式の司会の人がめちゃくちゃ毒舌で面白い。

・例年のことではあるが、ハリウッドスターが勢ぞろいしているこの授賞式はやっぱりすごい。それにしても、受賞のスピーチには個性が出ていて面白い。喜びを爆発させる人、笑いを取る人、それぞれに気が利いている。

・それにしても、ノーカントリーはめちゃくちゃ怖そうである。どうでもいいけど、助演男優賞を受賞したハビエル・バルデムは「ノーカントリー」の中ではすごい怖い人だったのだが、授賞式では完全に別人のナイスガイだった。男優だから当たり前なのかもしれないけど、この変化はびっくりである。怖そうだけど、映画館で見てみたいねえ・・・。

悲しきマーカー

2008-03-07 | 研究ノート
・所内のDNA研修パート2。といってもパート1をやったのは2年前だったか・・・。今回はライラックの再抽出とシャクナゲのDNA抽出とRAPD分析を一日で行う予定である。直前に3名参加することになり、合計9名での研修となった。さすがに9名ともなると、実験室が一杯である。最初は”おっかなびっくり”という感じだったのだが、だんだんと慣れてきたのか、12時前にAEを入れるところまで完了。

・お昼過ぎからいよいよPCRにかける。500ulから一気に1ulになると、急にマイクロな世界に一変する。PCR増幅には2時間半ほどかかるので、その間にゲルを作成。増幅したPCR産物を電気泳動にかける。電気泳動に必要な時間は40分。その後、ゲルを20分間染色し、UVトランスイルミネーターで最終結果を見る。時間は既に6時半過ぎである。

・ウイーンと音がしてトランスイルミネーターが紫色に光ると、バンドがピンク色に輝く・・・はずだったのだが、輝いたのはサイズマーカーとわずか2サンプル。2年前のフラッシュバック。「おおっと、やっちまったかー」。期待の2枚目は、いよいよマーカーだけである。「一日頑張った結果がこれか・・・」と、がっくりしながらも、3枚目と4枚目にわずかな希望を持つ受講者たち。

・3枚目はもう少しバンドが見えるサンプルがあり、「おおっ」とどよめきが起こる。そこで期待高まる4枚目だったのだが、またもやサイズマーカーだけが悲しく光るという結果に・・・。もう一度、リベンジをしようかという相談をして、DNA研修は終了。皆さん、お疲れ様でした・・・。



・終わってから画像をもう一度チェックをしてみると、今回は16サンプルで3プライマーの解析を行ったのだが、まず、プライマーによって増幅がいいものと全然駄目なものがある。よく見ると増幅できているサンプルはある程度決まっている。H19はまるでダメだが、I12は増幅しているサンプルが多い。V14はその中間。また、ライラックのNo5とNo6はI12とV14で増幅し、No8はH19とI12で増幅している。ライラックは全然ダメだったのかと思いきや、I12でサンプルNo1だけは少し増幅している。





・この結果を見ると、全体にPCR増幅は悪いのだが、プライマーによっては多少増幅しており、さらにサンプルによってDNAの純度(あるいは濃度の適正さ)が異なるようだ。したがって、DNAを精製すれば、かなり結果が改善されそうである。そう考えれば、初めてのDNA研修でバンドが少しでも出たというのは悪くない、ともいえそうである。

環境傾度

2008-03-06 | 研究ノート
・所内の勉強会に向けて、プレゼン資料の作成。スライド40枚程度だが、タイトルバックなどもあるので45分くらいの内容になるか・・・。スライドショーで確認しつつ、何度も細かい修正を加える。

・Lさんと電話でトドマツ論文の修正方針の相談。大方方針がまとまったところで、締め切りがあることに初めて気がついた。1月28日にEditorial decisionを受け取ってから45日以内に返信せよ、となっている。おっと、よく考えてみると、あと1週間しかない。そろそろ仕上げにかからねばということで、共著者のKさんにも連絡。

・4時15分より所内の勉強会。実は、このメンバーの前でしゃべるのが一番プレッシャーだったりするんだよね。話題提供は3部構成で、1部は局所適応の実例としてトドマツ標高別、2部はアカエゾマツのマイクロサテライト分析、3部は現在進行形の科研での研究である。生理、アロザイム、個葉の形態などではどうしても説明が難しいところをかなり端折ってしまったので、理解するのは大変だったかも・・・。しかし、全部まとめてやったところがミソなので、例えばアロザイムを外すわけにもいかないしねえ。

・13林班と前山湿地の違いとして、Mさんからは、同じ湿地でも水が流れている湿地(前山)と溜まっている湿地(13林班)という違いがあること、両者では地質が違うことなどを指摘してもらう。また、Oさんからは、13林班の湿地林は風害前はかなりびしゃびしゃだったのが、風害後に周りの木がなくなって乾燥したという貴重な情報を頂く。なるほど、こうしてみると、両者にクリアな違いはありそうなのだが、それをデータとしてどう表すかが問題である。

・最後に、古くて新しい”標高”を研究の一つのメニューにしては?という提案で締めくくった。これだけのスケール内に凝縮された標高という環境傾度は実に面白いフィールドを提供してくれている。とりあえず、標高別に設定された標準地の組成を記載して植生学会誌に出すだけでも十分価値があるんじゃないだろうか・・・。標高が上ると木本種の種組成が変化するとか、種多様度が下がるとか(下がらないかもしれないけど・・・)、樹高や蓄積がどう変化するとか、単純だけど深いテーマはいくつもありそうである。

やどりぎ

2008-03-05 | Weblog
・実習下見ということで、麓郷のアンパンマンショップの近くの森林に行く。なるほど小径木がたくさんある上に安全で、冬芽の観察にはもってこいの場所である。シナノキ、シラカバ、ヤナギ、ヤチダモなどが主だが、よく見るとセン、カツラ、エゾマツ、トドマツもあり、それなりに多様な種構成である。



・この時期、ヤドリギが目につく。いまだにオレンジ色の実をつけているものもあるのだが、奇主である樹種はある程度決まっているようにも思える。ここではヤマナラシ、シラカバ寄生しているものが多く見られる。鳥の活動(止まりやすさ)によるのか、あるいは、発芽のしやすさ(樹皮の固さ?)などによるのか、興味があるところだ。

・気がつくと、内部勉強会でのプレゼンは翌日に迫っている。基本的には、演習林ゼミで発表した内容を焼きなおす予定なのだが、流れを整理したり、新たに樹高、樹冠面積のグラフを作り直したり、五十嵐ら(2005)の図を取り込んだり・・・。慌しく修正作業に追われる日々である。

失敗は成功のもと

2008-03-04 | フィールドから
・造林と再生林の検討会参加。74林班では業者による伐採と収穫が行われている。あまり離れていないところで伐倒されるとちょっと怖い。ウダイカンバの50年生の造林地では,当地では珍しくきちんとした“森林”になっている。ウダイカンバは優良広葉樹ということでずいぶん植えられたようだが,ことごとく造林に失敗している。不思議なもので,シラカバとダケカンバは植えれば成林するのだが,ウダイカンバだけはいつの間にか消滅していることが多い。

・この試験地では,何度も補植したり,ウサギ害を減らすためにフェンスを張ったりとかなり手をかけたらしい。林学会などでも造林の失敗事例が論文になることが極めて少ないが,実はどうやったら失敗したかを明らかにしておくことは極めて重要である。成功と失敗の鍵を見極められると,ウダイカンバの育種への道も開けてくるのだが・・・。

・再生林のウダイカンバは、どの個体もよく雄花が着いている。今年のカバは豊作である。花粉症の人々には受難の年となりそうだが,今年度に地がき予定の75林班では圧倒的な更新が期待できそうで楽しみである。ところで,先の50年生の造林地ではほとんどの個体が雄花を着けているものの,個体によって雄花の着花量に相当のバラツキがある。そう考えると、ウダイカンバはおそらく30年生ぐらいから着花が始まり,50年だと個体のバラツキが大きいままで,100年生くらいになると豊作時にはいずれも大量の雄花を着けるというプロセスになるのであろう。

・ところで,再生林の中には,個体密度が仕立て本数であるha当たり30本近くまで減っているところが散見される。こうした仕立て本数に近くなった林分をどのように計画的に伐採,あるいは管理していくかというのが今後の課題となりそうである。小面積皆伐+地がきによる側方天然下種更新(焼松峠方式)で少しずつ若返りを図るというのも一案(一興?)ではあると思うのだが,いずれにしても、そろそろ展望を立てる時期になっているのかも。

・予定があった当方は途中でみんなと別れて車に戻ることになっていたのだが,一人になると行き先が合っているのかどうか急に不安になる。なにやら気配がすると思ったら、雌じかである。”ぴゃっ”という警戒音を立てられる。しかし、これだけ雪が溶けてくると,クマも出てきそうな気がして不安になるねえ・・・。と,モモンガがヨーロッパトウヒの芽をかじっている痕を発見。ウサギの足跡も縦横無尽で,野生動物の密度の高さを実感する。