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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

失敗は成功のもと

2008-03-04 | フィールドから
・造林と再生林の検討会参加。74林班では業者による伐採と収穫が行われている。あまり離れていないところで伐倒されるとちょっと怖い。ウダイカンバの50年生の造林地では,当地では珍しくきちんとした“森林”になっている。ウダイカンバは優良広葉樹ということでずいぶん植えられたようだが,ことごとく造林に失敗している。不思議なもので,シラカバとダケカンバは植えれば成林するのだが,ウダイカンバだけはいつの間にか消滅していることが多い。

・この試験地では,何度も補植したり,ウサギ害を減らすためにフェンスを張ったりとかなり手をかけたらしい。林学会などでも造林の失敗事例が論文になることが極めて少ないが,実はどうやったら失敗したかを明らかにしておくことは極めて重要である。成功と失敗の鍵を見極められると,ウダイカンバの育種への道も開けてくるのだが・・・。

・再生林のウダイカンバは、どの個体もよく雄花が着いている。今年のカバは豊作である。花粉症の人々には受難の年となりそうだが,今年度に地がき予定の75林班では圧倒的な更新が期待できそうで楽しみである。ところで,先の50年生の造林地ではほとんどの個体が雄花を着けているものの,個体によって雄花の着花量に相当のバラツキがある。そう考えると、ウダイカンバはおそらく30年生ぐらいから着花が始まり,50年だと個体のバラツキが大きいままで,100年生くらいになると豊作時にはいずれも大量の雄花を着けるというプロセスになるのであろう。

・ところで,再生林の中には,個体密度が仕立て本数であるha当たり30本近くまで減っているところが散見される。こうした仕立て本数に近くなった林分をどのように計画的に伐採,あるいは管理していくかというのが今後の課題となりそうである。小面積皆伐+地がきによる側方天然下種更新(焼松峠方式)で少しずつ若返りを図るというのも一案(一興?)ではあると思うのだが,いずれにしても、そろそろ展望を立てる時期になっているのかも。

・予定があった当方は途中でみんなと別れて車に戻ることになっていたのだが,一人になると行き先が合っているのかどうか急に不安になる。なにやら気配がすると思ったら、雌じかである。”ぴゃっ”という警戒音を立てられる。しかし、これだけ雪が溶けてくると,クマも出てきそうな気がして不安になるねえ・・・。と,モモンガがヨーロッパトウヒの芽をかじっている痕を発見。ウサギの足跡も縦横無尽で,野生動物の密度の高さを実感する。