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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

焼松峠2007調査完了

2007-09-19 | フィールドから
・岐阜大学の津田さんを迎えて焼松峠の二次林地がき試験地の更新調査。天候がかなり悪そうだったのだが、そこは晴れ男の津田さんだけに朝から晴天である。試験設定から6年目になるのだが、5年目は調査しなかったので、4年前と比較しながら調査を進める。4年前にはウダイカンバが爆発的に増えたわけだが、そいつらが定着しているかどうかが検討課題の一つであった。

・主要樹種の組成はあまり変わっていないが、増減の傾向は樹種によってかなり違う。イタヤカエデは倍増、ヤチダモは横並び、シナノキは漸減、ハリギリは半減といった感じである。問題のウダイカンバであるが、最初に定着したものは漸減だが、4年前に爆発的に増えた小さな実生たちは9割がた消失している。少数派だが、カツラは全滅である。

・ウダイカンバは草本層から出たところをシカかウサギに食べられている。こうなると、カエデ林になるんだろうか・・・。今年はヤチダモとシナノキが大豊作なので、また勢力図は変わりそうだ。予断を許さない。とにもかくにも、雨は降らずに調査は完了。ほっと一息、である。

・平坦部と斜面部を比較すると、平坦部は当然安定しているが、斜面部ではかなり小さな地滑りが起こって、入れ替わりが激しい。ふうむ、一体全体どうなっていくのか分からないが、ゆっくりと確実に動いているんだねえ。面白い!

街中リフレッシュ

2007-09-17 | その他あれこれ
・突然思い立っての、札幌1泊旅行。いつものとおり、”じゃらん”で安いホテルを探し、今回はレオパレス札幌へ(マンションだけじゃなかったのか・・・)。狸小路周辺のホテルだが、ファミリーに嬉しい設定がある。部屋も清潔で広く、朝食付きで非常にお得な価格設定であった。しかも、9Fに宿泊者専用でジェットバス付きの大(?)浴場があるのが嬉しい。昨日は札幌ファクトリーで遊んだ後、”ねぎま”で夕食を食べた。店名にもなっている”ねぎま”はさすがにうまい。ちなみに、ちぢみも美味しかった。

・今日は10時から大丸駐車場に車を入れて、大丸とステラプレイスのみでショッピング。前回からこの行動パターンになっているのだが、早い時間だと車を停めるのも楽勝である。最近お気に入りの45rpmでチノパンを購入。くたっとした風合いが好み(だが、高い・・・)。それぞれショッピングした後、アジの干物、高知の日本酒、”きのとや”のロールケーキ、を買い込んで帰宅。普段、大自然に囲まれているせいか、我が家のリフレッシュは街中が一番、なのである。

クマムシ発見!

2007-09-15 | その他あれこれ
・朝一番で学校と神社に行って、コケを採取。シャーレに入れて、水につけておく。学校のコケは土が多く付いており、水につけると濁ってしまう。やはり、乾燥したコケがよい。1時間後に実態顕微鏡で観察してみるが、線虫はいるものの、本で見たワムシとクマムシは出てこない。やっぱりそんなに簡単には見つからないか・・・。

・子供の友達が来たので時折一緒に実態顕微鏡を覗いてみるが、やっぱりいない。ふと、夕食前に気になってもう一度見てみる。参考書どおり、コケをゆすって生物を落とし、コケを取り除いてもう一度観察。今度は線虫以外の生物、ワムシやぴょンぴょんとぶ尺取虫みたいな生物も見えた。



・と、写真で見慣れていた姿、クマムシを発見!「おおっ」と、思わず声を上げてしまった。クマムシは足を必死で動かしており、確かに”くま”って感じである。本当にかわいい!しばらく水につけておいたことで復活したのだろうか・・・。一度見つけてしまえばこっちのもので、目に飛び込んでくるようになった。しかし、密度は決して高くなく、シャーレ当たり1-2頭(?)といったところだろうか。



・無理やりデジカメで撮影してみたが、一応、クマムシの姿を捉えることができた。白っぽい姿なので、参考とした図書で取り扱われている肉食の”オニクマムシ”ではないみたいだ。しっかし、ずっと見ていても飽きない。他の種類は見つからなかったが、まだいるんだろうか。もっと探してみよう!

地がき論文、大手術

2007-09-14 | 研究ノート
・昨晩、遅くまでかかって天然更新試験地の毎木データを打ち込んだので、それを飯島くんに送る。早速、解析をしてもらった結果をみると、どうも芳しくない。clearとstripeで分けたのだが、地形に対する反応が180度変わっている。これが本当ならば面白い結果なのだが、実際にはサンプリングデザインの問題を拾っていると考えた方がよさそう。stripeを捨てるのも一案かと思ったが結構コドラート数があり、clearだけで勝負するのも厳しそうである。

・ということで、いったん元のモデルに直して蓄積を説明変数に加えてみるが、相変わらず、イマイチ。と、ここでclearとstripeの処理の違いをランダム効果に押し込んでしまう、という荒技を思いついた。そもそも処理の違いに興味があったわけではないし、サンプリング誤差の問題もある程度解消できるのではないか、ということで飯島くんに依頼したところ、これがまた、いい感じに落ち着きそうだ。

・また、NMSを上層木と更新木の両方でやってみたところ、必ずしも類似性は一致しないという結果が得られた。これも標高の効果を支持する内容だと思われるので、取り入れることにする。若干見切り発車的に、長池さんの指摘を元に地がき論文にメスを入れていく。解析方法、プレゼンの仕方を大きく変更するので、大手術である。細かい指摘も取り入れながら検討していくと、少しずつ文章が流れるのが実感できる。こんなに丁寧に見ていただいて、全く有難い(っていうか、こんな状態で見せてしまってよかったのか・・・いつもながら反省)。

・上層木データとランダム効果のおかげで、ずいぶんと流れがよくなりそうな気がする。しかし、どうして処理をランダム効果にしたのかを説明しないといかんな・・・。これはちょいと難しそうだ。それにしても、英語力。少しは書けるようになったつもりでいたんだが、まだまだ・・・だ。もうちょっと頑張らんといかん。

・ついにシーズン6が始まってしまった。海外ドラマ、「24」の話である。始まってしまったからには観るしかない。またもや、ドキドキしながらの日々がスタートしている。

IPOS案内

2007-09-13 | フィールドから
・IPOS(正式名称は忘れた・・・)案内で樹木園待機。街灯には大きな”ガ”が群がっている。このガが”クスサン”という種類だというのはOさんからの受け売り。今年は富良野では大発生しているようで、ゲオの駐車場でも大変なことになっていたらしい。妻は鳥と大型の虫が苦手なのだが、そこではカラスがクスサンを狙って飛来するという、世にもおぞましい光景が繰り広げられていた、と震えながら(?)語っていた。樹木園ではカラスがいないが、カケスは食するという話。さぞや、食べ応えがあるはずである。



・IPOSでは、用意した即席資料を元に30名もの学生達に現地説明。カラマツ交雑育種から説明したが、次から次へと質問の手があがり、こちらがたじたじなる。フェノロジーと温暖化の関係については鋭い質問も飛んできて、答えに窮する場面が続出である。今回、カラマツ交雑育種、ミズナラのフェノロジー、ブナ、苗畑という順番で説明したが、やっぱり苗畑は最初がいいかもしれん。なかなかベストコースを見つけられずにいる。

・英語自体は嫌いじゃないのだが、久しぶりに説明しようとすると言葉が出てこない。さらにNativeではない癖の強い英語だと、相手の質問がなかなか理解できない。破れかぶれに返答を試みたものの、おそらく”とんちんかん”な答えをたくさんしてしまったことであろう。全くナサケナイ・・・。最後に鋭い質問を繰り返していたオーストラリアの女学生が、故郷の森林のポストカードをプレゼントしてくれた。ハンノキの湿地林の中に巨大なユーカリみたいな木が立っている。気の利いたプレゼントにちょっと気を取り直したりする。

・ようやく部屋で作業する時間ができたので、長池さんからのコメントに答えるべく、地がきサイトの上層木のデータを拾い上げて入力する。一通り入力できたのだが、飯島くんとやりとりをする中で、外挿データの一部に疑問が・・・。やっぱり試験地そのもののデータが必要だということで、改めて家捜しをすると、なんと生野帳の状態で当時の毎木データが出てきた。

・野帳からデータを拾って、エクセルで打ち込んで、材積に換算する作業などを行う。結局、3プロット以外は全て発掘できた。3プロットは外挿データでいくしかないだろうが、これで精度はだいぶ高まるはずである。さあて、結果がどうなるか・・。

ヤチダモ収穫完了

2007-09-12 | フィールドから
・樹木園の苗畑に10cm間隔で播種していたヤチダモを収穫。残り500個体の掘り取り、測定、写真撮影。ユンボで掘り取り、根についた土を振るい落として、地上部と地下部に分けて乾燥させる。さらに、葉の面積と乾燥重量を測定し、SLAを算出する予定。



・しばらく苗畑作業を手伝ったが、後はひたすら写真撮影。2人がかりで撮影しても、いつまで経っても終わらない。一つの束が終わるころには、次の束が運ばれてきたりして、気が遠くなった。しかし、Oさんのアイデアで封筒に書かれた番号を写しこむようにすれば、番号を書かずにすむことが分かる。このシステムが開発(?)されてから、一挙に作業効率が良くなった。ついに15:00前に苗畑作業は完了し、撮影もほぼ目処がついたので休憩。



・少し前までヤチダモがざくっと立っていたところが平地になっている。うーん、感動だ。2004年に種子取りをしてから、ついに収穫までこぎつけた。播種から苗畑管理、恐怖のバッタとの格闘に至るまで、苗畑スタッフには大々的に協力をしていただき感謝の言葉が見当たらない。そのご恩に報いるためにも、ヤチダモ研究の集大成として、新しい世界を創出するような面白い論文を書きたい。

雨降り調査

2007-09-10 | フィールドから
・台風が去ったというのに天気が悪い。今日はヤチダモ収穫の続きを予定していたのだが、苗畑作業は無理ということで水曜日に延期。ということで、室内作業かと思いきや、前山大型試験地の測定が遅れているということで、気合でやってしまうことに決定。水曜日は参加できなくなってしまったので、本日の測定に参加することに・・・。

・前山では雨が降っていたが、もはやここまで来れば覚悟は決まっている。前回50個体を残していた中途半端プロットを軽く片付けると、次は250個体ほどの個体数が多いプロット。しかし、いい感じのテンションで午前中になんと完了。4人組だったせいもあるが、やっぱりみんなが作業に慣れているので仕事が早い。

・10年前には生存していた個体が枯死し、倒木になっているものはたくさんあるのだが、そのなかには既に倒木更新の母材となっているものもあったらしい。倒木の供給量、倒木になってからの更新母材として機能するまでの期間、などについても、こうした試験地をうまく使えばある程度は推定することができそうだ。午後からも230個体ほどのプロットを1つ片付け、これほどの悪条件にもかかわらず、かなりのハイペースで達成感!しかし、雨降り調査で、普通紙の野帳は厳しい・・・。今度の測定では、最初から防水紙に印刷するようにした方がいいかもしれないね。

・さて、地がき論文の原稿を見ていただいた長池さんから早くもコメントが戻ってきた。とても丁寧に見ていただき、重要な指摘をいくつか頂いた。やはり、この分野は関連論文の読み込みが浅いだけに、「何がこれまでの研究で欠けていたか?」についての基盤が弱いことがよく分かった。早速、頂いたコメントを元に、修正方針を考えなくては・・・。

クマムシの世界

2007-09-09 | その他あれこれ
・図書館でふと目にとまった鈴木忠著の「クマムシ!?小さな怪物」。あまりの面白さに一気に読んでしまった。著者の軽妙な語り口による所も多いのだろうが、古い原著の挿絵や写真で紹介されるクマムシの魅力はかなりのもんである。この本を取るまでクマムシというのを全く知らなかったが、そもそも「昆虫」ではなく、緩歩動物門に属する珍妙な生物らしい。しかも、クリプトビオシスという信じられないような乾燥耐性(?)を持ち、そうした得意な能力からその道では”知る人ぞ知る”有名な生き物だったらしい。この世界(?)に、はまっている人も少なくないようである。

・この本では、著者がクマムシと出会ってから、ついには研究材料として深みにはまっていく過程と、古い文献や伝説の検証などが分かりやすく書かれており、研究者ではなくともほとんど抵抗なく読めそうだ。クマムシはその辺のコケの中に潜んでいるらしく、実体顕微鏡を使ってちょっと探せば見つかるらしい(本の最後には観察の仕方が載っている)。

・そういえば、小学校の頃、顕微鏡で水中プランクトンを探すのにあこがれて、お金を貯めたことがあった。あまり覚えていないけれど、その計画は途中で頓挫し、釣竿かリールに消えた気がする。しかし、ノートいっぱいにプランクトンの絵を描いた思い出がある(なぜか授業中に一生懸命書いていた・・・)。クマムシの話はその頃のミクロな生物への憧れを思い出させてくれる。来週末にでも、早速コケを採取して、中に潜む生物達を調べてみるとしよう。

台風一過

2007-09-08 | その他あれこれ
・昨晩は雨と風がすごかったが、起きてみると既に静かな気配。少し蒸し暑い、台風後にありがちな天気である。かなり上方にそれた上に勢力もだいぶ衰えたようで、TVのニュースにもなっていない。大体、関東地方を過ぎたあたりから扱いが急に低くなるのはいつものことである。

・子供を水泳教室に連れて行き、その間に自分も泳ぐ。今回は何本くらい泳いでいるのか数えてみると、25mを10本泳ぐと結構な運動になることが分かった。ついでに、平泳ぎで息継ぎの回数を研究してみると、2回に1回のペースで息継ぎをするのがよく、25mでは8回の息継ぎというのが自分のベストらしいことが分かってきた。しかし、数えようとすると何だか力が入ってしまい、なかなかすいーっとは進まない。

・午後から北の峰の児童館で開催された餅つき大会に飛び込み参加。こんなにも子供がいるのか、というくらい大勢が来ていた。当方も”餡子もち”と”きな粉もち”を頂く。”つきたて”はうまい。

・夕方、近所の子供たちと遊んでいる合間に、アカエゾマツ針葉の形態分析を行うために、SHAPEでCHCファイルを作成。画像のBMPファイルを整理しておいたおかげで、120個体の1年生シュートの針葉10枚の画像処理を完了。これで、いよいよ形態分析が可能となった。



・夕食後、バザー作品の仕上げ。紙粘土で作った動物マグネットに水彩絵の具で色を塗る。オレンジが思ったよりも濃く、赤との違いが際立たなかったが、まずまずという出来ではないでしょうか?昨年は残念ながら売れなかったのだが、今年こそいける!?・・・(といいんだけど)。

台風上陸?

2007-09-07 | 研究ノート
・台風の影響で本日の保存林調査は無理、ということで、万が一に備えてプレゼンの準備。しかし、こちらはたいした風雨はなく、プレゼンを作りながらも結局使わないであろうという一種あきらめムードの中、作業を進める。結局、林内見学はOKということで、徒労に終わってしまう。ま、そのうちゼミでも使うであろうから、この作業も無駄にはならない(はず)。

・Tくんのシナノキの萌芽更新に関するデータ解析を進める。シナノキとオオバボダイジュが多かった林分を皆伐し、萌芽更新が可能かどうかを調べるという試験である。伐採した175本の幹に番号をつけて、シュート発生部位ごとに発生本数と最大シュート長を測定している。意外なことに、幹のサイズとシュート発生数には明瞭な関係がない。大きい幹を伐採すればたくさん萌芽シュートが発生するというものでもないようで、何がそれを決めているのかがなかなか掴みにくい。



・幹ごとの合計シュート数に及ぼす幹のサイズ(伐採幹の面積)と伐採高の影響をざっくりと見てみると、シナノキではどちらも有意になるが、幹サイズの方はほとんど意味がない推定値だ。伐採高は正の効果がある(が、バラツキはかなり大きい)。必ずしも小口から萌芽しているわけではなく、意外と下の方からの潜伏芽から萌芽しているようだ。一方、オオバボダイジュについてはどちらも有意な効果なしという結果。



・ところで、伐採前の状態では、オオバボダイジュの方がシナノキよりも複幹になっている割合が多かったのだが、幹当たりの合計シュート数ではむしろシナノキの方が多く発生している。これを見る限り、初期状態のシュートの萌芽能力に明瞭な種間差はないと考えた方がいいのかもしれないねえ。



・発生部位ごとの最大シュート長と発生部位の高さの関係を見てみると、シナノキでは発生部位が低いほど最大シュート長が大きい、という関係にある。オオバボダイジュでも統計的にはマージナルだが、同じ傾向と・・・。養分動態とかも関係しているのだろうか・・・ふうむ、興味深い。明日はいよいよ北海道へ台風上陸しそうな様子。無事に過ぎ去ってくれることを祈る。