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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

台風上陸?

2007-09-07 | 研究ノート
・台風の影響で本日の保存林調査は無理、ということで、万が一に備えてプレゼンの準備。しかし、こちらはたいした風雨はなく、プレゼンを作りながらも結局使わないであろうという一種あきらめムードの中、作業を進める。結局、林内見学はOKということで、徒労に終わってしまう。ま、そのうちゼミでも使うであろうから、この作業も無駄にはならない(はず)。

・Tくんのシナノキの萌芽更新に関するデータ解析を進める。シナノキとオオバボダイジュが多かった林分を皆伐し、萌芽更新が可能かどうかを調べるという試験である。伐採した175本の幹に番号をつけて、シュート発生部位ごとに発生本数と最大シュート長を測定している。意外なことに、幹のサイズとシュート発生数には明瞭な関係がない。大きい幹を伐採すればたくさん萌芽シュートが発生するというものでもないようで、何がそれを決めているのかがなかなか掴みにくい。



・幹ごとの合計シュート数に及ぼす幹のサイズ(伐採幹の面積)と伐採高の影響をざっくりと見てみると、シナノキではどちらも有意になるが、幹サイズの方はほとんど意味がない推定値だ。伐採高は正の効果がある(が、バラツキはかなり大きい)。必ずしも小口から萌芽しているわけではなく、意外と下の方からの潜伏芽から萌芽しているようだ。一方、オオバボダイジュについてはどちらも有意な効果なしという結果。



・ところで、伐採前の状態では、オオバボダイジュの方がシナノキよりも複幹になっている割合が多かったのだが、幹当たりの合計シュート数ではむしろシナノキの方が多く発生している。これを見る限り、初期状態のシュートの萌芽能力に明瞭な種間差はないと考えた方がいいのかもしれないねえ。



・発生部位ごとの最大シュート長と発生部位の高さの関係を見てみると、シナノキでは発生部位が低いほど最大シュート長が大きい、という関係にある。オオバボダイジュでも統計的にはマージナルだが、同じ傾向と・・・。養分動態とかも関係しているのだろうか・・・ふうむ、興味深い。明日はいよいよ北海道へ台風上陸しそうな様子。無事に過ぎ去ってくれることを祈る。