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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ハイマツの海

2007-06-28 | フィールドから
・いよいよアカエゾマツ科研に関する現地調査開始。森林総研の北村さん、北大の飯島くんに加えて、同じく北大の城田さん、東北大の富田くん、に当スタッフという実に多彩な混生チーム。まず、前山湿地林にて枝の採取方法などを城田さんの意見を聞きながら検討。と、ここでロガーがセットアップされていないことが判明。ということで、ロガー設置はやめて山頂付近の2集団のサンプリングに集中することに・・・。

・登山道までは車で行くことに成功。ということで早速登るが、蒸し暑いせいか、いきなりばてる。途中の見晴らしのよいカーブ付近からアカエゾマツ矮生個体が出現するので、再び、採取方法、測定項目の確認。横目で風雪に耐え忍ぶアカエゾマツたちを眺めつつ、この辺でサンプリングするかという大体の感じをつかむ。

・バテバテになりつつ山頂へ到達。大雪山系は雪渓が残っていて、実に雄大な眺め。と、山頂付近の集団ではなんだかアカエゾマツの雌花が目立つことに富田くんが気がつく。低山帯では今年は絶望的な着花状況だと思っていたんだけど・・・。ということで、山頂ではどうせなら花がついている個体を選ぶか、という感じになる。



・アカエゾマツはもちろん風媒なんだが、雄花をよく観察していると虫がうろうろと集まっている。こうした高山帯では貴重な餌資源だったりするのかも・・・。案外、風媒だけではなかったりして。針葉樹ではあまり聞いたことないけど。



・いざ、サンプリングを始めると、過去のマイクロサテライト用のサンプリング個体のピンクテープが眼に入り、ついそこまで行ってみたくなる。しかし、この付近ではハイマツがわんさかと生えていて、ハイマツの海を泳ぐといった風情。この綱渡り的歩行に皆さん大苦戦されていたようで(当方もその一人だが・・・)、わずか20個体をサンプリングするのが実に大変であった。



・帰りがけに、今度は目をつけていた歩道沿いとそこから少し奥に入った個体をサンプリングしていく。標高差は100m前後だが、山頂とはまた明らかに違った個体の雰囲気となる。個体サイズや樹形も結構違うので、想像以上に環境差は著しいのであろう。混生チームでは、それぞれが違う観点から高山帯やアカエゾマツたちを見ているので、今までには聞いたことのないような新鮮な意見が聞けた。これをどうやって具体的な研究項目に活かしていくかが問題なんだが、ともかくこうしたベクトルの異なる意見は貴重だ。

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