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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

焼松峠の変貌

2006-10-03 | フィールドから
・岐阜大学のTさんを迎え,1年ぶりに焼松峠の調査.今回は,実生の調査は行わず,各プロットの含水率,土壌硬度などを測定する.平坦部と斜面部を比べると,土壌硬度は明らかに斜面部が低い(当たり前!?).水分はというと,なかなか明確な関係はないが,林縁が若干高く,また下草が繁茂しているプロット右下部分は明らかに高そうだ.Tさんは,今年もプロット内の植生調査を継続しつつ,各植物種の最大高などを測っておられる.



・このプロットには,2002年から毎年調査に来ているのだが,昨年くらいから様相が一変している.最初は土壌が露出し,これからどうなってしまうんだろうという感じだった.それが今では,実生も下草も繁茂し,プロット右下部のタラノキはついに背丈を越えた.全体的に,プロットの周囲に密生しているササがあっという間に回復して,ササに覆われてしまうのではないかと心配していたのだが,ササの植被率は相変わらず10%にも満たない程度だ.昨年に定着したウダイカンバ,イタヤカエデ,ヤチダモ,シナノキなども結構たくさん残り,多様な樹木の更新が起こりつつある感じ.昨年よりも,若干,イタヤカエデが増えただろうか・・・.



・今回は,当方の調査は楽なので,写真撮影などしつつ,気ままに歩き回る.普段,こうして余裕をもってプロットにいることは少ないので,非常に有意義だ.焼松峠には,ウダイカンバの種子を花咲か爺さんのように直播したところと,全くの放置したところがあるのだが,特に直播したところがウダイカンバが多いというわけではない.かように,森林への直播というのは難しく,どんぐりの直播(しかも,しっかりと埋め込むやつ)以外ではほとんど失敗しているのではないか・・・.

・こうして失敗した例というのは,なかなか論文にはならないので,いつの時代にも失敗が繰り返されることになってしまうわけだ.今回の焼松峠の場合,10年後に再調査して,直播の失敗ということを定量的に示してみたいと思っている.