一生

人生観と死生観

歴史巡礼の道

2010-11-05 20:41:35 | 歴史
11月5日 晴れ
 仙台より帰る。11月3日に新仙台歴史巡礼道の行事を行った。今年の目玉はかって『三太郎の日記』で若者の心をとらえ、人格主義の生き方を世に訴えた阿部次郎の記念館訪問であった。仙台市は伊達政宗以来400年の歴史があるが、最近の約100年に東北大学が果した役割は大きく、これを客観的にとらえることが必要になっていると私は考える。東北大学の百年史は既に完結しているが、それとは違った視点で片平キャンパスやその他の建物や施設を眺めたらどういうことになるか。歴史には正史のほかに外史というものがあるのだ。有名なものは頼山陽の日本外史だ。この本は幕末の志士たちに大きな影響を与えたといわれる。私は大きな事を言うのではない、ささやかでも外史を綴る思いで記念物の建物などを歩いて見、記念像に触ってみたらどうかと言っているのだ。
 記念館は東北大学の文学部付属の研究所であったものを現在の記念館に改めたものだそうだ。外観はシックな白い建物で、今は遠くなった昭和の雰囲気を表すものであった。内部はどちらかといえば質素なものであった。余計なものは排除し、ひたむきに真理を求める阿部の姿勢が窺われた。人格主義を掲げて多くの真面目な若者に訴えた阿部次郎の意志と苦悩は説明者の丁寧なお話である程度分かった。それに阿部次郎のお孫さんの小幡明子さんが補足してくれて大変ありがたかった。参加者は十名程度であったが有意義な会であった。
 この会を来年もという希望が出た。何時まで続けたらよいものか。考えあぐねるときにふっと良い知恵が浮かんでくるのが今までの例であった。成り行き任せのようだが、次の機会にはまた実行できるよう努めよう。