一平のペンとギター

僕らしい小説を書き、僕らしい歌をうたう、ぞ♪、ペンとギターの一平です。ギター弾き語りと小説書きの二刀流。

一年を振り返って-「人」:(8)二人の少年。

2007-02-10 03:11:31 | Weblog

         

      ○ 二人の少年 と「シェフ」♪

 

 女の人が持ってきたくれた麦茶を、一気に飲んで、フーッと、一息ついた。終わった、やった、と思った。ギターケースに、譜面をいれ、ハーモニカをいれ、パチンと、フックをした。宮田さんや教会の皆さんに挨拶して、さあ、帰ろう、と思った。とその時、低音の、太い、ホルンの音が、ドア越に聞こえてきた。

♪ボボボボボー ボボボボー ボボボ ボボボ ボボボボボー

「夢見る人」のメロデイーだ。 

 あれっ!?

 そうか・・・・。これから、宮田さんの、後半の演奏だ、った。僕は、前半と後半の間の、飛び入り出番、だったことを思い出した。

 僕は、部屋から、そおっと、出て、礼拝堂の一番後ろのほうを見ると、前半に、坐っていた席、が、そのまま、空席になっていた。僕は、また、その席に坐った。

 宮田さんが、おおきなカタツムリを抱えて、ほっぺを膨らませて、いる。♪ボボボボボー、、 夢路よりー、、Beautiful dreamer ....♪、の曲が、低音の太い音で、ゆっとり、流れている。

 宮田さんが立って演奏いている講壇が、すぐ、眼の前の、手の届くところにあった。こんなに、近くだったっけ? 

 ホテルの八木さんから財布を受け取って、自転車を飛ばして、そおっと、礼拝堂に入ってきて、腹の底に響いた、アメイジング・グレイスのメロデイー、を思い出した。  

 あの時は、あの講壇が、高くて、遠くにある山のように見えた,のに・・・・。こんな、近くだったっけ。その講壇で、僕は、さっきまで、弾き語りを、していた・・・、シンジラレナーイ! 

 僕は、全くの一観客に戻って、宮田さんの、ホルンの吹奏に酔いしれた。生まれて始めて聞く、「ホルン」コンサート。それも、超一流の、奏者の、だ。 聖書に出てくる、「角笛」の響きは、この音、だそうだ。ということは、2000年以上前の人も、この音を聞いていた、ことになる。なんだか、不思議な気持ち、になって、僕は、礼拝堂にいた。

 エルガー、の「愛のあいさつ」、サンサーンス、の「ロマンス」は、可愛い、メロデイーだった。ポップスっぽい、どこかで聞いたことがあるような、懐かしい響き、だった。

 「花の街」は、僕が知っている曲だった。

 ♪七色の谷を越えて 流れて行く 風のリボン

  輪になって 輪になって・・・・・・・・・・・・・・・

 この歌詞が、戦争の焼け跡、瓦礫の山と焦土に見た幻想・・・だったとは?とすると、焼け跡、焦土に立って、頭によぎってくる、焦土になる前の街、の幻想を、歌っているんだ・・。それにしても、そんな感じが,しない曲だ。いつか、PTAのお母さんコーラスの指導をした事があったが、その時、歌ったような気がする・・。そんな詩、とは知らず、、。

 「アレルヤ」。 

 アンコール、の「白鳥」

の演奏で、宮田さんの吹奏、は終わった。

 礼拝堂の時計は、4:00pm、を指していた。

 あの朝方が、今朝、とは思えなかった。何日も前のように思える。眼が覚め、二日酔いで、顔が、ぽっ、ぽっ、ほてって、チェックアウト寸前だった。 ふと、「教会へ行って、祈りたい」と思った。

 そして、今、こうして、全く想像もしなかった時間を過ごした僕が、ここに、いる!

 ギターを持って、後片付けをしている牧師さんや教会員の皆さんの、「ありがとうございました、気をつけてお帰りくださいね」の言葉に、僕は、ギターを片手に、お辞儀を何度も繰り返して、最後に、宮田さんに、パソコン手作りの名刺-【小説家志望一書生、山中一平・ブログ「一平のペンとギター」住所 横浜市・・・・・Tel 332・・・・】を手渡した。宮田さんも、名刺をくれた。

 神奈川県、大和市・・・・・。なんと、僕が住む町から、電車で30分ほどのところにお住まいだった。そして、○○キリスト教会会員、ギデオン協会、・・・、とある。その教会へ、僕は、20年ほど前に、一度だけ、行ったことがあった。また、ギデオン・・とは、無料で、聖書を配布する活動をしている協会だ。ホテルや学校に。僕も、昔、自分の学校に、ギデオン協会から聖書を取り寄せ、全校生徒に配ったことがあった。

「稚拙な弾き語りで、失礼しました。お役に立てて、嬉しく思います。ありがとうございました」

「いやいや、素敵でした。ありがとうございました。わたしも、今日、新幹線で、帰ります。気をつけてください」

 今度は、僕が右手を出した。宮田さんも、右手を出して僕の手を握った。宮田さんの、涼しい瞳が、優しかった。礼拝堂を出て、教会の玄関で、僕は、靴を履いていた。

背中に人の気配がして、僕の肩を、ポンポン、軽く叩く者がいる。

振り返ると、

 少年が、二人、

並んで、僕にお辞儀をしている。

「あのー、音一平さん。ぼく、あの、シェフ、の歌、ラジオで聞いて、知っています。大好きなんです。この前、テレビで、工藤慎太郎さんを見ました。今日は、シェフが聞けて、ほんとによかったです。」

 と言った。その言葉のしゃべり方が、どこか、ちょっと変だった。口の動かし方が、のろい。が、それとは逆に、眼の玉は、クルクル早くまわっていて、光っている。

 横に立っていた、少し背の低い少年が、「ぼくも、、、。」と付け加えた。

 思いもよらぬ少年の言葉。

 僕は、びっくり仰天、驚愕した。慎太郎師匠と、こんなところで、出会えるなんて・・・♪ 

 慎太郎師匠、師匠の歌を、北上の町の少年がラジオで聞いて、その心に沁み、フアンになってますよ。。。♪

 二人の少年と、握手をして、教会を出た。青空にくっきり見えた白い十字架が、夕日に、赤く染まっていた。僕は、「シェフ」を歌ってよかった、と思いながら、自転車のペダルを、ホテルへ向けて、漕いだ。

                                                                         おわり。

 

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