命
入道雲、灼熱の太陽、照りつける強い日差し。
ジージー、ミーンミーン、 セミの声。
うれせーっ!!
あつーっ !!
つい、最近まで、セミの声が耳障りだった。
しかし、
今、いとおしく聞こえる、のだ。
蝉は、幼虫の時期を土の中で過ごす。
長いのは、なんと、17年。短くて5年。
成虫になって、地上に出てきて、とんだり泣いたり生きる時間が、一か月。短いのは、1週間。
という、「蝉の一生」を知ってから、なのだ。
ジージー、ミーンミーン、ジージー。
けなげで、いとおしい。泣きたくなるほどだ。
僕に、生きろ、頑張れ、って、エールを送ってくれてる。
ジージー、バーバー、って聞こえる。
それに鳴いているのは、オスだという。
メスは鳴かない。オスと交尾すると死ぬ、という。メスは、一度しか交尾しない。
あの、ジージー、ミーンミーン、は、オスがメスに求愛している声だ。
必死に、種の保存のために、鳴きしきっている。
ああ ! 蝉君、蝉子さん、頑張れ、ありがと。
そんなある日、僕は、こんな句を作った。
「 白い雲、一瞬の涼風 蝉しぐれ 」 (一平)
今日、8月15日は、終戦の日。72年前。
僕が、母の胎内で10か月すごし、地上に生まれて、4か月余り、の頃。
新聞の片隅に、こんな句が載っていた。
「 降状の日を知らぬまま奪われし命 思え、蝉鳴きしきる 」 (栗木京子)
蝉の声が、こんな風に、京子さんには聞こえたんだ・・・・・・。
ジージー、ミーンミーン、は、
今、僕には、耳障りどころか、鳴きたくなるほど、いとおしい、求愛の歌声だ。
♪♪♪♪♪♪
音一平作 2017年 8月15日