煙草を買いに、近所のコンビニへ出かけた。
道すがら、ふと、身震いした。
顔に当たる風が冷たーい。
体の芯に浸み込む底冷え。
冷てー!寒ぶー!
手が痛い。冷たさで、ちくちく刺されるようで痛い。
ポケットに両手を、思わず突っ込んだ。
ああー、手袋をしてくるんだったあ!
なんだ?
この冷たさは!!??
僕は、少年時代の6年間を、
北海道の雪の深い鉱山村で育った。
夜、近くの共同浴場に行く。
帰途、持っていた濡れたタオルが、
パンパンに凍ってしまう。
家々の屋根からは、
刃のような、つららが幾本も、垂れている。
きっと
零下5度とか10度の気温だった、と思う。
しかし、冷たい、と感じたことがなかったのだ。
記憶にないのだ。
もう、70年も前のことだ。
昨日、たばこを買いに出かけて、
感じた「冷たさ」
は、あの少年時代にも感じたことがなかった・・・。
いったい、なんなんだろう。
≪ 地球温暖化 ≫
のせいだろうか?
それとも。僕が、
≪ 老いた ≫
せいだろうか?
深い雪
少年の僕