金木犀の香り

朝、通勤途中に通る神社に金木犀の木がある。
１０月になって、ぱーっと花が咲いたと思ったら何とも言えないイイ匂いを漂わせ始めた。
視覚的に見つけられなくても、嗅覚を通じて「金木犀がある」と気づくことが出来るから人間の五感はすごいなあと思う。

この匂いを嗅ぐと実家に植えてある金木犀とダイビングで入院していた愛媛大学付属病院を思い出す。
退院したその日、２ヶ月ぶりに外の空気を吸って生気を取り戻したときに、「ぷ～ん」と病院の玄関先に咲いていた金木犀。
まるで「退院おめでとう」と元気になったことを祝福してくれた香り、のようだった。

この前、高齢者のセッションでセラピストがリンゴを持って来て、１人１人に触ってもらったり、匂いを嗅いでもらい五感で感じてもらった。
私がある１人の方の鼻に近づけると言葉にこそならなかったが、ニコッと笑っていた。
年齢とともに感覚機能も低下していくが、少しでもりんごの甘い香りを感じて、ハッピーな瞬間を感じてもらったのかなあと思ったら嬉しくなった。