本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

女流棋士会の分裂。

2007-04-12 18:32:18 | 囲碁・将棋
 女流棋士会が分裂 独立派、新法人設立を表明
2007年4月3日 東京新聞朝刊

 日本将棋連盟(米長邦雄会長)からの独立を目指す女流棋士による新法人設立委員会(委員長=中井広恵女流六段)は二日、「新法人を設立し、責任を持って将棋文化の普及と発展に努める」との声明を発表し、あらためて連盟からの独立方針を打ち出した。残留を表明している女流棋士との溝は埋まらず、女流棋士会の分裂は決定的になった。

 将棋連盟理事会は三月三十日、女流棋士五十五人に「残留か移籍(独立)か」の意思確認の結果、残留派が三十六人、独立派が十七人、無回答が二人と公表した。この回答を受け、独立派は全員参加での新法人設立は難しいと判断した。一方、残留派は二日付で連盟との連携などの窓口として暫定事務局(事務局長=谷川治恵女流四段)を設置した。

 女流棋士は一九七四年に誕生。男性棋士とは待遇面などで格差があり、自立の道を求め、昨年十二月に開いた女流棋士会の臨時総会で独立方針を賛成多数で決めた。

 ところが二月に入り、独立支援を約束していた連盟理事会が態度を変え、それに伴い残留希望の女流棋士が急増。独立を推進してきた女流トップの矢内理絵子女流名人が三月、設立準備委員を辞任し、足並みの乱れが顕著になっていた。

 今後、タイトル戦などは連盟主導で運営される見込みで、独立派は対局権利、資金源など厳しい局面に立たされそうだ。

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 2007.03.13 Tuesday【将棋】女流棋士独立問題における米長会長の発言
 (by author : 990)

 議論を呼びそうである。
 2006年3月8日の米長会長の発言のことである。
 以下、石橋女流四段のブログより抜粋する。
 米長会長との会談内容を藤森女流棋士会会長へ報告した書面である。

 将棋連盟応接室にて。米長邦雄将棋連盟会長・中井広恵・石橋幸緒

・そして今後、女流棋戦を増やすことはないとの事。自分達でスポンサーを探しなさい。
・連盟としてはあくまで、奨励会三段を抜けた者、及びそれに準ずる編入試験等をクリアした者以外、正会員として認めることはない。今後、女流棋士の立場向上はない。
・女流棋士現役47名(当時)は今後3つの選択肢を選んだほうがいいのではないか。
 (1)対局をして勝って稼ぐ人。
 (2)普及に専念して、対局はせずに稽古などで生計を立てる人。
 (3)他の職業を見つけ、女流棋士をやめる。もしくは肩書きだけを持っておく人。
 以上を各人どうするのかを打診してくれ。

・地方棋士は対局料より交通費の方が高いのだから、勝てる自信のある人だけで自費で対局に来たほうがよい。
・今後一切の不平、不満、苦情、要望は受け付ける気はないから言うな。
・だから上記に基づいて女流棋士会は解散せよ。及び女流棋士室の撤退を連盟から要求する。
・連盟職員に手合を付けるか、普及の仕事以外の女流棋士会に携わる仕事はさせない。(親睦会や積立金の帳簿など)
・根本的に女流棋士には普及活動だけしてほしい。(トップ10くらいは仕方ないから将棋させば?というニュアンス)
・まぁ、男性棋界だって食べられなくなってきているので、これ以上女流棋士に関わることはイヤ!
・記録係は付けたければ勝手に付ければいい。棋譜の二次使用は可。
・結論からすると女流棋士は独立しなさい。その際、今の普及の仕事と契約スポンサーは渡してあげるから(経費2割は連盟で引いてから) 
 まぁでも現状じゃあ独立は無理でしょう。

 以上、全て米長会長が直々に話した内容をそのまま書きました。
つきましては2006年4月14日(金)に臨時総会を開いて頂けば、米長会長が公の発言として話をしに来て頂ける約束をしました。

<2006年3月8日 21時31分 藤森奈津子女流棋士会会長へ報告したFAX文面> 

 石橋女流四段にとって、今回のこの公表は苦渋の決断であっただろう。
これにより、彼女の立場が苦しくなることが想定されるからである。
しかし、彼女の勇気ある行動を讃えたい。
女流棋士の置かれている現状を少しでも改善したいという気概が感じられて良い。

 石橋女流四段を、そして女流棋士会を応援したい。

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 *以上は『TOEIC990点を目指す』さん(07/03/13)から引っぱって来た日記だから、私はほぼ一年前の記事を孫引き引用したことになる。

 石橋幸緒女流四段のサイト『ごきげん・DE・ブログ』へ行って見たが、まだ「原文」は見つからない。あちゃ。
 代わりに?07/02/24付『女流棋士独立へ向けて』(『即席の足跡』)という記事を見つけた。この人は「アンチ米長」のようだなと思った。w

 *女流棋士新法人設立準備会ブログへ行くとこの間のやりとりの詳しい経緯を知ることが出来る。

 *他方将棋連盟残留派には『女流棋士会公式ホームページ』というHPがあるが、これは分裂以前の状態を保持して様子見をしているような感じである。
 割って出た1/3程の分離・独立派に対して「うまく行かなかったらいつでも戻って来ていいのよ♪」と門戸を開けているということだろうか。
 「除名」などという荒っぽい手段は今とっていないようである。

 『さわやか日記』が将棋連盟・米長会長のブログであるが、この問題をどこで詳述しているのか私はまだわからない。「公式声明等で充分」というスタンスかも知れない。

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 *将棋連盟というのは棋士の集団であって、囲碁の『日本棋院』のように早くから企業経営の才に長けた専門家を外部から招聘するなどということはせず、何から何まで将棋指しだけの知恵と人材で連盟を運営して来た。丸田九段や大山名人のように、将棋も強いが数字にも滅茶苦茶強い人が会長を長らく勤めていたことも関係しているのだろうか、「自分たちだけで全部出来るんだ」という自負があったのだ。が、これは一長一短だろう。

 あるいは「囲碁界はさばけていて、将棋界は泥臭い」という言い方も可能なのかも知れないが、どちらかに甲乙を付けるという問題ではない。
 ただ彼らは基本的には青春の一時期将棋が抜群に強かったというだけの『一言居士』の集まりであって、言ってみれば将棋連盟は『職人ギルド』的色彩の強い、今時珍しい団体であると私は思う。
 阪田三吉も升田九段もそうだったが、彼ら将棋指したちはいずれも強烈な個性の持ち主ばかりで奇人変人も多いのである。w

 そういう彼ら『一言居士』たちが賛否相半ばする懸案を抱えて総会を開けば、議論が沸騰~紛糾するのは避けがたいことだろうから、『現執行部=米長・中原体制』が名人戦や今回の女流独立等重要問題で右へぶれ左にぶれてよたよたするのもまた止むを得ないのかも知れない。

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 *囲碁界には昔からあった『トーナメントプロ』(←プロ同士の闘いで賞金を争う)と『レッスンプロ』(←専らアマ相手の指導と普及に努める)との役割分担が将棋界で始まったのはほんの数年前である。06/03/06の米長発言はこのことを言っている。

 今の時代、強くなったのは何もコンピューターソフトだけではなく、プロと比して遜色のない『情報の公開・流布』を受けて、アマ棋界も大変なレベルアップを遂げている。「勉強しないプロ」(←そんな人がいるとは思わないが)や「(年齢的に)峠を越えたプロ」は、言ってしまえば「時代についていけなくなりつつある」のだ。

 以前述べたが、トーナメントへのアマの参入については、将棋連盟は自分たちだけの利権を囲い込み執着するのではなく、もっとフレキシブルに門戸を広げるべきであるというのが私の考えるところである。強いアマにはどんどんプロを負かして欲しい。私たち将棋ファンは強い将棋を見たいのである。(石田九段のような名解説も無論不可欠だが。w)

 いや、だが女流将棋のファンは「そうじゃない」と言うかも知れない。「若くて綺麗な人だったら将棋の強い弱いは関係ない」と。
 でもゴルフの藍ちゃんや桜ちゃんは若くて綺麗なだけじゃなくてゴルフも上手いから文句のつけようがないよな。w 

 06/03/08の「米長発言」は女性を男性と同格に扱うというものでこれはこれで筋が通っているが、それならばこれと同じことを男性プロにも要求するのが公正公平というものだろう。男女間で具体的にどういう収入格差がある(あった?)のか知らないが、「将棋の普及のため(?)」という大義名分の下、段位級位を大乱発して「女流将棋」を育成~利用して来たのは将棋連盟と新聞社等各種主催団体であるのは間違いない。

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 *ところで囲碁界とりわけ関西では、1950年来『日本棋院関西支部』と『関西棋院』(←理事長は塩じいこと塩川正十郎だ。w)とに分裂していてその理由も交通費問題が主要因だったというのである。w
 今もって別段「統合」するという話もないようだから、私は女流の『分裂』は一向に構わないと思っているが、問題は「いったい17人ポッチでやっていけるのかどうか」という一点にある。弱いプロはトーナメントでは食べられないのだから、交通費どころの騒ぎではない。

 花よ蝶よと持ち上げて「独立」を煽ったかと思うと、その気になった彼女らが事前の各方面とのすり合わせ・根回しもせず突っ走ると、今度は一転「恫喝」して弾圧し分断を謀るなど、米長さんのやり方は冷酷でアンフェアだとは思うが、「弱者は去れ」という言い分は、そのことだけ取り上げれば私には全く正論に聞こえる。

 繰り返しになるが問題はいったい新聞社等スポンサーが付くのかどうか、ということである。将棋文化の普及や実戦指南などはわざわざプロの手を借りるまでもなく、毎日全国のアマ強豪が同じくアマ入門者・初心者相手に無償で行なっていることである。将棋という我が国の誇りある伝統文化を継承するのは選ばれたプロ棋士たちだけだと思い込んでいるのだとしたら、それは僭越な思い上がりと言うべきものだろう。

 さて、新女流団体が「財源をファンからのカンパに頼る」というのでは余りに根拠が薄弱である。
 例えば「残留組との対抗戦」という企画などはどうだろう?
 本部は当然関西に移して『名人位の箱根越え』がなるかどうかを女流同士が争うのである。w

 或いは囲碁のように様々な「国際棋戦」をやってみるのはどうか?
 欧米や中国で日本将棋が広まりつつあるということだが、まだまだ日本の男子プロに伍すだけの実力はないだろう。そこで何か中井さんたちが彼らに「胸を貸してやる国際棋戦」を企画すれば、これは受けるかもね♪

 いや、今は新聞社などよりwebの時代だからね、大手ブロバイダー等IT産業に売り込めば「新しいコンテンツ」ということで「願ったり適ったり」、運営に充分なお金を出して貰えるんじゃないだろうか? そうなれば将棋連盟も再度方針転換して女流棋士会の一本化を急ぐことになるかも知れない。甘いってか?ぁそ♪

 まあ、やるだけやって駄目だったらまた混ぜてもらえばいいんじゃない?
 Take it easy.
中井さん、ガンバよ♪ ぷいぷい。

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(May15,後註:)
女流棋士17人が独立、新法人は「日本女子プロ将棋協会」

 将棋女流棋士の独立問題で、中井広恵女流六段(37)ら17人の女流棋士は30日、東京都内で新法人の設立総会を開き、日本将棋連盟(米長邦雄会長)から独立した。名称は、公募によって「有限責任中間法人 日本女子プロ将棋協会」と決まった。
 総会には西村一義・将棋連盟専務理事も出席。新法人は連盟と友好的な関係を保つことで合意しており、既存の公式戦には、連盟に残る39人の女流棋士とともにこれまで通り参加する。

 新法人の代表理事就任が決まった中井女流六段は記者会見で「女流棋士の自立、女性への普及を一致団結して進めたい」と話した。
(2007年5月30日19時15分 読売新聞)


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2 コメント

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TBありがとうございました。 (Dancho)
2007-04-13 23:58:22
goodmiwatyaさん、こんばんは。

TBありがとうございました。

朝日オープンや、名人戦が開幕した中、女流棋士独立問題は、連盟残留組と、独立推進組の2つに割れましたね。

次の「最善手」がいかなるものなのか…見守りたいと思っています。

独立組の新法人設立が、5月~6月頃との見通しが報道されました。

独立は独立として、「成功」して欲しいと願う次第です。

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

先ずは、お礼まで。
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コメント御礼。 (goodmiwatya)
2007-04-14 03:32:26
 そうですね、お互いの信頼関係さえ損なわれていないのなら、多少の揉め事はむしろあった方が活況を期待出来て好ましいのかも知れません。w

 食べて行かれないのなら職業としては成り立たないわけで、そこのところをどうクリアして行くかと思っていましたが、5~6月に旗揚げとのことですから何とか目途は立ったのですね。

 あっと、それからDanchoさんのところへ行かれる方はお名前をクリックしても駄目です。w

正:http://blog.goo.ne.jp/dancho_1969/
誤:http://blog.go.ne.jp/dancho_1969/
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