本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

真剣士の話。

2014-04-16 12:29:17 | 囲碁・将棋
 今日もまた囲碁・将棋の話であるが、《真剣士》とは「真剣勝負をしている人」という意味で、つまり刃物を持って戦う人ではなく《賭け将棋》で小遣い稼ぎをして食べている人のことを指すのである。囲碁にも真剣士はいる。勝負事であり賭け事だから、いつも勝つとは限らないわけだが、そんなことではなく「これだ!」と睨んだ当面の相手から有り金全部を(?)毟り取ってしまうのが最終目的だから、相手をその気にさせ賭け事にのめり込ませるために、最初はわざと負けたりするのも勝負師の重要なテクニックの一つである。囲碁だと《目碁(めご)》と言って《1モク10円》とか《1目幾ら》で賭け碁をすることが多い。この場合など最初のうちは2~3モクとかの小差でわざと負け(自分が熱くなっていると相手に思わせておいて)どんどん深い高額な勝負に引き込み、最後成功すればその相手から大金をせしめることになるわけである。

 なぜ私がこんなことを知っているのかと言うと、最初大阪に来たとき大阪では有名な或る囲碁・将棋の道場で短期だったがアルバイトしていたことがあるからである。当時そこの店員の一人に賭け碁で小遣い稼ぎをしている私と同年代の青年がいた。沖縄出身という彼はむしろ真剣勝負をしたくてそこの店員に収まっていた節が窺われた。私は賭け碁・賭け将棋は一度もしたことがない。遊び半分で誘われることは何回もあったが全部断っていた。あれは厳密に言ったら(公営ギャンブル以外のギャンブルだから)犯罪になるのだろうか? 賭け麻雀は全国どこでも公然と行われているのに、ヤクザ屋さんたちが御開帳する賭場は取締りの対象となったりするので、私にはその辺の事情はよくわからない。
 その道場のお客さんたちにも《真剣士》は何人もいた。将棋の方はひっそりとやっているのであまり目立たなかったが、囲碁は常連さんたちが毎日《賭け碁コーナー》みたいな溜まり場を形成して大っぴらに賭け碁をしていた。店員の彼も非番のときにはこれに加わっていた。沖縄はもともと囲碁の盛んな地域で、彼はアマ五段ということだったがその彼が勝てない相手も多数(?)いた。上には上がいるものである。私は碁はアマ5級くらいの実力だったので、一度だけ店が引けた後彼に碁を教わったことがある。どういう手合いだったか忘れたが、完全に遊ばれてしまったことだけは覚えている。

 私は田舎に18年、東京に18年、それから愛知県に10年くらいいただろうか、今はこの大阪に14~5年は居る計算になるが、東京を去る夜に池袋の永井英明さんの道場に行ったのを最後に、その後は殆ど将棋を指していない。
 ただ一度だけ、兵庫県や大阪のアマ名人戦地方予選に何回も出場しているという人と、好天の屋外で何番か教わったことがある。場所は天王寺公園の一角だったと思う。四~五番やっただろうか、私には到底勝てる相手ではなかった彼が、最後にわざと(!?)負けてくれた。そのとき私は、この人は《真剣士》をしていたことがあるのではないかと一瞬疑った。今はどうなっているのか知らないが、昔は県予選で優勝すればアマのトップクラスで、アマ五~六段はあるとされていた。彼もそのくらいかそれに準ずる実力はあったと私は思う。そして彼こそが、私がこれまで対戦したアマの中では一番強い相手だったと思う。いや、もっと強い人もいたがそれは平手ではなく角落ち将棋だった。中野将棋道場の故南川さんだ。

(追記4/17)南川さんについて調べようと思って検索にかけたらYahoo!ゲームの項に以下のようなQ&Aがあった。 ↓

タイトル:歴代のアマチュア将棋名人の初期の方々は、ほとんどがいわゆる 「真剣師」だった...


質問者:ginzanomariaさん回答数:1 閲覧数:244.

歴代のアマチュア将棋名人の初期の方々は、ほとんどがいわゆる
「真剣師」だったという話を聞いたことが有りますが事実でしょうか?

質問日時:2012/10/29 15:36:10

解決日時:2012/11/4 22:21:45

ベストアンサーに選ばれた回答

回答者:sgx4500さん回答日時:2012/10/29 22:53:34.

歴代アマ名人が以下にあります。
http://www.shogi.or.jp/taikai/ama_meijin/yuusyou.html

真剣師の一覧がここにあります。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~kikikirinnoki/taxpayers/gambles/shinkenshi-order.html

見比べていると、以下の期のアマ名人が真剣師です。
1期:坪井定一
2期:北村文男
5期:平畑善介
6期:若林久雄
14期:南川義一
18期:加賀敬治
22期:関則可
34期:小池重明

最初の6期に限れば、67%が真剣師ですね。

真剣師の中には、アマ名人を取ると相手がいなくなる、とのことで
あえてアマ名人戦に出なかった人もいるようです。

質問した人からのコメント:

すごい歴史があるんですね。
もう時代が替わっているので「真剣師」そのものが
存在していないのでしょうね。
詳しく教えて頂き、有難うございました。
大変参考になりました。ご回答に感謝いたします。

次回のつたない質問にもご教示ください。
お待ちしております。

sgx4500 様へ
コメント日時:2012/11/4 22:21:45

以上である。南川さんが真剣士だったとはこの歳になるまで知らなかった。w


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