フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

夏の記憶と残像

2019-10-06 22:17:24 | 美しく生きるという事

パプリカという歌がはやっていて、巷の子どもたちは夢中になって踊っているようです。

私は大人ですので、踊りに夢中というより、

その歌詞や世界観に浸っています。

大人になった、昔の子どもたちが出会ったのは、

自分の生き霊ですね。

子どもたちは楽しそうに遊んでいて、いつの間にか仲良くなった子どもは自分なんですね。

大人になって懐かしくなってその場所を尋ねると、相変わらず子どもの姿をした自分がいました。

 

こないだ近くの公園を散歩していたら、向こうから男性と男の子が歩いてきました。

男の子は野球のユニフォームを着ていて、きっと練習からの帰りと思われます。

男性は男の子に話しかけていました。

「お父さん……するから……」はっきりは聞き取れませんでした。

なんか、優しい言い方でした。

男の子は、肉まんだかあんまんだかをほおばっていて、お父さんの話なんか耳に入っていない様子でした。

若いお父さんでした。

このお父さんはついこないだまで少年だったはずです。

自分がユニフォームを着て練習に行っていたのです。

そしてお父さんと一緒に家に帰ったのです。

それが、今は自分がお父さんになって、息子におやつを買ってやり、一緒に家に帰っているのです。

このお父さんはきっと不思議に感じているでしょう。

こいつは俺だ。俺がおやつをほおばっているんだ。

だけど、自転車を押しているのは自分でした。

俺はいつこんなに大きくなったんだ?

自分が子ども時代の自分とサヨナラするのはきっとさみしいことでしょう。

 

だから、会いたくなります。

そこにいたはずの自分に会いたくなります。

だからみんな会いに行くのです。