フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

オババ終活す

2018-10-08 21:21:10 | 美しく生きるという事

まだ早いですが、手の空いているときに少しずつやろうという気持ちにはなっているんで。

だっていつ死ぬかわからないでしょう?

残った人が少しでも困らないように身の周りの物を整理したいんです。

引き出しをあけると出てくる出てくる。

子どもたちの使ったマジックペンとか、いつ誰がどこでもらったんだか分からないボールペンとか。

あ、これは仕事で使おう。

ファックス台として買った小さな整理ダンスは、

下の扉を犬がかじって片方無くなってしまったのでもう処分したい。

だけど、引き出しを取り出して中身を確認していると、

このタンスを買った時の事を思い出して胸がつまってしまう。

あーあ、こんなんじゃいつまでたっても終わらないよ。

誰が見てもどこに何があるか絶対に分からない私のテリトリー。

生命保険の連絡先とか、それはメモにして壁に貼ってあるけれども、

預金通帳や印鑑、暗証番号などは分からないでしょ?

絶対使わないのに、どうして捨てられない?

だんだん腹が立ってくる。

いるいらないの判断が出来ないから!

 

オババの家の近所には、人が住まなくなった家が何軒かあります。

家の中にはまだ物があるようです。

よく、身近な人がなくなると、

『見えなくてもそばにいるよ…』などと言いますけど、

幽霊はあなたのそばにいるかもしれないけれど、物を片付けてはくれません。

そのままです。

庭なんかひどいもんです。草ボーボーです。

ああ、そうだ、オババの家にもほんの少しの庭がありますが、

こまめに家の周りを歩いて、雑草の芽が小さいうちに摘んでしまうのですが

私がいなくなったらそれをやる人がいないので、雑草伸び放題。

うわー、考えただけでもいやだ!

 

死んだら、忘れられたい。まるでいなかったみたいに。

 

コメント (1)
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