フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

罪な男

2018-06-11 21:58:03 | ショートショート

とある男がいた。

この男、とりたててハンサムなわけではない。

目がつりあがっていて、色が黒いので少し怖く見える。

鼻が大きくてそれが彼のコンプレックスである。

しかし、にかーっと笑うととても可愛い。

話している最中にそれをやられると、きっと誰もが彼の事をいいやつだと思い込んでしまうだろう。

 

さて、とある女。

その女は先の男とさる場所で知り合い、話し込むうちにその笑顔の虜になった。

その女は先の男を飲みに誘った。

『ちょっと相談があるんだけどさ』

男は女と飲むのは大好きだったのでホイホイ誘われるがままに出かけていく。

女は相談を持ちかけながら男の目をじっと見る。

にこにこと笑いながらうるんだ瞳で彼を見つめて、冗談の中に本音を滲ませて、

酒を進めていく。

何の本音だろうか?

『私はあなたを私に惚れさせるわ!』

 

女とはなんと愚かな生き物だろうか。

酒が入れば何でも言っていいのだろうか?

酒のせいで「私のことどう思う?」と言っていいのか?

酒のせいで「ついキスをしてしまったの、あなたが素敵だから」と言っていいのか?

なんでも酒のせいにしてはいけない。

女は素面で勝負するべきである。

なぜなら、女が一生懸命男のことを落とそうとしても、

男は眼中にないからである。

男は素面で「あなたのことが好きよ」と言う女が好きなのだった。

男は思う、

俺に駆け引きは効果ない。

俺はストレートが一番好きなんだ。

「俺の事が好きなら好きとはっきり言え!」

世の中残念な女が多いな、と男はため息をつく。

 

コメント (1)
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