よねの備忘録

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セシウム花粉

2012-02-10 06:46:53 | 医療の話

*病院の広報誌に原稿を依頼されました。
  このエントリーをワードにおとして、原稿にします。

「セシウム花粉」

今年の春はスギ花粉にセシウムが付着した、セシウム花粉が問題になっているでしょう。
原発事故で放出された放射能(以下、放射線同位元素と表記します。)の
9割近くがヨード131、1割近くがセシウム137、数%がその他となっています。
ヨード131は、半減期8日。甲状腺で主に取り込まれ、甲状腺がんの原因となります。
チェルノブイリで問題となったのは、小児の甲状腺がんの増加で、他のがんの増加はありませんでした。
20113月以降、ヨード131の増加は検出されておらず、現在、原発からの新たな放射線同位元素の
放出は、ほぼないとしてよいでしょう。
セシウム137は半減期30年。半減期が長いので、検出が続くのです。
ヨード131との違いは、甲状腺など特定の臓器へ集中することがない点です。
特定の臓器への集中がないから、ある臓器への内部被爆線量が小さくなります。
チェルノブイリで甲状腺がん以外の増加が検出されなかったのは、そのせいです。
統計学的に有意差が検出されないからといって、ゼロではないだろう。被爆などゼロでない限り
とんでもない。こういった「ゼロでないから危険」論が優位になっている印象があります。
原発事故以外にも、日本人はかなりの被爆をしています。X線検査など医療被曝、飛行機に搭乗したときの
宇宙線、食べ物に必ずふくまれるカリウム40などの放射線同位元素などです。
これらの被爆は絶対に避けられません。セシウム花粉で被爆するであろう線量から考えると、
騒ぎすぎの印象があります。
甲状腺機能亢進症などの検査(シンチグラム)で服用するヨード131の量は、730万ベクレルです。
現在、食物で問題でなっているセシウム137は、食物1kgを毎日摂取した場合の量ですが、
数百ベクレルですから桁が違います。甲状腺シンチグラムは40年以上の歴史があります。
セシウム137は、半減期が長いのですが、人体の代謝活動により体外へ排泄されます。
体外へ排泄されることが報道されていないのは不思議です。
チェルノブイリで甲状腺がん以外に問題となったのは、子どもの情緒問題でした。
避難による環境変化や被爆への不安、これらが親の情緒不安定につながり、子どもの情緒発達の
障害になったのです。
政府は説明責任をはたしていないし、メディアは被爆の不安を煽りたてる。
子どもの情緒不安を増大させないか心配です。

コメント (4)
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