ジャックハマー

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不条理サウンドノベルの雄

2004年10月12日 | ゲーム
火曜日のテーマは『ゲーム』です。
サウンドノベルシリーズも3回目、今回ご紹介するのは、幻のク○ゲーとも一部でささやかれるゲーム。その名も、

『黒の十三』機種:PS メーカー:トンキンハウス 96年発売

です。
このゲームは非常にマイナーです。あの新本格派の雄、本格ミステリ再興の旗手・綾辻行人が監修し、作品まで提供しているというのに全くの無名です。
なぜなら、このゲームはクソ・・・じゃなかったバカ・・・でもなく、世にも珍しい異色作だからです。
なんとサウンドノベルなのに分岐が一切ないという、かつてなく斬新なシステムなのです。

しかし分岐はありませんが選択肢はあります。
どういうことだか解るでしょうか。
物語の途中で3択が出ます。そのうち正解は1つ。もしも間違った選択肢を選んでしまったら・・・
即座にゲームオーバー
なのです。

しかもこの選択肢がクセモノで、どれが正解か推理できる要素は全くなく、単なる勘と運にすべてがゆだねられます。
そして万が一(というか三が二)選んでしまうと出てくるバッドエンドが壮絶。それまでのストーリーとは全く関係ない、テキトーな結末が付けられ、むりやり幕を閉じます。
一例を挙げます。

牛乳を買った→下痢で死んだ

買い物に出た→車にひかれた

眠った→朝になった

目薬を買えなかった→充血した

ものすごいなげやりです。
特に「充血した」がすごすぎます。こんな一文見たことありません。もうこれはまぎれもなく文学を超えちゃってます

なぜこんなことになったかという理由はあるのですが、説明すると長くなるので、興味のある方は検索で探してみてください。正直、ビックリしました。
で。
散々なことを言ってきましたが、この作品、つまらなかったかというとそうでもなく、僕はけっこう好きでした。
収録された13話はそれぞれに味わい深く、7年経った今でもストーリーを覚えていたりします。先月読んだのに内容を忘れてしまうようなミステリよりは楽しめるのではないでしょうか。なにを血迷ったのかベスト版が出てるし、今なら安く買えるし。
特に「ラミア」と「羽音」はある意味、テレビ放映不可能なものすごい物語ですので、読んで(やってとは言えない)みる価値十分です。
「ラミア」なんてひょっとすると和製ホラー史上最恐かもしれませんし。

最後に、まずいないとは思いますが、このゲームをやってみたいと思った方に1つアドバイスを送ります。
「12話目まで終わると13話目しか読めなくなって、しかも13話目を読み終わるとデータが初期化される仕様になっているので、お気をつけください」