~あらすじ~
世間を騒がす「連続輪切り殺人」。その被害者は7人にのぼっていた。
だが犯人の東野はとまどう。最近立て続けに発見された3人は殺した覚えがなかったのだ。
一方、エログロマンガ家の駕籠真太郎は、連続輪切り殺人を題材に、叙述トリックを用いたマンガを描こうと思い立ち……。
~感想~
「叙述トリックをマンガで用いたらどうなるか?」をテーマに据えた野心作。第三回世界バカミス☆アワードに輝いた。
言うまでもなく叙述トリック物のミステリは、トリックがあることを予告しては威力が半減してしまうので、叙述トリックの傑作に出会えてもそれを広言できないものだ。
なかには折原一や中町信のように、叙述トリックが必ずあることを売りにしている作家もいるが、それはもはやデスマッチ専門のプロレスラーのようなもので、特殊なケースである。
しかしこの『フラクション』。作中でも堂々と叙述トリックに言及し、大胆にも「それをマンガで用いるならこんな手段がある」といくつも例を挙げながら、それでもなお読者の想像のはるか斜め上を行く、とんでもない叙述トリックを仕掛けてみせた。
ものすごくグロいので読者を選ぶが、叙述トリックファンは必読!
評価:★★★★ 8