世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

中国、腐敗官僚天国、国外に持ち出されたマネー10兆円 Absconding

2011-06-17 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2011/06/17

Financial Timesが北京発のニュースとして、「過去15年間に国外にもちだされた不法利得(ill-gotten gains)は1240億ドル(現在の為替レートで約10兆円という巨額に上る」との中央銀行の公式発表を伝えている。

そして、これらのマネーを持ち出したのは、共産党幹部、警察官、司法官僚(中国では裁判官、検察官、弁護士は一元的に党管理下にある)、国営企業経営者で、1990年代半ばから2008年の間で17,000にも上ると、その報告書にかかれている。

巨額のマネーを持ち逃げ(absconding)した政府高官の逃亡先の第一は米国であるという。米国ビザが手に入らない人々は東欧、中南米を選ぶ。下級官吏は中国に隣接している国々を選んでいるという。

この67ページに及ぶ2008年作成の報告書は、始め中央銀行のマネーローンダリング局のHPに掲載」されたが、その巻き起こした騒ぎ(a public outcy)に衝撃を受けた当局は掲載を中止した。

こうした官僚の腐敗は共産党一党支配を危うくするとの危惧から、当局者が敢えて発表に踏み切ったものといわれているが、巨額マネーの持ち出し方法には、8つの方法があると、詳細に説明している。

もっとも頻繁に使われるのがカジノの経営者との共謀による持ち出しである。親戚などへの不正送金、クレディットカードでの巨額消費の偽装、架空海外投資などの手口が常套的に使われているとしている。

こうした不正送金や不正持ち出しに手を染める官吏は、金融、建設、交通、徴税、専売公社、投資、通商産業などをつかさどる官庁のものが多いとしているが、これは例示する方が煩瑣で、すべての官庁で行われていると言った方が早い。

傾向としては全人代で政権交代が行われる前年からこうした犯罪は急増するという。権力を失うという予感が、不正資金を持って、国外逃亡をする役人の数を増やすのだと、解説されている。

中国人とお金の関係を象徴する中央銀行発表である。


最新の画像もっと見る