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FRB議長、「ドル安注意報」 Fed 'attentive' to US dollar drop

2009-11-17 | グローバル経済
2009年11月17日(火)

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、New Yorkで月曜日に講演し、「ドル安に関して注意体制("attentive")に入っている。ドルの強さを維持できるよう努力をする"help ensure that the dollar is strong"」と発言し、

ドルは今年に入ってから、ユーロに対して13%減価しているが、これに関し「この減価の意味するところにも注意を払っており、ドルの動きを監視していく」と続けた。

さらに続けて、市場に非常に重要なメッセージを送った。「始まったばかりの景気回復に水を差さないように、金利水準を実質的に上げないで、ドルに対する信認を維持していきたい」’to bolster confidence in the dollar without actually raising rates, as that might hurt the nascent recovery’

始まったばかりの景気回復(the nascent recovery)とは、第3四半期のGDPが5期ぶりにプラスに転じたことを指している。同議長は、米経済は「来年も緩やかな成長が続くと見込まれるが、銀行貸し出しの鈍さや雇用市場の弱さがマイナス要因」と指摘しており、「ゼロ金利政策」の出口戦略(an exit strategy)を実行するには程遠い状況であることを公式に認めた格好である。

このFRB議長の発言を聞いた市場では、他通貨に対してドル売りが先行した。またゼロ金利のドルを借りて、金利の高い国の通貨を買って金利鞘を稼ぐいわゆるキャリー取引(carry trade)が誘発されたことがドル売りに拍車をかけた。金への逃避もいっそう高まり、1130ドル台を付けた。

一方、低金利政策の継続は好材料と受け止めた株式市場はにぎわった。それを後押ししたのは、好調な車の売上を反映して、1.4%伸張した米国の10月の小売売上高である。ダウ工業株30種は136.49ドル(1.33%)高の10,406.96ドル。 ナスダック総合指数は29.97ポイント(1.38%)高の2197.85となった。

元高・ドル安によって、巨額の手持ち米国国債の目減りと、輸出の減退を招くことに反対してきた中国をオバマ大統領が今訪問中である。中国政府がいらだっていることは想像に難くない。




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