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中国になぜ「Steve Jobs」は出現しないのか “Not a Chance”

2011-10-09 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2011-10-09

PCとインターネットを万人のものとする技術革新を実現させ、Appleというビジネスモデルを創出して、20世紀後半から21世紀初頭の人類社会を大きく変革した巨人Steve Jobsがその短い人生を終えた。

まさに「巨星、墜つ」の衝撃を世界に与えたが、5億人のインターネット人口をすでに持つ中国でもその死を悼む声が、ネット上に多く出現している。

それを伝えるThe Wall Street Journalの7日の電子版の見出しは、「中国のインターネット:なぜ中国にはSteve Jobsが出ないのか?」(China’s Internet: Why China Has No Jobs)となっている。

同紙は、「中国のネット上の議論は、常に問題の核心が中国政治・社会の問題点に収れんしていく」として、「独裁国家体制、独占企業体制、万事後ろ向きの国民文化、蔓延する技術盗用のわが国で、『イノベーションの神様』の話?あり得ない。考えるのも無駄だ」(Not a chance! Don’t even think about it.)とのある文化人のブログを紹介している。

さらに、「今や世界の工場としての中国は、競争相手を倒すことに血道を上げる国になったが、業績はApple並みに上がっても、その製品の革新性においてAppleとは、比べるべくもない」との自己反省のブログ論評も紹介している。

一方、その原因を極める議論の中で、「それは、中国人が劣っているわけではない。教育に問題があるのだ。中国では人と違っている才能を伸ばすのではなく、その角をこすり落として丸くさせる金太郎あめ教育に専念するのが中国の教師だ」との大学教授の意見を引用している。

「もしAppleが木になった果物とすれば、その果物を育てた木の枝は、「思想と革新の自由」であり、根っこは「立憲民主制度」にある。独裁国家は集団でことをなすことには向いているが、科学技術の天才を育てることはできない」と言い切る大学からの意見を紹介し、さらにそれを補完するように、「その幹には、法治精神と知的財産権の尊重がある」という投資顧問会社幹部の指摘を紹介している。

さて、この理由づけが正しいとすれば、日本にもSteve Jobsは現れず、世界の工場でもなくなりつつある現実をどう説明すればよいのだろう。


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