2010年6月8日(火)
「ハンガリー型ローン地獄」の爆発は近いかもしれない。
ハンガリー政府は緊急閣僚会議を開催して国家予算の赤字幅を対GNP比で3.8%以内に圧縮する方針であることを明らかにした。これは先に自ら、「我が国はギリシャ型の財政危機に瀕しており、債務不履行の公算が大」と公式に宣言をするという愚行の影響から脱するための行動であるとThe New York Timesが報じている。
ハンガリーは、2008年の金融危機に直撃され、前政権はIMFとEUから2.5兆円の緊急支援を受けてしのいだという経緯がある。4月に政権に就いた現政府は、「前政権は予算の数字をねつ造し、経済の実態について虚言を弄した」と言い切ってしまったのである。
この不注意な発言(gaffes)が先週世界の金融界を震撼させたことを反省して、「実態はギリシャ危機のようなものはない」と前言を訂正した。
同時にEUとIMFの当局者も「ハンガリーが債務不履行を起こすことは考えられない」と金融界に向けて動揺を鎮める発言を相次いで行った。
ルクセンブルグで開催中のEU財務相会議の席上Dominique Strauss-KahnIMF専務理事は、「ことハンガリーに関して恐怖要素(“element of fear”)などというものは存在しない」と断言した。
またルクセンブルグの財務大臣も、「問題は、ハンガリーの政治家が余計なことを言い立てること以外にはない」とコメントした。
この結果、ハンガリーの通貨フリントはやや持ち直し、ハンガリー国債も価格が上昇したが、市場関係者は「ハンガリー政府の政策は依然不透明であり長期国債投資に機関投資家が戻ってくるところまではいかない」と言っている。
Orban現首相は昨年12月に、当時の社会党政権が、2006の対GNP赤字幅9.3%を2009年に4%まで圧縮に成功させた緊縮政策を徹底攻撃し、経済成長路線をとるべきと主張、減税と雇用拡大を求めた。
そして4月の総選挙では、「赤字国家予算の幅を7%にまで広げて経済拡大をはかるべし」とのキャンペーンを張って政権奪取に成功した。しかしその結果、緊縮を求めるIMFと、経済成長を求める国民の間に挟撃されることになった。
局面打開を図ろうとして、Orban新首相は就任後、EUのJosé Manuel Barroso大統領に、EUの財政規律ルール適用除外を求めたが拒否に会い、当てつけのごとく「ハンガリーはギリシャ型の財政破たん国になる」と触れて回った。EUを悪者にして国民の政権の経済運用能力への期待レベルを下げることを図ったのである。
同首相は「国会の2/3の議席を獲得して、なんでも可能」とのおごりと錯誤に陥ったのである。先の発言は、国内有権者にのみ話をしているつもりだったが、どっこい国際金融界は、その言葉を聞き逃さなかったというのが、今回の騒ぎの真相である。
Goldman Sachsも、「ハンガリーが、ギリシャほど財政状態が悪いというのは事実に反する」との報告書を出している。同国の対外債務額はギリシャの半分であるし、IMFの支援はすでにうけて来た。また通貨ユーロを採用していないので、独自の通貨と金利による金融政策と財政政策による調整機能ははるかにギリシャより優っている。
しかし、ハンガリー経済のそこは浅く、弱体であることには変わりがない。これから大問題となると考えられているのが、一般家庭が、外貨建ての住宅ローンを、外国銀行から直接借りていることである。多くの失業中の人々にもはや支払い能力はなくなった。そして通貨フリントの切り下げによって、その借金の重圧感はましている。
これこそ「ハンガリー型サブプライムローン」の破綻の危機である。いつ爆発するのであろうか。
「ハンガリー型ローン地獄」の爆発は近いかもしれない。
ハンガリー政府は緊急閣僚会議を開催して国家予算の赤字幅を対GNP比で3.8%以内に圧縮する方針であることを明らかにした。これは先に自ら、「我が国はギリシャ型の財政危機に瀕しており、債務不履行の公算が大」と公式に宣言をするという愚行の影響から脱するための行動であるとThe New York Timesが報じている。
ハンガリーは、2008年の金融危機に直撃され、前政権はIMFとEUから2.5兆円の緊急支援を受けてしのいだという経緯がある。4月に政権に就いた現政府は、「前政権は予算の数字をねつ造し、経済の実態について虚言を弄した」と言い切ってしまったのである。
この不注意な発言(gaffes)が先週世界の金融界を震撼させたことを反省して、「実態はギリシャ危機のようなものはない」と前言を訂正した。
同時にEUとIMFの当局者も「ハンガリーが債務不履行を起こすことは考えられない」と金融界に向けて動揺を鎮める発言を相次いで行った。
ルクセンブルグで開催中のEU財務相会議の席上Dominique Strauss-KahnIMF専務理事は、「ことハンガリーに関して恐怖要素(“element of fear”)などというものは存在しない」と断言した。
またルクセンブルグの財務大臣も、「問題は、ハンガリーの政治家が余計なことを言い立てること以外にはない」とコメントした。
この結果、ハンガリーの通貨フリントはやや持ち直し、ハンガリー国債も価格が上昇したが、市場関係者は「ハンガリー政府の政策は依然不透明であり長期国債投資に機関投資家が戻ってくるところまではいかない」と言っている。
Orban現首相は昨年12月に、当時の社会党政権が、2006の対GNP赤字幅9.3%を2009年に4%まで圧縮に成功させた緊縮政策を徹底攻撃し、経済成長路線をとるべきと主張、減税と雇用拡大を求めた。
そして4月の総選挙では、「赤字国家予算の幅を7%にまで広げて経済拡大をはかるべし」とのキャンペーンを張って政権奪取に成功した。しかしその結果、緊縮を求めるIMFと、経済成長を求める国民の間に挟撃されることになった。
局面打開を図ろうとして、Orban新首相は就任後、EUのJosé Manuel Barroso大統領に、EUの財政規律ルール適用除外を求めたが拒否に会い、当てつけのごとく「ハンガリーはギリシャ型の財政破たん国になる」と触れて回った。EUを悪者にして国民の政権の経済運用能力への期待レベルを下げることを図ったのである。
同首相は「国会の2/3の議席を獲得して、なんでも可能」とのおごりと錯誤に陥ったのである。先の発言は、国内有権者にのみ話をしているつもりだったが、どっこい国際金融界は、その言葉を聞き逃さなかったというのが、今回の騒ぎの真相である。
Goldman Sachsも、「ハンガリーが、ギリシャほど財政状態が悪いというのは事実に反する」との報告書を出している。同国の対外債務額はギリシャの半分であるし、IMFの支援はすでにうけて来た。また通貨ユーロを採用していないので、独自の通貨と金利による金融政策と財政政策による調整機能ははるかにギリシャより優っている。
しかし、ハンガリー経済のそこは浅く、弱体であることには変わりがない。これから大問題となると考えられているのが、一般家庭が、外貨建ての住宅ローンを、外国銀行から直接借りていることである。多くの失業中の人々にもはや支払い能力はなくなった。そして通貨フリントの切り下げによって、その借金の重圧感はましている。
これこそ「ハンガリー型サブプライムローン」の破綻の危機である。いつ爆発するのであろうか。