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オバマ、キャメロン英首相とBP問題対話開始 Adult Leadership

2010-06-14 | 環境・エネルギー・食糧
2010年6月13日(日)

ホワイトハウスの土曜日の午後のブログは、オバマ大統領が土曜日朝に幹部クラスの大統領補佐官たちと事前打ち合わせをしてから、英国のDavid Cameron首相と電話会議を行ったことを伝えている。

今回の電話会議の最重要議題であったはずの、メキシコ湾原油流出汚染拡大に関するBPの責任追及問題に関しては、「両首脳は、悲劇ともいうべきこの原油流出問題に関して協議をし、BPは責任ある態度でこの状況に対処するべく全力を挙げねばならぬとの立場を再確認した」と、最後の部分でごくごく簡単に触れているのみである。

ブログはまず、「オバマ大統領は、キャメロン首相と、同首相が5月に就任した際、電話をかけて祝辞を述べて以来、初めてとなる実質的に内容のある討議を行った」と、大統領報道官による公式発表を引用しながら、「今月後半にカナダで会うこと、7月20日に同首相がワシントンを公式訪問する時に話し合うことを楽しみにしている。両国の特別な関係と歴史を重んじていきたい」とキャメロン首相への大統領の言葉を伝え、

「両首脳は、直前にキャメロン首相が現地を訪問したアフガニスタンの問題で、NATO同盟軍による作戦行動の継続を再確認した。イランに対する核問題に関する国連制裁決議については、EUの欧州理事会の場でのさらなる具体的行動についての協議への期待を話し合った。またカナダにおけるG8/G20に向けての経済関係の懸案についても話し合った」としている。

そして、上述のBP問題に触れたあと、「二人がお互いの立場を譲らなかった(agreed to disagree)のは、12日のワールドカップサッカーにおける両国チームの勝敗の帰趨である。大統領はビールを賭けることを提案した」との趣旨で発表を結んで、雰囲気が友好的であったことをことさら強調している。

米国では、オバマ大統領がBPに対する責任追及の急先鋒に立っていて、「徹底的に損害賠償をさせる」との決意をなんども繰り返している。その結果、「BPは、補償を優先するために投資家に対する配当を中止すべきである」、「メキシコ湾内での探査作業を中止させられたことに対する、休業補償やレイオフに伴う賃金補填をさせよ」などの世論が巻き起こっている。

さすがに共和党有力議員たちは、「BPを悪者扱い(demonizing)しても問題の解決にはならない」、「大統領は、悪者探しに汲汲としているのはいかがなものか(looking for “ass to kick”)」 「とくにこのところのオバマ大統領は、大人げない指導者 (the lack of adult leadership)だ」との批判を強めている。

さらには、「BPを破産に追い込むより、生かして補償させるほうが先決」との現実論も強まっている。BPも損失額が確定しない今、配当は一時的に中止して、供託勘定(escrow account)に入れておく案を検討中とつたえられている。

BPの損失推定額は、下は5000億円、上は4ないし8兆円と大きく異なっている。また事故直後の原油噴出量が日量1000バレルと推定されたものが、最新の推定では40,000バレルに達している一方、BPが先週金曜日に回収できたとしているのが、15,400バレル。油井の完全制御には早くても今夏いっぱいはかかるというのが現在の見通しである。

これまでの50日間でBPは対策費用にすでに1500億円を支出している。一方BPの手元現金は1500億円であり、今後5年間でのキャッシュフロー創出力は18.5兆円とされている。また、事故発生以来、約8.5兆円を失ったとはいえ現在の時価総額は10.5兆円を保持している。

BPは英国企業であるが、NY株式市場にも上場しており、その株式の40%は米国人が保有している。今回のオバマ大統領の、キャメロン首相へのソフト対応がその事実の重みを示している。そして両首脳にとってBP問題は、経済問題を通り越した重大な環境問題であり政治問題となり、二国間の外交問題ともなった。





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