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BPと米政府、対策で意見衝突 To be Driven by the Science

2010-07-19 | 環境・エネルギー・食糧
2010年7月19日(月)

BPは、先週木曜日に油井の開口部に対する封入キャップの取り付けが完了したことにより、メキシコ湾への油流出阻止に成功した。しかし今後の措置でBPと米国政府間で深刻な対立が生じている。

本日の各紙の見出しを見てみると、有力紙で封入成功を強調しているのは、次の2紙である。
Financial Times: Containment cap working, says BP(BP、封入キャップは有効と言明)

The New York Times: Optimistic BP Hopeful that Damaged Well Can Stay Closed (BP、損傷している油井の閉塞は持続可能と楽観視)

一方、日曜日になってにわかに今後の措置について両者の意見対立が明らかになってきたがそれを反映した見出しをつけているのは次の二つである:

Washington Post: BP, Allen voice dueling views on fate of oil cap(BPと米政府責任者、封入キャップの措置で意見対立)

ABC放送: BP, Feds Clash Over Reopening Capped Gulf Oil Well (BPと政府、キャップを開けるか否かで衝突)

BPは、「とりあえず油の流出が阻止できているので、キャップをそのままにしておき、現在掘削中で問題の油井管に今月末までには到達する「救出用パイプ」 (relief pipes)を油井管に接続し泥(mud)を注入して永久に油井を埋め殺したい」としている。

一方、米国政府は、「現在とりあえず止まっているが、封入圧力の値が予想値より低いのは、キャップで流出を阻止したため、原油が海底下の地層のどこかに漏れ出している懸念がある。また無理やり封入を続けると油井管が、内部圧力の上昇で破断し、制御不能の流出につながるのではないか」と心配している。

そのため、キャップを外して原油を再び流し、全量を海上の油回収船に吸い上げるべきだとするのが米政府の主張。一方、BPは「とりあえず止まっているのだからこのままにしたいという態度を取っているが、「だれも原油が油井から流出しているのをもう一度見たくないだろう」 と本心を語っている。米政府責任者は、「すべての決定は科学的な根拠が必要」(all decisions are driven by the science)との立場である。

失敗が許されぬ状況での双方の責任者の意見対立は深刻である。特にBPにとっては、会社存亡の危機における重大決定を迫られている。すでに3ヶ月間で流出した原油は最大184百万ガロン(約74万kl)と米国政府は算定している。



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