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中国、英語人口でインドを抜くDemographic Dividend or Disaster

2009-11-20 | グローバル文化
2009年11月20日(金)

British Councilは、世界各国における「大英帝国」の植民地政策の一翼を担い、BBC放送と一体になって英語人口の増大という任務を与えられて75年前に設立された国家組織であるが、このほど”English Next India”という表題のもと、「中国の英語人口がインドのそれを追い抜いた」という研究報告書をまとめた。

インドでは、大帝国の植民地での重要遺産である、英語を第二公用語とする州が多いことを、国際競争力のひとつの源泉としてきた。現在人口の5%が英語を話していると推定されるので、2010年には「流暢に英語を話す人々」の実数は、5500万人となると予想している。

しかし、いまや隣のより経済インフラが整った超大国中国が、小学校から英語を必須科目にして、毎年2000万人の新しい英語人口を増やし続けていることが、インドは中国との競争力で、ますます後塵を拝することになると報告書は警告している。

Financial Timesによると、英語による授業がないこと(the lack of English-medium education)が、産業界からの英語を使える人材への強い期待にこたえられない理由であるとしている。インド商工会議所(the Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)などの調査によると、約64%の企業は、英語を含む技術系新卒者の能力不足に、不満を示しているという。

また、隆盛を誇るインドIT産業の旗手ともいうべきInfosys社の創業者の一人は、「インドは大量の新卒技術者に恵まれている(”demographic dividend”)が、英語教育を経済開発計画の中にキチンと組み入れないと、使い物にならない大量の技術者を生み出すことになる(“demographic disaster”)とコメントしていると, 報じている。

同紙は一方で、中国の英語人口が増えたという統計が、本当に国民全体の英語力が上がったこととは別であるとも解説し、大国の象徴である中国の海外平和活動が十分機能しない理由は、まさに質の高い英語力(good English skills)が欠けているからだと指摘している。

普天間基地移転問題で、鳩山首相が「‘Trust me’といったら、オバマ大統領が、’I trust you.’と答えたから問題ない」という趣旨で記者団に胸を張っておられた。英語とは技術であるが、文化でもあることを教えてくれるエピソードである


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