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中国人民元「より柔軟に」、政策転換は本物かMore Flexibility

2010-06-20 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2010年6月20日(日)

中国人民銀行(People’s Bank of China)は、19日土曜日にネット上で、「人民元(RMB)交換レート改革をさらに進め、レート変動をより柔軟に運用する」と発表した。明らかに今週末トロントで開催されるG20首脳会議をにらみ、為替レートの人為的操作への非難をかわすために選ばれたタイミングでの宣言である。

しかし、その声明文を仔細に読めば、「人民元の対ドル固定レートの廃止」とはもちろん言っていないし、「変動巾は従来通りに据え置く(The exchange rate floating bands will remain the same as previously announced in the inter-bank foreign exchange market)」とし、実質的に対ドルレートが2年間約6.8元に固定されてきた「人民元の為替レートを大幅に切り上げる理由はない」といいきっている。(The basis for large-scale appreciation of the RMB exchange rate does not exist.)

すなわち宣言しているのは、中国政府が、需給バランスをにらんだ上でこれからも人民元の対ドルレートを管理していくが、それを「より柔軟にしかも小幅に行う」(the RMB exchange rate flexibility)ということのみである。月曜日の市場での行動を見るまでは、その意味するところを推し量るのは早計である。

この突然の発表に対する米国政府の反応を、新華社通信のHPでは次のように伝えている:

米国のオバマ大統領は、「人民元の改革を推し進めようとする中国の決定は、建設的な一歩であると言明した。中国の為替レート運用をより柔軟に行うとの決定は、世界の景気回復に資するであろうし、国家間の均衡のとれた経済関係に貢献するものだ。G20会議での討議に期待している」と述べた。

またガイトナー財務長官の発言に関しては、「歓迎する」とのコメントの部分のみを紹介しているが、同長官が、そのあと「この発表の効果は、中国が実際に取る行動にかかっている。人民元がどんな巾で、どんなスピードで切りあがるかが問題だ」と付言したことは省かれている。

The Wall Street Journalは、中国政府がこのタイミングを選択したのは、5月の物価指数が前年比3%の上昇となり、人民元切り上げによる輸入物価の抑制効果に期待しているのではないか、また人民元の1年先の先物レートが1%高におさまっていることで、大幅な切り上げを市場から督促されないだろうとの判断があったのではないか、との意見を紹介している。

欧州からは、大幅なユーロ安となって人民元切り上げ圧力は弱まった。切り上げ要求の急先鋒は米国であるが、ブラジルとインドももはや黙っていない状況になった。来週の市場の動きを見たうえで、トロントでなにが話合われるか興味しんしんである。



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