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菅政権の無策、震災・原発を「逆風」化 Frustration over Kan's Handling

2011-04-26 | 世界から見た日本
2011/4/26

The Wall Street Journalは、「日本与党選挙で痛手」(Ruling Party Hurt in Japan Election)との東京発の記事を掲載し、地方首長と議会選挙で民主党が大敗北を喫し、菅首相への退陣圧力はいやがうえにも高まっていると報じている。

特に愛知県の衆院補選において候補者も擁立できず自民に議席を献上することになったことは民主党の退潮の象徴であることは衆目の一致するところであるが、The Wall Street Journalはその部分も詳報している。この間の事情を、地元の中日新聞は、「大震災後、初の国政選挙となった衆院愛知6区補選は自民元職が返り咲いた。政権与党は不戦敗、地域政党にも風は吹かなかった。(中略) 前回衆院選で十五の小選挙区を民主が独占した愛知県で、自民が民主王国の一角に何とかくさびを打ち込んだ。補選は民主前衆院議員が二月の名古屋市長選出馬のため辞職したことで実施された。民主は菅政権への逆風を懸念して候補を擁立できず、不戦敗となった。」と報道しているが、WSJもそれをほぼなぞる形で詳報している。

WSJの本日の選挙結果や政治情勢に関する報道内容は、我々には既知のことがほとんどであるが、「東日本大震災が発生したため、菅首相の伝家の宝刀ともいうべき「衆議院の抜き打ち解散・総選挙」(a snap general election)はという選択肢はもはや無くなった」との政治学者の論評を引用していることは注目される。

しかも、菅首相が災害復旧のための4兆円の第一次補正予算を5月2日に国会を通過させることができても、与野党の「震災協調」はそこまでであって、その後16ないし25兆円と推定される復興財政支出の補正予算化には、野党の協力はもはや得られぬとの予想を米国民に解説している。そして民主党内部からの火の手(factional disputes within his own party)も制御できないところまで来ていると論評していることも注目される。

「震災を奇貨として政権維持をはかろうととした菅首相のもくろみは、不首尾に終わった」というのがWSJの米国民へのメッセージである。