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BPメキシコ湾原油流出事故3兆円訴訟へ Counterclaim, Cross-claim

2011-04-23 | 世界から見た日本
2011-04-23

昨年4月21日に、深海油田開発を行っていたメキシコ湾上の掘削リグが爆発、原油が流出した結果、未曾有の環境汚染を引き起こした責任企業であるBPは、提訴期限でもある発生後ちょうど一年目に当たる21日に、下請企業Halliburton, TransoceanおよびCameron の3社に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こした。

BPはすでに177億ドルの費用を支出しており、409億ドル(3.2兆円)の損失引当金を計上済みであるが、今回はそれに関して各社に応分の負担を求めるとともに、追加の損害賠償を求めるものである。特にオイルリグの所有者であり操業を請け負っていたTransocean社には、400億ドルの巨額損害賠償を求めていることが注目を引く。

このTransocean社に出資する三井石油開発は、そのHPで、「今回の事故に関する事実関係・背景について多くの調査が現在も進行中であり、現時点で支払い義務を負うことになるか否かは明らかでないため、BPが求める支払いを留保してきました。また、今後もBPより請求書を受領することが予想されますが、これらの状況が続く間は、BPに対する支払いを留保し続けることになろうと予想しております。」とその見解を表明している。

3社のうちの1社であるCameron は「わが社は、提起された訴訟に対して、原告だけでなく他の被告に対しても訴訟で応じることにした。これには契約上の免責条項の適用を求めることも含まれている」と正面から応じる態度を表明している。(“Additionally, in order to protect ourselves, we, too, have filed cross-claims and counterclaims, including our indemnity claims, against other parties to the litigation.”)他2者も同様の構えである。

Financial Timesは、今回のBPの提訴は、損害賠償の応分の負担を下請企業に求めるもので、企業行動としては当然であるが、深追いすればするほどBPの企業イメージを損ねるものである故、早期に和解に進む公算が高いと見る識者の意見を紹介している。

いずれにせよ環境汚染の損害賠償の負担をいかに担保していくかは、資源・エネルギー企業にとって重大課題であることを示したという点でも今後の訴訟の帰趨には重大な関心を寄せていくべきである。